【24/01/23更新】万年筆沼に足を浸してみる話【万年筆初心者による万年筆まとめ】

もともと文房具が好きではあるのですが、万年筆は大人高級なイメージがあり、なかなか手を出せない品という認識でした。ですが安価(ちょっとお高いシャーペンやボールペンレベル)でも買える万年筆があると知り、調べてみたのでまとめておきます。
(万年筆のペン先は「ニブ」といいますが、万年筆に触れていないと馴染みがない言葉なので「ペン先」で統一しています。ニブはペン先の金属部分で、素材やらなんやらで書き味を左右します)


◆ちょっと触ってみたいだけだから、あんまりお金出したくない

DAISOダイソー 万年筆🇨🇳

価格:100円+税
字幅:中字
インク:カートリッジ
購入できる場所:DAISO

ダイソーはすぐ廃番・入れ替えになるから、欲しいときに買えるかはわかりません。
他にも万年筆がありますが、「万年筆風ペン」も含まれています。インク色がピンクやオレンジなどのカラー万年筆はペン先こそ万年筆っぽいものの、構造的には万年筆ではなくフェルトペンに近いそうです。

▲興味があれば前後のツイートも参照してください。
要するに、インクが「色水」じゃなくて「色水を染み込ませた物体」によるものってことですね。
この万年筆風ペンと区別するために、金属軸と表記して呼び分けられていることがあります。

字幅は同じ表記でも国産は外国産より細い傾向にあるそうです。こちらは中国産なので想像より太いと思っておいた方がいいと思います。

専用カートリッジもダイソーに売っていますが、自己責任で欧州規格のカートリッジも使えるそうです。(ひとくちに欧州規格といっても、長いのと短いのがあるようです)(コンバーターは合うサイズを探すのが大変らしい、ので切断して合わせる人もいるらしいです)

【インク色レビュー】(個人の感想)
インク色はブルーブラックですが、かなり青寄りです。ボールペンのブルーブラックのような色を想像していたので「ほぼ青じゃん!?」とツッコみました。
個体差なのか紙が原因なのかはわかりませんが、乾くとかなり色が薄くなりました。もはやブラックは名乗れないくらいに。普通に青じゃん。バインダーに綴じていたので日光による褪色ではないはずですが……。時間経過で黒くなるどころか薄くなるって、本来のブルーブラックの性質と逆じゃないですかー!

万年筆本体にカートリッジが1本ついているので、それを使ってみて、買い足すか別のカートリッジにするか(または本体ごと変えるか)決めるといいと思います。

あまり見かけませんが、PLATINUMプラチナRiviereリビエールを置いているところもあります。(ただしMADE IN CHINA)

縦長写真は場所を取るので横向きで失礼します

本家リビエールはすでに廃番となっているそうなので、なぜこれがリビエールを名乗っていて、本家とどこが同じでどんな違いがあるのかはわかりません。

リビエールがあるところには、プラチナのカートリッジもある可能性が高いです。「セットで使ってね」ということなのでしょう。

通常版は表の右上に型番が書いてありますが、こちらのダイソー版にはありません。通常版のカートリッジは2本入りなのでダイソー版の方がお得ですが、MADE IN JAPANの通常版と違ってこちらはMADE IN CHINAです。だからかー!
プラチナの名を背負っているので、ある程度の品質は担保されているでしょうが……そのあたりはお好みで。

上記のダイソー金属軸の書き味が気に入らない場合、ダイソーリビエールから移植するといいみたいです。ペン先はプラチナ産で、他のパーツや組み立てがMADE IN CHINAなんですかね??

【移植の手順】
①ダイソーリビエールのペン先の金属部分だけを引っこ抜く
②ダイソー金属軸のペン先の金属部分だけを引っこ抜く
③ダイソーリビエールから引っこ抜いたペン先の金属部分を、ダイソー金属軸にぶっ刺す

引っこ抜く際はペンチなどを使うと歪んでしまう可能性があるので、セロハンテープをペン先の金属部分全面に貼って引っ張るといいみたいです。
カスタムは自己責任で!

