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#18 LIVE REPORT_2022_10_22_Give Me Liberty_Release Party(文:Nii Shinnosuke/photo:sekido)


photo by sekido 


よく晴れた10月の夕方だった。
渋谷の高層ビルの西向きの一面がみごとなオレンジ色に染まっていた。
下北沢ベースメント・バーに17:30に着いた。フロアは空っぽだった。空っぽのダンスフロアの上では、ミラーボールが回り、幾つもの小さな光の輪っかが誰にも踏みつけられることもなく、流れ続けていた。水族館の回遊魚のように伸び伸びと、誰にも邪魔されずに。


誰もいないダンスフロア。この風景から始められてよかった。それは象徴だ。何かがまだ始まっていないこと、何かが沸き起こること、そして何かが確実に今日終わることを、ひとりでに示しているような。

何かとは、ある一日のことだ。一度きりの出来事であり、肉体の上を過ぎていく時代であり、きわめて個人的なひとつひとつのことだ。それは、飲み終わってしまうビールであり、向こうに現れた友人の微笑みが次の瞬間には人混みに消えてしまうことだ。演奏の最後のストロークの響きが、不安な空洞へ消えていくことだ。

もう二度と、逃した魚を釣ることはできないのは、海があまりに巨大で、単純であるからで、その茫漠の中に僕たちは今日もいる。


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