お勉強338:オランザピンによる支持療法
https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.22.01997
話題を呼んでいる論文
抗がん剤の難治性の嘔気に対して
オランザピン(ジプレキサ)を使う、
というのは現場ではよく行われている。
精神科領域ではよく知られているのだが
この類の薬、「食欲が増進して、太る」
(糖尿病患者には禁忌)
嘔気止めの短期使用では体重増加は起こらないが、
それを逆手にとって
がん患者の抗がん剤に対する嘔気
(ここでは胃がん・胆管膵癌・肺がんを対象としている
最初の殺細胞性抗がん剤導入時に介入)
にオランザピンを少量で長期間使って
食欲増進や、体重増加を狙えないか?
という観点からの報告fromインド
プラセボを使った二重盲検比較試験
(片群約60人)
オランザピンは両群高容量の投与を
抗がん剤のday1~4に両群投与した後、
実薬群では一日2.5㎎を12週間投与。
プライマリーエンドポイントは
5%以上の体重増加と食欲の改善
セカンダリーエンドポイントは
栄養状態、QOL、化学療法の毒性
対象としては胃がん、肺がんの順で多く
栄養評価としては1/3が体重不足で
ほとんどの患者がベースラインで食欲低下あり
端的結論を言うと、全項目で
オランザピン群の優位性が示された
オランザピン群/プラセボ群で
5%以上の体重増加 60%vs.9%
(プラセボ群はむしろ体重は減少の方向)
食欲改善 22%vs.4%
栄養状態の改善は43%vs.9%
化学療法のintensityもオランザピンで良い傾向
オランザピンの副作用は軽度であった
(容量が低いせいか、と筆者らは考察)
体重増加に関しては適切なカロリー量の
接種がオランザピン群で多かったのも要因と考察
以下個人的考察
・体重増加や栄養状態改善
(ちゃんと腕の太さや皮膚の厚さなども調べている)
が、どこまで予後に結びつくか?
・一応ケモのintensityが上がっていることと
胃がんという「食欲低下して痩せてきて」
ケモが続けられないがんをメインに
結果を出しているのは評価できる
・アナモレリンの立場は…今後の課題?
・糖尿病患者には使えない…
・筆者らは「インドの片田舎」だから
こまめなフォローができたのだ、と
やや謙遜めいたことも書いているが、
臨床試験は面白い観点で
ちゃんとやればJCOにも載る、といういい例
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