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藤巻さんと『ジャパン・ミュージックブリュット・フェス vol.2 』


2021年12月5日(日)

愛知県名古屋市で『ジャパン・ミュージックブリュット・フェス vol.2 Do It !!~おめーら熱苦しいんだよっ!~』が開催された。

全国から8つの個人・団体が集結し、人数を40名に限定だったが会場にもお客様が見えられた。チケット完売であった。

本当に素敵な機会をいただいた認定NPO法人ポパイさん(愛知県名古屋市)、NPO法人希望の園(三重県松阪市)に心より感謝する。

今回のこの取り組みについては、ブロック事業の報告書でしっかりまとめたいと思う。


8つの個人・団体のうち、その1人がYOHKOさんであった。YOHKOさんがステージに上がる時は私が関わっていることが多いのだが、今回は企画者の希望の園の村林理事長のオファーであった。


なぜ村林理事長の目にYOHKOさんが止まったのか。


経緯は9月に遡る。

「最も自由な人たち」VOL08が今回と同じ会場で行われた。

当初、東海・北陸ブロック全域からパフォーマーを集めて開催する予定であたが緊急事態宣言下での開催で、県をまたいだ移動が非常に難しくなった。

そのような制限の中、新潟県下で出場者を募ったところYOHKOさんと藤巻啓介さんが名乗り出た。

藤巻さんは、自身が主催するピアサポートグループほほえみの木としてのエントリーであった。


YOHKOさんのエントリーは予想通りであったが、8月後半頃から様々な事情で私とYOHKOさんとの関係はかなり悪化していてごちゃごちゃしたやり取りをしていた。一応お伝えしておくと、こちらが被害者としての側面が大きく、後日YOHKOさんも認めている。

関係が悪化している中でも電話は毎日かかってきており、出ない日もあれば「今日は良い天気ですね」を連呼するなど意地悪な対応をしたこともあった。

YOHKOさんから「なんでそんなに傷つくような話をするんですか」と言われ「傷つけているつもりはないですけど、傷ついて辛いんなら電話しなければいいんじゃないですか」と返したこともある。

その後、新潟市内で顔をあわせて直接対決をしたのだがそこでも平行線。


そのような状況の中、「最も自由な人たち」VOL08を迎えた。私は緊急事態宣言下であったため当初伺わない予定であったが、YOHKOさんが暴走しないか気になり当日急遽リハーサルだけ様子を見ることにした。

リハーサル会場につくと、藤巻さんがすぐに気づいてくれて声をかけてくれた。

「みんな凄くレベルが高くて、来て良かったです。今日は自分のやれることを発揮します。YOHKOさんを探しているんですけど、まだ来ていないみたいなんですよ。」


リハーサルの時間が迫ってきたが中々会場に姿を現せないYOHKOさん。

近隣を探してみるがいない。会場内も再度確認したがいない。

これだけはしたくなかったが、こちらから電話をかけてみたがつながらない。

イライラを抑えながらもう一度会場付近を捜してみると、雨の中、傘もささず自転車にのった通行人の方に会場を聞いている姿が見えた。


そのタイミングで私が声をかけると、

「なんでここにいるの。決して道に迷ってたわけでじゃないですからね。」

と喧嘩腰で言い訳を大きな声でしてくる。これはダメだと思い、会話には参戦せずひたすらついてこいと会場まで誘導した。

リハ終了後、YOHKOさんはぶつぶつ文句を言いだした。本当は出場したくなかったと言い出してきた。


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私が、ああ、そうですかといった態度をとればとるほど声は大きくなる。そんな時に横でギターを弾いていた藤巻さんが口を開いた。

「YOHKOさん、自分がどんな立場でここに来てるか分かっているの?自ら志願して新潟代表として出てんだよ。主催者の方がここまできちんと準備してくれたのに、こんな場所で騒いで失礼じゃない?誰も悪いことをしてないじゃないか。騒がず、真剣にパフォーマンスをやろうよ。」

口調はいつもながらの優しい藤巻さんそのものであったが、明らかに怒りが込められていた。

このやり取りでYOHKOさんは大人しくなり、午後のステージをやり遂げる決心をした。私も同じようなことを言ってはいるのだが、藤巻さんからの言葉は違う伝わり方をした。


昼休憩時に藤巻さんとコンビニに向った。

YOHKOさんとのやり取りに礼を言うと、イベント終了後、YOHKOさんが会場に居座らないようちゃんと面倒みますよと心強い言葉をもらった。

私は御礼にコンビニでタバコだけ買って藤巻さんに渡し、帰路についた。


そういったやり取りのお陰で、YOHKOさんは大きなトラブルもなく見事パフォーマンスをやり遂げ、村林理事長の琴線に触れたのであった。

藤巻さんの一言は、YOHKOさんの活動の大きな飛躍につながった。



2021年10月10日

藤巻さんに、突然さよならを告げられた。

多くの方がさよならを返せなかった。私も未だにさよならを言っていいものか不思議な感覚がある。

『未完成のまま、一歩を前へ』が藤巻さんの口癖であった。一歩どころか、はるか手が届かないところに瞬時に行ってしまった。

YOHKOさんもショックを受けていた。いつでも会えるものだと思っていて、話してみたいことも次にとっていたらしい。

藤巻さんから叱責された言葉を反芻し、NASCとのこれまでのやりとりも冷静に見つめなおしたそうで、素直な謝罪の言葉をもらった。今までのような言い訳もなかった。


2021年12月5日(日)

前日、フォーラムの運営をしていたため正午頃に会場に到着した。

村林理事長が昼食をとられていたので挨拶した。YOHKOさんもしっかりリハを行ったとのこと。

昼食を買い会場を出ようとしたところでYOHKOさんに遭遇した。荒れた様子もなく、しゃべっている内容は中々なのだが本番に向けた意気込みを感じた。控室でも大人しく前回とはまったく違う様子に驚いた。

YOHKOさんはパフォーマンスで藤巻さんに込めたメッセージを披露した。9月に藤巻さんと共にステージに立った地で語られる言葉には力があった。面白くもあり、悲しくもあった。


藤巻さん自身が描く、未来地図はここまでとなったが、新たに『ジャパン・ミュージックブリュット・フェス vol.2 』が書き加えられ、未完のまま色んな方が『一歩前』を描いていくのではと思う。

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