◆さすがに100円はちょっと…

PLATINUM preppyプレピー🇯🇵

価格:300円+税(細字・中字)
   400円+税(極細)
⚠️2023年1月16日からどちらも100円値上げ⚠️
字幅:極細(02)/細字(03)/中字(05)
インク:カートリッジ、コンバーター
購入できる場所:ホームセンター、文具売り場が広い本屋など

基本的には字幅によって価格が変わります。
キャップの「スリップシール機構」によりペン先が乾きにくいので、ちょっと書かない期間があっても安心です。

【MEMO】万年筆は長期間使わずにいると、インクが乾燥してペン先が詰まり書けなくなります。毎日書いてペン先にインクを通すことがメンテナンス方法のひとつです。

キャップはヒビが入ることがあるそうなので、力任せにバチンと閉めるのはやめておいた方がいいでしょう。予防のためにテープを巻いておく人もいるそうです。

コラボ軸もあります。

コラボが通常より高いのは世の常ですが、普通のプレピーが2本買えるし、「本体よりコンバーターの方が高い」の持ちギャグ(?)ができません。

見た目があまり万年筆っぽくないので、ボールペンの延長で気軽に使えるとも言えますし、万年筆を使っている特別感が薄いとも言えます。
ちなみに軸のプリントを消して透明軸にすることは可能です。

といっても除光液にも種類がありますし、誰がやっても100%成功するというわけではなく、すりガラスのようになる場合もあるようなので、やるなら自己責任で。
ちなみに色のついていない透明軸もあります。

【インク色レビュー】(個人の感想)
黒はボールペンや油性ペンみたいな黒を想像していましたが、思ったより黒くありませんでした。限りなく黒に近い灰色、ウルトラダークグレー、みたいな。染料だからですかね。

【MEMO】累計出荷本数1,000万本突破を記念し、2017年8月にリニューアルされました。
旧版
・価格が200円、300円
・軸が透明
リニューアル後
・価格が300円、400円
・軸がインク色に対応したクリアカラー

【余談】先日本屋の文具コーナーにいたら母親と娘(小学校中学年くらい)がやってきて、mizutamaさんコラボのプレピーの前で足を止めました。お母さんは万年筆を使ったことがあるらしく娘さんに「使うとお姉さんになった気分を味わえる」など説明していたのですが、そこでプレピーは「万年筆みたいなやつ」呼ばわりでした。万年筆だよ……!

無印良品 ポリカーボネイト万年筆🇯🇵

価格:490円
字幅:F(細字)
インク:カートリッジ
購入できる場所:無印良品

ペン先の刻印を見るにプラチナ製らしく、プラチナのカートリッジが使えるそうです(公式に発表されているわけではないので自己責任で)。無印での替えのカートリッジも出ています。

プラチナのカートリッジが使えるということは、プラチナのコンバーターも使えるということで、好きな色で書けるということです(自己責任)。
価格も機能的にもプレピーで充分だと思うので、プレピーの見た目が好みじゃない場合の選択肢……でしょうか?

実物を見ましたが、軸は結構ツルツルピカピカしているので落ち着いたイメージは持ちませんでした。ペン先まわりは確かにめちゃくちゃプレピーで見たやつです。キャップを開け閉めしたり内側を見たりしましたが、スリップシール機構があるかはよくわかりませんでした。

▲無印スタッフによる紹介があります。

◆1,000円くらいなら出してもいい

PILOTパイロット kakunoカクノ🇯🇵

価格:1,000円+税
字幅:極細(FE)/細字(F)/中字(M)
インク:カートリッジ、コンバーター
購入できる場所: ホームセンター、文具売り場が広い本屋、家電量販店など

登場時に比べて、軸やキャップのカラーバリエーションが増えました。インク残量が見える透明軸もあります。
ペン先の顔や握りやすい軸など、子どもっぽく感じるかもしれません。初心者向けであることは間違いないでしょう。
キャップはひび割れしやすいらしく、誤飲対策で穴が空いているので乾燥しやすいそうです。万年筆玄人はマステやレジンで塞いでいるようです。転がりにくい形はしていますが、クリップ=転がり防止の出っ張りがないので注意が必要かもしれません。ペントレーやペンレスト(箸置きのようなもの)があると安心です。

▲製作裏話とか好きな方は読むと楽しめるかもしれません。

PLATINUM プレジール🇯🇵

価格:1,100円
字幅:細字(F)/中字(M)
インク:カートリッジ、コンバーター
購入できる場所:ホームセンター、文具売り場が広い本屋など

簡単に言うとプレピーのレベルアップ版です。ペン先は共通で、見た目の高級感がアップして万年筆らしくなりました。軸色が豊富なので、選ぶ楽しみがあります。「プレピーの書き心地はいいけど、ちょっと軽い」という場合の選択肢にも。
もちろんスリップシール機構も健在です。

