お勉強450記念 頭頸部CRTと誤嚥の話

頭頚部がんの誤嚥を防ぐための話

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/hed.23913

最近誤嚥性肺炎の本を読んでおり、
頭頚部がんの誤嚥に対しても色々有用なのでは?
と思うことがあり検索。
とりあえずしばらくこの類が増えるかもしれません

日本(順天堂大学)からの報告
後ろ向きケースコントール研究

予防的嚥下運動としてシャキア法

https://www.youtube.com/watch?v=XsFnLeVH1KI

(この試験では30秒頭を上げて30秒レスト、を20セットで
 一日3回するという方式らしい。結構スパルタ)
をするとどうか、という小規模な試験。


対象は中咽頭癌、下咽頭癌、喉頭癌
StageIII~IV
ケモラジが基本だが、動注もやっているらしい

51人を本研究に組み入れた。
21人の患者がシャキア法群
30人を従来のメンデルソン手技

https://www.youtube.com/watch?v=s3aql-jMtwo

を6秒ホールドを10回5分間で、一日三回
嚥下困難が出てきてからやる群
(これやるだけでも意味ありそうだけど、
 イントロには「イマイチ」とある)


治療前後にビデオ透視と嚥下運動を分析し、
舌骨、喉頭の動き、誤嚥スコアを検討

舌骨の平均運動、喉頭短縮(これが結構誤嚥に影響すると言っている)
上部食道括約筋の開口は、
シャキア群で有意に良好に維持された。
シャキア群の誤嚥スコアは対照群より有意に低かった。
経管栄養率はシャキア群が14%、対照群が40%であった(p < 0.05)。
入院期間も優位に短い。

というわけでシャキア法は有用では?という研究
簡単で費用もかからないし、とてもいい報告と思います。

我々は線量分布にこだわってきましたが、案外
こういったことの方が予後に効いてくるのかもしれません。

一応昔勉強会で「誤嚥」の喉頭の耐用線量は30~40Gy で
(QUANTECの勉強会だったと思う)
その時点でもう放射線治療で治す的な観点から
いうと、「誤嚥する耐用線量は超えている」
わけで、致し方ない面もあるが、
なんとかする方法はないかいろいろ検索してみたが

・CRT前から嚥下機能改善訓練を
 することでtube feedingや誤嚥性肺炎を減らす、
 というデータはそれなりにあるよう

・晩期の有害事象に関してはデータ乏しい

というのがファイナルアンサーのようである。

誤嚥性肺炎にかかわっているのは喉頭の部分だけでは
ないらしいので、CRTの工夫で
耳下腺機能を守って唾液分泌を促したり
咀嚼機能を守るための新たなOARの提唱
(耳下腺守りつつ、これも守るのはかなり厳しい?)

昔から言われている咽頭収縮筋のスペア
陽子線や予防照射の低減
などを行ったうえで
かなりの長期フォローアップしていかないと
「晩期の誤嚥を減らすエビデンス」の創出は難しいのかなぁと
勝手に思っている今日この頃。JCOGの試験で
何かわかればなぁ・・・

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