将棋の海外普及と表記方法
藤井二冠の活躍によって将棋界はここ数年かなり賑わっております。一方で八王子や新宿の将棋道場が閉鎖し、営業中の将棋道場もコロナ禍によりかなり厳しい状況にあるのではないかと思いますが、それはまた別の機会に言及したいと思います。将棋フィーバーといっても所詮は日本国内の話、これまで様々な方々が将棋の海外普及に尽力されており、少しずつ海外でも普及しているのではないでしょうか。
当サークルでもいつかは英語コンテンツをやりたいなあとは思いつつ、英語に長けている人材がいないのと、採算が合わなそうなので手を出せていない状況です。
各国への普及にあたる問題点
1.欧米
1.1.漢字の障壁
欧米人、というか日本人と中国人以外はほとんど漢字が読めません。なので参入障壁を低くするために、漢字を用いない国際駒や棋譜表記方法が発案されています。
1.2チェスとの競合
欧米では将棋の代わりにチェスが普及しています。日本でチェスがあまり普及していないのは、我々が「チェスやるなら将棋やるわ」と思っているのでは?(少なくとも筆者はそうです)。同様に欧米人も「将棋やるならチェスやるわ」と思っている??
チェスは将棋と違って持ち駒を使えないので、終盤の指し手の選択肢は少なく、終盤の定跡が存在するようです。「将棋は序盤は静かに、終盤は激し終わる」「チェスは序盤は激しく、終盤は静かに終わる」と対比されるようです。将棋では駒を交換すると局面が複雑化し、チェスでは駒を交換すると局面が簡単になります。不利な側は逆転するために局面を複雑にするのがセオリーですが、将棋はどんどん駒をぶつけて複雑化、チェスは駒をかわして単純化を避けるようです。これは面白い違いだと思いました。
2.中国
2.1.漢字
当然中国人は漢字が読めますね(繁体字や簡体字の違いはある)。駒や棋譜の表記方法の障壁は低いのではないでしょうか。中国で本格的に将棋が普及した場合は日本人は歯が立たないかもしれません。
2.2.象棋(シャンチー)との競合
中国にも象棋という将棋に似たゲームがあり、プロ棋士が存在するようです。ルールはチェスより難しいようで、wikiでざっと見ただけで指すのは難しいと感じました。日本だと所司先生が有名です。
沖縄ではチュンジーという名前で普及していたようです(現在の競技人口は不明)。
3.ベトナム
ベトナムも漢字文化圏ですが、漢字を撤廃してアルファベットを用いています。また、ベトナムでもシャンチーが遊ばれているようです。
4.韓国
4.1.漢字
韓国は漢字を撤廃してずいぶん経つので漢字はあまり読めないと思います。
4.2チャンギとの競合
韓国にもチャンギという将棋類があり、プロ棋士が存在します。ルールはシャンチーに似ているようです(つまり良く分からない)。
棋譜の英語表記
棋譜の英語表記について、チェスの表記方法を参考に発案されていますが、チェスに近づけるほど将棋プレイヤーにとって分かりにくくなります。
チェスの棋譜表記(wiki)
また、kifu for windowsには棋譜を英語表記で保存する機能があります。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8二飛
まで16手で中断
上のki2形式の棋譜を英語表記(gam形式)で保存すると以下のようになります。
1.P-2f P-8d 2.P-2e P-8e 3.G-7h G-3b 4.P-2d Px2d 5.Rx2d P*2c 6.R-2h P-8f 7.Px8f Rx8f 8.P*8g R-8b 9.quit
…見にくいですね。チェスプレイヤーには見やすいんでしょうか?見にくい原因として考えられるのは以下の点。
1.将棋は先手後手それぞれ1手として記録するのに対し、チェスでは先後1セットとして記録する。
2.将棋では「座標 駒」の形式なのに対し、チェスでは「駒 座標」の順になっている。
3.将棋では「アラビア数字+漢数字」で座標を表すのに対し、チェスでは「アラビア数字+アルファベット」で座標を表す。
4. xとか*とか良く分からない記号がある(xは取る、*は打つを表しているようです)
チェスに則るのも有力な手段ですが、最終的に日本語表記の棋譜に慣れてもらうためにも、将棋形式に近い形式にしたいです(個人的見解)。日本の将棋指しの普及活動も楽になると思います。
棋譜の英語表記(提案)
駒の表記
王=K King
飛=R Rook
角=B Bishop
金=G Gold
銀=S Silver
桂=N kNight
香=L Lance
歩=P Pawn
龍=D Dragon
馬=H Horse
と金=pP pro
成香=pL promoted Lance
成桂=pN promoted kNight
成銀 pS promoted Silver
この辺は従来発案されているのと同様ですね。
棋譜表記
▲26Pのように、
座標をアラビア数字に統一し、記述方法は将棋方式に従う。
以下の表現は日本語を英語に代えて表記する。
打=d drop
成=p promote
不成=np not promote
同=s same
寄=h horizontal, (side とかだとsameと被る)
上= f foward, (u upward)
引=b backward, (d downward)
左=l left
右=r right
直=v vertical, (e erect)
ちょっとこれで記述してみましょう。
▲26P △84P ▲25P △85P ▲78G △32G ▲24P △sP ▲sR △23P ▲28R △86P ▲sP △sR ▲87P △82R
見やすい…見やすいか?
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