SAILORセーラー ハイエースネオ🇯🇵

価格:1,100円
字幅:F(細字)
インク:カートリッジ、コンバーター
購入できる場所:文具売り場が広い本屋など

インク残量が見えた方がいい場合は、透明軸のハイエースネオクリアがあります。実物を見ましたが、くっきり透明ではなく半透明っぽいです。無印良品のボールペンみたいな、すりガラス感。

セーラーは空カートリッジを扱っているので、自分の好きな色のインクカートリッジを作ることができます。(使用済みカートリッジを洗って再利用する人もいますが、抜き差しを繰り返すと口が歪んでインク漏れすることがあるそうです。空カートリッジはその辺どうなんでしょう?)

セーラーは四季織しきおりのカートリッジがあるので、赤青黒のような普通の色以外もカートリッジで使えます。そして気に入ったらボトルで買えます。

J.Herbinエルバン カートリッジインク用万年筆🇫🇷

価格:1,000円くらい
字幅:F(細字)
インク:カートリッジ
購入できる場所:ネット

まだ実物を見たことがないです。大きい文具店なら置いてあることもあるそうです。(未確認なので購入場所はネットだけにしています)

国産カートリッジはプラの袋か紙の箱に入っていますが、エルバンのカートリッジは容れ物がおしゃれです。エルバン以外でも欧州規格の万年筆なら自己責任で使えるそうです。
インクの質感はシャバシャバ系……粘度が低く水っぽいそうです。横文字はうにょにょにょ〜って書くので、水っぽい方が書きやすいのでしょうね。

コンバーター付きもありますが、カートリッジ用とは別物です。コンバーターの分だけ本体が長くなっています。

無印良品 アルミ丸軸万年筆🇯🇵🇩🇪

価格:1,090円
字幅:F
インク:カートリッジ
購入できる場所:無印良品

ペン先が地味なことが多いプチプラ万年筆の中で、刻印がおしゃれです。ドイツのシュミット社のものと言われています。

専用カートリッジも売っていますが、自己責任で欧州規格のカートリッジも使えるそうです。

日本出版販売株式会社 Fonteフォンテ🇨🇳

価格:600円+税
字幅:F(細字/欧州統一規格)
インク:カートリッジ、コンバーター
購入できる場所:書店、ネット

販売場所がちょっと特殊で、万年筆なのに文具店には置いていません。それもそのはず、フォンテの属する「Hmmm!?」は、日販が書店向けに開発・展開するPBだからです。まあネットで買えるので入手には困らないでしょうが、実際に見て確かめたい派はちょっと困りどころですね。
正体は中華万年筆Jinhaoジンハオのものらしいです。違いはキャップの閉め方とか(ジンハオはグルグル回すねじ式、フォンテはカチッとはめる嵌合式)。

これまでの万年筆と比べると驚きの安さですが、キャップが別売り(250円+税)なので合計額は1,000円くらいになります。キャップが別売りということは、キャップが割れてもキャップだけ買い直せるということです。乾燥が大敵な万年筆にとって、キャップの破損は死活問題ですから。
キャップは色のバリエーションがあるので、本体1本に対してキャップを複数買って、インクによってキャップの色を着せ替える……なんていうこともできます。
本体を買えばコンバーターが付いてくるので、最初から好きなインクを使えるのも嬉しいところではないでしょうか。専用カートリッジも売っていますが、欧州規格のカートリッジも使えます。公式です。

【MEMO】Fonteのカートリッジは長めに作られているため、他の万年筆には使えないそうです。

こちら実物を見ましたが、見た目がおしゃれな部類だと思います。ペン先やキャップに金色が差してあるので、高級な印象を受けます。「インク管理の点から透明軸がいいけど、見た目が安っぽいのは嫌」という人にはいいかもしれません。

【MEMO】キャップ付き¥600+税もあり、当記事で取り上げたものは「VOL.2」とか「カスタムフォンテ」と表記されることがある方です。そんなVOL.2の主な特徴は以下のとおり。(キャップ付き¥600の方は便宜上VOL.1と表記)
・キャップ別売り(6色)
VOL.1はキャップ付き
・キャップリングは金色で統一
VOL.1はスケルトンが黒・金・銀、クリアカラーは銀色で統一
・ペン先が金銀の2色(バイカラー)
VOL.1は銀色1色
・コンバーターが透明
VOL.1はブラック

