お勉強150:TNT @ASCO2021

直腸がんTNT話。
まずは中国から。

https://meetinglibrary.asco.org/record/196840/abstract

いわゆるショートコース(SCRT:5Gy:5Fr)にケモ(CAPOX)4コース
vs.
定番のロングコース(LCRT:2Gy:25Frにカペシタビン併用)

の比較。
要はTNTvs.通常のCRT

T3-T4orN+ 直腸腺がんが対象。
術後の化学療法として、
SCRTではCAPOXを2コース、
LCRTでは6コース
3年DFSをエンドポイントとしたIII相試験

術前治療完遂率LCRTで有利。
pCR率は変わらないが、術前治療後の cCR を考慮すると、
SCRT pCR+cCR の合計率は 22.5%で、
LCRT 12.6%で p=0.001 で優位にTNT有利。

観察期間中央値35.0カ月で、DFSに優位差はなく
SCRTはLCRTに非劣勢。

さらに、3年後のDFS/OSは、
SCRTが64.5%、86.5%
LCRTは62.3%、75.1%
SCRTのOS率は有意に高い(p=0.036)
無転移生存率や局所領域再発には有意な差はなし。

結論として
ショートコースを使ったTNTは
通常のCRTと比較してcCR+pCRおよび3年全生存率が高い。

長期の経過観察は必要だが、5Gy*5Frでも局所制御は
通常のものと変わりなし。
晩期有害事象の問題をどう考えるか。
ロングコース+ケモ、との比較が必要。
どちらにせよ、時代はTNT

https://meetinglibrary.asco.org/record/196701/abstract

ちょっと複雑な試験
https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02008656
参照。

照射はIMRTのようFOLFOXで場合分けをするような試験のよう。


この試験の解析TNTを受け、
cCRはW&W、
不完全に奏効した患者(iCR)はTME
near CR=完全ではないが有意な奏効を示した患者 もW&Wに含めてみた、
ということらしい。

評価は直腸診および内視鏡検査。MRIは使用していない?
臨床反応評価の日付が観察期間開始日。
OPEに回った率
無病生存率(DFS)
TME-free DFS
OSを評価

詳しくはリンク先の表参照のこと
正直OSは変わらない。

124名がcCR、113名がnCR、57名がiCRだった。

臓器温存率は、当然cCRが一番いいが、
nCRでも3年後のTME率は48%(cCR群では21%)
逆に言うと、半分は残せる…
魅力的。

時代はこの方向なのに、日本ではなぜ進まないのか,,,

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