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言うことを聞かない大鷲トリコ(2017/5/15)

猫のような、鳥のような、犬のような、鷲のような謎の獣と共に挑む脱出系ゲーム。

さて、トリコですが、私としては…先に結論から言うと「ワンダと巨像は超えられなかった」です。

詩を映像にしたような世界観と手に汗握る戦闘がうまく融合したメリハリのあるのがワンダ、終わりも行き先も見えない迷路や建物をただひたすらよくわからん獣『トリコ』と一緒に行き来するのがトリコ。笑

ワンダは、今思えばオープンワールド風の作品でしたよね。その世界で好き勝手出来るというか。しかも、巨像を倒せということしか明確なものがなくて、ストーリーも終盤までよくわからないまま進む。眠りについた少女を助けるために必死にそれをこなすんだけど、気づいたら自分の身体がどんどん何かに蝕まれていって…

トリコも、雰囲気はそんな感じです。まず、なんでここに居るんだ?みたいな…。ちなみに、概ねストーリー的な意味での謎は解明できるけど「で、なんでここに連れてこられたの?」は、今でもよくわからないな…。すみません、読解力がないだけかもしれません。それというのも、今回はちょいちょいストーリーを説明するものがムービーのようにして入ってくるんですよ。それなのに、これといったものが全く解き明かされない!常に不完全燃焼ぎみ。いろいろスカッとしない。トリコと脱出するから何なんだ?と。

クリアした今なら、多少ネタもあるのですが、ネタバレは基本したく無いので詳しくは伏せておくとして、世間的には『絆』を『トリコ』と深めていくことによろこびを見出そうゲーだったそうです。

え、『トリコ』との…『絆』?

私のような理屈コネ造はそういうことをいわれるとカッチーンと来てしまう。だって、このゲームよいところはそこじゃ無いと思うから。ここまでけなしておいて突然良いところを語り出しますが、まずこの作品の一番すごいところはずば抜けた色彩感覚。次にUI。その他、空気感、スローモーションの使いどころ(ワンダも最高だった)、必要最低限の音、など。トリコがかわいいとかいうけど、ラストまで見てそれでもかわいいと言えるんですかあなたは?!って思う。割と恐ろしい話なので(当方ハッピーエンドでは無いと解釈しています)、トリコの仕草とかたまにはかわいくは見えるけど、存在自体は今もコワイです。そう感じた気持ちや、最後までクリアしたことで得られたものは、大半の人とは違っていたかもしれないけど、確かに心にのこるものでした。でも、それは絆ではない。

ゲームシステム的な部分としては、あの膨大な作業工程を辛抱強くクリアできる人は大きく2パターンだと私は考えるのですが、ひとつはトリコかわいいずっと眺めてたいっていう人、もうひとつは私のように意地で最後まで行くと決めた人。飴と鞭の飴の部分(いわゆる「達成感」)が意図的に排除されているのか、例えるなら、大昔、遊園地とかにあった巨大迷路を30時間やめ時もなくやり続けるみたいなかんじ。かなりしんどいです。

謎解き&迷路の他に、謎の土偶っぽい敵も出てきます。これがまたコワイ。ストーカーのごとく我々にまとわりついていて、とっ捕まえられたがさいご地獄への門みたいなところへ引きずりこまれ、そこを通過してしまったらゲームオーバー。何を言っているのか意味不明だと思うがそんな感じだ。とにかく捕まったらダメ!プレイヤーは武器を持たないので、土偶についてはうまくかわすか、トリコに助けて貰うしか対策法がございません。ですが、ここが強いていうならトリコとの絆を一番感じ取れる部分でもあります。トリコは時々、眼の色を変えて暴れたり敵味方構わず我を忘れて襲いかかる事があるのですが、プレーヤーはその習性を利用して難関を突破して行きます。まー言うことを聞いてるかといったら、聞いてないですね。結果的に助かったという感じ。

その他には、下が見えないほど高いところを歩いていて、そこから落ちると、服をくわえてキャッチしてくれるところなんかは、絆タイムですね。動画やCMでもよく使われていた印象的なシーンです。形の無いものを感じてもらおう、表現しよう、としている作り手の意図が随所に感じられ、こうやって改めて文章にすると神ゲーなのではとすら思うんですけど、とにかくトリコの操作性の悪さと謎解きのしんどさが遥かに上回っていて、よく投げ出さなかったなと今でも思います。笑

さいごに欲を言うなれば、「樽」。トリコは常にお腹が空いているから、樽をかき集めて食べさせなきゃいけないという地味な作業があるんです。しかも、忘れたころに、ちょいちょい空腹で動かなくなる事もあります。しかし、この樽食わせシステムは、意味ありげに持って来させるわりに、食べさせまくったらどうなるの?という淡い夢が実現できない。(わんちゃんに芸を仕込むみたいなノリ、猫がお皿の前でじっと待ってる感じを表現したのはわかるし執念深く探せば食べさせまくることもできるかもしれないけど、その先に何か特別な事が起こると思えない)途中、深い意味もなくトリコが動かなるたびに、もーまた樽かよ!と惰性的になってきて、楽しい謎解き要素のはずなのに、いろいろ見失いそうになった(というか見失った)のでもう少し集めたくなる何かがあれば良かったです。エンディングの感動度に大きく関わる部分なのでこれが楽しく出来たら反動が来て面白かったんじゃないだろうか。あとは、「握力」という概念が欲しかった。高く伸びる塔、掴める壁、はしご、トリコにつかまってよじ登るなど、色々なところにとにかく登ったり降りたりするわけなんですが、今回は握力数値が特にないので一度掴んだらずっとそのままで居られます。そうするとどうなるかというと緊張感が全く発生しない。うまく掴めなかったら落ちるかも、という一瞬のスリルはあっても、掴んだあとは落ちることはないから、掴まるのに慣れまくった終盤は「これ…意味あるかな」とまで感じてしまう。さっきの樽と似てるけど、握力概念があれば無茶なことに挑戦する夢みたいなものが生まれるのに、ないから実現できない。反対に、無茶すると落ちるという普通の現象が体験ができない。それによって、リアルさを失っている。(主人公が疲れ知らずの怪力少年になってる!)

ということで他にも色々あるけれど、こんなところです。この次にクリアしたゼルダの伝説WotBは全てを網羅した超がつく神ゲーだったので、この辺で終わりにしておきます。

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