他にも1,000円くらいの万年筆はありますが、観測範囲外なので割愛します。それでも結構ありますね。

◆個人的おすすめまとめ

個人的にはこんなイメージです。

価格・機能・入手しやすさの総合力 preppy

【こんな人におすすめ】
・見た目より機能を重視する人
・万年筆を毎日使えるか不安な人
→1年ほっといても大丈夫。
・いずれは金ペンとか、ここからさらにステップアップしていこうと考えている人

→つまり「使わなくなったらもったいない(最初から本命に手を出したい)」と考える人。使わなくなっても、メインとは違う色を入れてサブとして活用できる。頻繁に出番がなくても大丈夫、スリップシール機構だからね。
▼多本使いの参考はこちら。

あとは本命万年筆に入れるには心配なインク(古いもの、自分で調色したものなど)のテスト用にしたり、イラストを描く人なら水を入れて水筆にしたりなども。
透明軸の有無:⭕️
字幅の選択:⭕️

線の太さだけで言うと、シャーペンやボールペンで0.3mmを愛用しているなら100円高くても極細がいいのではと思う。細字は0.3愛用者が思うほど細くない。(プレピーの細字はボールペンの0.5くらいに見える)

完全なる万年筆初心者向け kakuno

【こんな人におすすめ】
・正しいペンの持ち方ができる人
・正しいペンの持ち方を覚えたい人
→グリップ(書くときに持つところ)が三角形なので、正しい持ち方ができていない人は持ちにくく感じるかもしれない。
・万年筆の扱い方が何もわからない人

→公式サイトに使い方から手入れの仕方までの丁寧な説明がある。
色彩雫いろしずくを試してみたい人
→色彩雫の一部がカートリッジで登場予定。

▲発売延期になっている。
透明軸の有無:⭕️
字幅の選択:⭕️
「万年筆を使うことのハードルを下げ、裾野を広げた功績を持つ」と言っていい万年筆。最初の一本としてはかなり向いている。

ビジュアル系 Fonte

【こんな人におすすめ】
・機能より見た目を重視する人
・マニキュアをするとテンションが上がる人
→筆記中、ふと手元を見た時に綺麗なものがあると嬉しいよね。
・万年筆はないけどインクボトルがある人
・使いたいインクがあり、それがボトルの人
→最初からコンバーター付き。
・カートリッジでも使い切れるか不安な人

→コンバーターに入れるインク量を少なくすれば使い切れる。
透明軸の有無:⭕️
字幅の選択:❌

難点はペン先に個体差があること。上手く線を引けないハズレ個体を引いてしまう可能性がある。(国産だとその点は安定している)

三大国産万年筆メーカーと言われている(ような気がする)セーラーも入れたかったのですが、「最初の一本」としては個人的には推しどころが難しく……。慣れてきたらグイグイ選択肢に入ると思うんですけどね、アンコーラとか。

ふでDEまんねんとか。


万年筆はボールペンと違って、線を引けるペン先の向きが決まっています。つけペンで漫画を描いたことのある人なら、感覚がわかるのではないでしょうか。まずはそれに慣れる必要があると思います。筆記中にペンを握り直してペン先の向きを変える癖があると結構大変です。

◆巻末おまけ

ここから先は余談です。

付録の話

都会じゃないとスタンダードな色以外で容量の少ないインクを入手する機会はなかなかないので、雑誌付録はいいですね。でも付録インクの色が気に入って、もっと欲しくなった場合はどうしたらいいんでしょう……?

万年筆自体を付録で入手するのもありです。その場合は機能より見た目重視になると思います、紹介文は大体見た目のことばっかりなので。

▲これ気になって書店に行ったけど、見つからなかったです。残念。

【MEMO】サライ2022年6月号付録 サライ×丸善共同企画 サライ謹製万年筆「ミニ檸檬」
・2022年5月9日発売/1,300円/小学館
・万年筆に取説とカートリッジ1本が付属
・ペン先はスチール(鉄ペン)
・キャップはねじ式
・カートリッジは欧州共通規格ショートタイプ
梶井基次郎の『檸檬』の舞台となった丸善が、同作をモチーフに作った「檸檬万年筆」のミニ版。
ミニ檸檬自体は2005年にLapitaラピタの付録として登場済みだが、ラピタ版とは軸の素材やクリップの形などの違いがある。

