初めまして、ごめんなさい。

(半年前の下書きpost😂)

5月10日。

今年もわたしは、
母の日を忘れていた。

仕事中にちらほらとカーネーションを持った親子を見掛けてようやく、世間はそうなんだなぁと認識したレベル。

今年もわたしは、
「お母さん有難う」なんて言わなかった。

母から離れてやっと自分の人生が始まった人間だっている。それを世の中に理解されることはあまり無い。

けれど、
今年のわたしは。

あと数時間で母の日が終わるというギリギリの所で、とても綺麗な花束を抱えていた。彼のおかあさんに会いに行ってこのお花を渡したい、今日なら話せる、と強く思いながら。

実母に感謝出来ない人間が、
付き合っている男の母親に思いを伝えにいく。

そんな私を神様は鼻で笑っただろうか?


*

「黄色い花束、作って頂けますか?」
とても非常識な思考かもしれないと思った。仏花を鮮やかで爽やかな花達でまとめて貰うって絶対間違ってる。それでも何故か分からないけど、私の中でずっとお義母さんは向日葵が似合いそうな女性だった。

だから何の迷いもなく向日葵の花束が欲しいと思ったけど、ちょっと時期外れのような気がしたから店員さんには色だけ希望を伝えておいた。

人との繋がりで、私はミラクルと遭遇する事が多い。

数年前、実家から県外へ引っ越して初めて勤めたバイト先の店長が同郷で、話している内にお互いの実家が徒歩5分圏内だった!という出逢いがあった。
世間は狭いというが、その日感じた狭さはZOZOTOWNの段ボールくらいに思えて笑ってしまった。

そして、今回も例に漏れずな訳で。

予約のお花を受け取りに行くと店員さんがとても申し訳なさそうな顔をして
「ごめんなさいね、閉店間際でお花の在庫が少なくて。向日葵ぐらいしかなかったんです。仕上がりこんな感じで大丈夫ですか?」
と初夏の香りがする花束を差し出して来たのだ。

そんなピンポイントなミラクルがあって良いのだろうか。 
向日葵しかない って何??
電話越しに私の心の声は駄々漏れだったのだろうか??

お花屋さんを出て彼のおうちに着くまでに、何度もクラフトペーパーに包まれた向日葵に顔を近づけてはニマニマとしてまった。わくわくが止まらない、これはニマニマしない方が難しい。

彼のおうち。おかあさんのお仏壇。
何度も遊びに行ってるのだけど、私はその日やっと
「初めまして。」を伝えることが出来た。

それまで何故かお仏壇のあるお部屋に入れなかった。
「入らないでね」と言われてる訳ではないのに、バリアのような何かを感じていていつもそのお部屋は仕切りの外から眺めるだけ。

勇気を出して、今日こそあなたに。

「初めまして、お義母さん。
挨拶遅れてごめんなさい。

りょうたの彼女です。」

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