お勉強326:温存乳房に照射する?しない?

アブストラクトは日本語訳もあります

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2207586

観点としては「乳房温存術後照射を省略できる群は無いか?」
ということでリスクが非常に低いと思われる

・ホルモン受容体陽性
(一応ER-highとER-lowで分けて解析もされている
 定義は色々あるようで、本文参考の事)
・リンパ節転移陰性
・腫瘍最大径3cm以下)
・断端陰性
・術後補助内分泌療法を行う
 (考察にコンプライアンスの問題は言及あり)
・65 歳以上の女性

の群。時代的にHer2は調べられていない

メインのエンドポイントとしては
☆乳房局所再発

副次的エンドポイントとして
・領域再発
・乳癌特異的生存
・初回イベントとしての遠隔再発
・全生存

試験名はPRIME II 
多施設多国間のIII相試験

結果としては5年のものがすでに発表されており
それでは、局所再発率照射群1.3% 非照射群4.1%
と報告されていた。

今回のものはそれの10年フォローの発表である。

照射は2~2.66Gy/Frで40-50Gy Boostも許容
ホルモン療法は時代的にタモキシフェン5年

局所再発率は非照射群はダラダラと低下し続け
(考察にはホルモン陽性だからでは?という議論もあり)
10年局所再発率は9.5%
照射群は0.9% HRは10.4!

副次的エンドポイントの
・領域再発
・乳癌特異的生存
・初回イベントとしての遠隔再発
・全生存
は優位差なし

ERの発現でhigh だと
10年局所再発率8.6%(照射群1%)
lowだと(そもそもlowの人は少ないが…)
10年局所再発率19.1%(照射群0%)
という衝撃の差。

残念ながらPgR別には解析されていないが
おそらくPgRの発現が低いと
同様に局所再発は増えそうと思う。

タモキシフェンは非照射群で、
局所再発に影響ありと

結果をどうとらえるのかは難しい。
筆者らは「照射省略は妥当な選択肢」
としている(OSや遠隔転移には影響していないから)
・タモキシフェンからAIへの変化
・ホルモン療法は対側乳がんも減らしてくれる
・(海外の)ガイドラインでも内分泌療法下
 であれば、照射省略も許容内とされることが
 書かれており、それを補強するエビデンスである
・局所再発しても照射していないので
 今度はRTした乳房温存ができるので
 かならずしも再発=全摘ではない
(個人的にはスゴイ暴論と思うが、本当にそう書いてある)

放射線治療の害についても書きつつ
・そもそも照射でQOLの低下はないという報告
・タモキシフェンやAIも心血管事象の増加が報告されている
・いわゆる寡分割やAPBIが出てきて通院の負荷が減った
という点も書かれている。

私見
・HRが10なのに、省略可能、という結論は
 日本ではどうなのか
・そもそも余命が10年の年齢は日本だと75歳ぐらい?
・短期でRTできる時代になり照射の負担は
 かなり減っている
・そもそも論として、このステージで
 再建できる時代なのに
 照射しない乳房温存は禁忌な気がする
 (再建する患者さんは再建のリスクは
  甘く見がち、という気がするが…)
・乳房温存オンコプラスティックサージェリー
https://www.aichi.med.or.jp/webcms/wp-content/uploads/2021/12/68_2_p75-80.pdf

 を見ると、再建せんでも,,,という気にもなる

・個人的には「乳房『温存』療法」なのだから、
 綺麗な乳房を残す、というのがエンドポイントであって、
 寿命は変わらないだからOKです、
 というのは「全例全摘すればいいじゃん」の時代への
 逆戻りであって、どうかなぁと思うのです。

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