カートリッジ比較

上:プラチナ プレピー付属のもの
中:セーラー ジェントルインク(名称・パケ変更前)
下:ダイソー 金属軸用のもの

国産カートリッジと欧州規格カートリッジ、大きな違いは径でしょうが、長さもかなり違います。
欧州カートリッジでもショートタイプ/ロングタイプがあるようなので、購入時には長さも要チェックです。
しかしこうして見ると、セーラーは再利用には不向きな気がします。簡素というか貧弱というか。玉もないですし。だから空カートリッジを別売りできるのでしょうか。

カートリッジはそれぞれで封がされているから、同じ容量ならボトルより鮮度を保てます。とはいえ、やはり長期間経つと劣化します。8割引で売られていた7年前のカートリッジは最初は普通に書けていたものの、ペンを止めて10秒くらい考えてからまた書き出したらインクが出なかったり、途中で掠れたりして駄目でした。乾燥して水分が減る=粘度が高くなって詰まってしまっているのかなと思います。

最初は少ない本数のカートリッジや小瓶を買うのが良いでしょう。コスパは大瓶がいいに決まっていますが、単価が安くても駄目にしたら意味ないです。がっかりするとやる気も落ちます。大瓶は憧れますが、まずはカートリッジなど少量で使い切るペースを把握してから手を出すのが良さそうです。

万年筆の洗い方

数ヶ月放置していたダイソー金属軸万年筆を洗いました。

【MEMO】万年筆(カートリッジ式)の洗い方
①キャップを外す
②軸を外して、ペン先を上に向けてカートリッジを引き抜く
→下向きだと残ったインクが垂れてくるから
③ペン先を流水で洗う
 ◆インク詰まりがやばい場合
 ③-1.ペン先をにドボンして一晩浸ける
 ③-2.スポイトを使ってペン先にを送る
→万年筆に影響が出るかもなので、お湯や洗剤は使わない(水ではなくぬるま湯を使う人もいる。セーラーは常温推奨・ぬるま湯でも人肌程度ならOKとのこと)
柔らかくて毛羽立たない布で水分を拭き取り、よく乾かす
→万年筆が傷つかないように柔らかく、繊維がつかないように毛羽立たないものを使う

▼乾燥時の参考はこちら。

底面がメッシュになっているので、水が溜まりません。(だから下に水受け皿とかキッチンペーパーとかを敷いておいた方がいいかも)

万年筆の中でもインクが乾いていそうなので、浸け置き=ドボンコースです。
洗浄はインクが見えるように透明な器を使うのが良いです、綺麗ですし。これはダイソーで買ったビーカーですが、ペン先が全部浸からない(浸からなくはないけど浸けようとすると水量が増える=こぼれる可能性が上がる)ので、もう少し大きいサイズの方が使いやすいと思います。

ハイエースネオクリアもビーカーにドボン(=縦向き)しておいたのですが、丸部分にインクが溜まって取れませんでした。この時はスポイトがないので水で押し出すこともできず、仕方がないので適当な容器(これは卵豆腐のいれもの……)に横向きでドボン。写真のように流れ出てきました。
透明軸だとインク残量はもちろん、洗浄具合も見られるので管理しやすいです。握力には気をつけなければなりませんが(ボールペンでも力を入れすぎて、たまにビキッとかミチ……とか言う。あまりにもゴリラだと割れるので、本当に注意)。

水の汚れが激しい場合は何度か取り替えてドボンしておきます。

紙の話

万年筆を使うには、インクはもちろんがないと楽しめません。私は最初にここでつまずきました。万年筆に適した紙がないと、書いていても全く楽しくないんです。にじむ、裏まで染み込む、ヒゲが出る、繊維を食う……ストレス!

入手しやすく安いものとしては、ダイソーのプレミアムシリーズのノート・メモ帳がよく挙げられます。

左からB6、A6、B7

裏表紙に「本文には、高級筆記用紙のクリーム上質紙を使用しています」と書いてあるのが目印です。

B7無地のメモ帳の裏より

品揃えは店舗によるので全てを網羅できていないと思うのですが、参考までに。サイズ展開は確認できている分で4種類です。
 B7サイズ・100枚・赤/青/白
 A6サイズ・52枚・赤/青
 B6サイズ・40枚・青/白
 B5サイズ・30枚・赤/白
表紙は3色あり、中身を示しています。
 赤:5mm方眼罫
 青:7mm罫線
 白:無地
他に、マンスリースケジュール帳(青/白)もあります。
以前は表紙の色に緑やオレンジ、水色があったようですが、今は見ません。罫線もAとBがあったそうな。(7mmはA罫)
所用で5店舗を巡ったついでに確認しましたが、プレミアムシリーズを置いている店舗は多くないと思いました。置いてあっても一部だけだったりしますし、好みのサイズや中身があれば少し多めに買ってもおくと安心かもしれません。いちばん置いてある確率が高いのはB7メモでしょうか。

