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記者コラム「増え続ける『あきらめ廃業』の原因とは・・・所得の再分配と社会保障は、誰が行うのか」

日本の非課税投資枠の新NISA、円安から国内、海外投資家が目を付けてバブル崩壊後34年振りに、日経平均株価が高値を更新し続けている。(令和6年2月16日現在)
現在上場企業の決算期であるが円安の為か、輸出貿易業、海外進出している企業が軒並み好調である。株価高騰の要因の一つであろう。

その実、中小零細企業はどうか。コロナ禍の後遺症で苦しんでいる。大企業と違い燃料、物価高の転嫁が出来ず、コロナ禍での経済活動停滞中のゼロゼロ融資や据え置き型借入れの返済が始まり、キャッシュフローはパンク寸前である。

日本国家を運営している政府は、最低賃金の値上げをして企業の利益を圧迫しているが、給与を支払っているのは、民間企業である。

更には、インボイス制度による個人事業主や零細企業に消費税の納税義務が発生。小規模事業者のような経済的弱者への負担が目に見えて増え続けている。

逆に政府の2024年税制では、大企業(資本金10億円以上)、中堅企業(資本金10億円未満)、中小企業(資本金1億円未満)と分けられ所得金額800万円以下は15%、それ以上は23.2%~最大35%の累進課税制度である。

しかし政府は、大企業向けの税優遇制度を創設して給与総額を前年度から7%以上増額や継続雇用者の給与総額3%以上増額、子育て支援制度導入や教育訓練費も控除率に上乗せ出来る。中堅企業も中規模の税優遇制度が創設された。そのため逆累進課税構造が出来あがったのである。法人税の表面上の納税額と実際の納税額では大きな開きが出来上がるのである。リーマンショック直後の5年間、大手自動車製造メーカーの法人税が殆どかからなかったのは、有名な話ではないだろうか。(現在は、グループ連結決算でグループ内部での利益調整は違法である。)

岸田内閣の支持率の低下や自民党国会議員のキックバック問題などは、政府内部と支持層の離反と造反なのではないかと想像してしまう。

株式会社帝国データバンク新潟支店(新潟市中央区)はこのほど、2023年(1月から12月)の新潟県内企業の休廃業および解散動向に関する調査結果を発表した。

【関連記事】【「あきらめ廃業」の広がりも】新潟県「休廃業・解散」動向(2023年)の調査結果を公表、帝国データバンク新潟支店(新潟市中央区)


また、経営状態が黒字であるにも関わらず休廃業に至った企業の割合は51.9%と、2年ぶりに低下している。休廃業企業の経営者の平均年齢は71.5歳で、最も多い年齢層は74歳となっている。

業種別では、建設業が過去5年間で最も多い件数を記録し、運輸・通信およびサービス業の増加率が大きく上昇していることが明らかにされた。

また昨年度からふるさと納税の返礼品金額に納税義務がいつの間にか付いているのを知っているだろうか。地方自治体のふるさと納税、返礼品合戦も落ち着いてしまう可能性がある。

一時所得の特別控除額は最高50万円とされているので、ふるさと納税の返礼品金額とその年中の他の一時所得の収入金額の合計額が50万円を超えない場合、課税関係は生じない。とはいえ、地方特産品などの消費が大幅に落ち地方経済の鈍化の可能性が生じる。生産者が利益を出せないという事は、税収入が減少する。いったい何がしたいのだろうか。

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/03/08.htm(参考 国税庁HPより)

人口減少と少子高齢化社会。時代の転換期、自然淘汰など「パラダイムシフト」と云ってしまえばそれまでではあるが、所得の再分配と社会保障は、国家を運営する政府と経済的強者である日本経済団体連合会などに加盟している大企業や政府の役割で、岸田内閣総理大臣も「増税メガネ」と揶揄される前にやるべきことがあったのではないか。

(編集部・伊舞静華)

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