核は「使える兵器」になる

2022年2月24日にロシアのウクライナ侵攻が始まり、「まさか今のヨーロッパで戦争が起きるなんて」と思った人たちは多いだろう。

日本人の多くは正常性バイアスに囚われている。お花畑ともいう。

次は「まさか核兵器が使われるなんて!」というサプライズがやってくるだろう。

「核戦争は人類滅亡につながるから起こらない」という幻想

冷戦期には核戦争は現実味を持って語られ、それが起きたならば地球には核の冬が訪れて、誰一人として生き残ることはできないと信じられてきた。

時は流れて、核兵器技術は格段に進歩してきた。特に通常戦力ではNATOに劣勢であると考えたロシアにおいて。

日本を含む西側先進国では、弾道ミサイル防衛システムと相互確証破壊が信じられていれば、核戦争は起きないと「信じられてきた」。

ロシアでは、「核兵器は使える兵器だ」と信じさせるためのさまざまな技術開発が進められている。

いわく、極超音速ミサイル、原子力巡航ミサイル、核魚雷などだ。これらは都市伝説などではなく、使える状態になりつつある兵器たちだ。これらは現存のミサイル防衛システムだけでは防ぐことができない。

また、ロシアでは広大な国土を活かした、シェルター・地下都市も作られているという。

つまり、核兵器は防げないし、全面核戦争になっても人類は滅びないし、勝者と敗者も存在するという状況だ。

冷戦期の前提は崩れ、核は使える状態になりつつある。

大国同士は属領を守るために核戦争はしない

また、ウクライナ戦争で明らかになったように、世界大戦・核戦争を恐れる核を保有する大国同士は、自国にリスクとあれば直接対決を避けるということだ。自国民数億人の命と引き換えに小国のために核兵器を使うなどありえない。

核兵器を製造・使用する能力を示すことも抑止にはならない

潜在的核保有国。日本のことをこのように呼ぶ人たちがいる。その意図は「日本は核抑止力を持っているのと同じだ」と言いたいのだろう。

「核を作れます」という能力など示しても抑止にはならない。原発を保有し核兵器を製造もできるウクライナであっても、攻め込まれた。直ちに使える状態でなければ抑止力にはならない。

市民を虐殺するための兵器というわけではない

核兵器の用途についても、日本人はステレオタイプに考えすぎる。広島・長崎が繰り返し語られ「核兵器は市民の大量虐殺の兵器」のように刷り込まれている。

実際は何にでも使える。よく知られているのはEMP攻撃。

地中や海中の設備に使うもよし、広域に展開した敵軍を葬るのに使うもよし、衛星攻撃に使うもよし。何でもありだ。

このあたりも核使用の敷居を下げることにつながる。

誰かが核兵器を使い通常兵器の一部として核が使われる時代が来る

これまで、様々な人々が核は使えないと大衆を信じさせて、核戦争を防いできた。しかし、緻密に積み上げた核抑止の理論も、誰かが核を使った瞬間、そんなものは机上の空論でしかなかったことに気がつく。

その誰かはロシアかもしれない。

皆が「核は使える」ということに気がつくと、俄然、核兵器先進国が優位になる。

だから、プーチン大統領に核兵器を使用する口実を与えてはいけない。ウクライナがロシアに編入された未承認国家(クリミアヤドンバスなど)に侵入して奪おうとすれば、核を使う口実となるだろう。

我々は時代の転回点にいる。「想定外でした」と準備を怠ってきた言い訳をしないで済むように、核が使われることを前提に必要な準備をするときが来た。議論などしてる時間はない。


日本の危機を広く知ってもらうため日々noteで投稿しています。あわせて日本復活に必要と考えている新しい技術・産業についても書いています。