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にいがた経済新聞 記者コラム(2024年上半期)

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にいがた経済新聞に掲載したコラム記事の、2024年上半期分です。
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2024年1月の記事一覧

【記者コラム】「共感」

学生時代、筆者は「企業の目的は利潤の追求である」と学習した。 一方で、総合スーパー、ダイエー創業者の中内功氏は1972年に旧三越の売上高を抜いて当時の国内小売業売上高トップになり、「売上高は全てを癒す」と語った。 企業にとって売上高の拡大は当然ながら至上命題である。そのために新規開拓や既存企業の深耕が必要なのは、営業マンなら「いろは」の「い」だが、その契約獲得に必要なのは何か?である。 以前、新潟県十日町市にあるNPO法人越後妻有里山協働機構シニアディレクターの坂口裕昭

【記者コラム】この作品は、誰のものか。

手塚治虫といえば日本で初めてアニメーションで「鉄腕アトム」。カラーアニメとして「ジャングル大帝」を世に送り出した。 ところが、アニメ製作費が予算と釣り合いが取れていなくて、虫プロダクションを一度倒産させている。その後「ブラックジャック」と「三つ目がとおる」がヒットして返り咲いた。 これらの功績により平成元年(1989)勲三等瑞宝章を授与されている。手塚治虫の功績は、日本にアニメ制作を根付かせて、アニメ文化を発展させた。 しかし、低製作費をテレビ局に売り込み現代のアニメ業

【記者コラム】日本人の耐久力が試される

なんという新年なのか。 1月1日夕方に発生した、後に「令和6年能登半島地震」と名づけられる地震の揺れは、新潟にいる我々の足さえもすくませるのに十分な規模だった。1月7日午前現在で死者は126人に達し、不明者はまだ200人以上。人命に係る被害こそなかったが、新潟市では地盤の液状化が甚だしく、家屋倒壊や道路破損などが相次ぎ、その脆弱さが露になった。 こんな時、決まって「自然の猛威を前に、人間のなすすべはない」というようなありきたりな言葉を繰り返すのだが、大規模災害に見舞われる