ここからは私が所持しているB7無地・A6方眼罫・B6無地の3冊を紹介していきます。
B7サイズは天糊のメモ帳、他は糸での中綴じ製本ノートです。A6は2冊を合体させています。

紙はクリーム上質紙の名の通り、ほんのり黄色がかっています。文庫本よりは濃いめでしょうか(文庫本にもよるでしょうが)。触り心地はすべすべしていて、大学ノートやルーズリーフより厚みがあります。総合すると、ちょっと厚いクロッキー帳の紙みたいな印象です。

5mm方眼罫は罫線の色がちょっと濃い気がします。淡い色のインクだと負けてしまいそうな、イラストを描くと邪魔になりそうな。
B7メモは穴を開ければミニ6手帳のリフィルにも使えます。ミニ6バインダーも100均にあるので、そちらで保管もできます。

実際に書いてみると、引っ掛かりは感じず、にじみもありません。黒(プレピー黒)や青(セーラー青)などの濃い色は多少裏写りしますが、黄色(プレピー)は目立ちませんでした。淡い色なら両面筆記できそうですが、シャバシャバ系インクだとまた違うかもしれません。
無印のラインマーカーのあんずいろとからしいろは大丈夫〜気にならないレベルでしたが、うぐいすいろは明らかに「染み込みましたっ!」という感じで裏抜けしました。特に最初と最後(入りと抜き)は注意です。
裏抜けしにくいと言われるバーサマジックは、少し裏抜けしましたね……。インク量が多かったり、スタンプを強く押しつけすぎたのかもしれません。

【MEMO】裏写りと裏抜け
当記事では以下の意味で使っています。
裏写り:裏から書いた文字が透けて見えるだけ
裏抜け:裏にインクがにじむ(染み込んでいる)

万年筆の扱い方(編集中)

・使わない時はどう置けばいいのか
「ペン先を下にしない」以外は割と自由。なぜペン先を下にしてはいけないのか、それはインクが漏れたらこぼれるから。なので、ペン先を上にして立てるか、横に置くかの二択。
プレピーは横置きしてもペン先がちょっと浮いて高くなっている。
ペン先を上にしておく場合、書き出しがかすれることがある気がする。描く前にペン先を少し下に向けたり、適当な紙に試し書きをしてからにすると良い。
・持ち運ぶ時はどうしたらいいのか
普段使いのペンケースに万年筆をそのまま突っ込んでもいいが、一緒に入っている文具によって万年筆のペン先が下を向いたり、カバンの中でペンケース自体がペン先が下を向く形になるかもしれない。なので、細身のペンケース(布製ポーチ型や缶ペンなど)に分けて、カバンの中でもペン先が上を向くように固定できると安心(内ポケットに立てるとか)。
缶ペンの場合は振動で万年筆が動かないように、動いても傷つかないように、内側に革やフェルトを貼る。ベルトをつけて固定してもいい。複数本入れる場合は仕切りをつける。
ペンケースの中にマルチクロスを入れておくといつでも磨けるし、多少の緩衝材にもなる。
1本入れのペンケースを探すなら、歯ブラシケースも視野に入れると良い。


◆ネタメモ
◇字下手の民には字幅太め&染料淡色インクがおすすめ
→インクの濃淡が見やすい
そもそも万年筆は力を入れなくても書けるし、普段使っているペンとは違うから、慣れるまでは書くのがゆっくりになると思う。丁寧に書くだけで字の印象は良い方に変わることが多い。その上、字の色に濃淡がつけば脳内補正がかかって上手く見える……かもしれない。
◇毎日何を書いたらいいのか
・カレンダーや手帳、日記
・書写
Twitterでお題を流しているアカウントがたくさんある。和の色とか食べ物とかテーマ(=特色)のあるアカウントも多いから、好きなテーマを選ぶと楽しく書けると思う。
◇情報収集とストーキングは紙一重

最後までお読みいただき、ありがとうございました!