祝い歌が流れる夜に・原嘉壽子のオペラ作品

前回の記事で紹介した表題のオペラ作品、「祝い歌が流れる夜に」(原嘉壽子 作曲)は、もともと1972年に放送された、菊村到原作のNHKのテレビドラマである。
その情報がネットに掲載されていたので、コピペさせていただいて・・・

放送:1972/08/19(土) 22:30-23:40

【毎日新聞1972/08/19付より引用】
戦争で肉親を失い、不幸のどん底にたたき落とされた女が苦難に耐えながら生きていく。「人間は自分の意思とはまったく違ったところで生き続け、本人は気づかずに他人を不幸のどん底に突き落としていることがある、という悲劇をサスペンスタッチで描いた菊村到の書きおろしドラマ。海に近いある町の実力者・金沢公一郎(加東大介)の家で、娘みどり(川口晶)のための盛大な婚約披露宴が繰り広げられていた。その祝いの席に突然しまと名乗る女性(八千草薫)が訪れた。かつてお手伝いさんをしていたこの中年女性の出現は、祝いで浮かれていた家族一人々々の間に、それぞれ暗い過去をよみがえらせ、祝い歌が流れる夜は一転して意外な結末へと向かっていく。

主な出演:加東大介、八千草薫、安田道代(大楠道代)、木暮実千代、山田吾一、川口晶(国重晶)、亀谷雅彦、佐藤博、嵯峨善兵、南条みつ江、小笠原まりこ、家元備子、速水玲子、堀辺隆一
脚本:菊村到
演出:大原誠


さて、オペラの初演は1984年10月5日 池袋サンシャイン劇場。
日本オペラ協会の公演で、伊藤京子、藤井多恵子、平野忠彦、砂田直規 各氏らが出演。その後も公演を重ねている。

作曲の原嘉壽子(本名:原和子)は生涯18曲のオペラ作品を書いた。この「祝い歌」と「脳死をこえて」のに作品は特に有名だが、「シャーロック・ホームズの事件簿」「罪と罰」など海外文学のオペラも書いている。
芸術選奨文部大臣賞、ジロー・オペラ賞、紫綬褒章などを受賞した。

原先生には一度だけお目にかかったことがある。二期会研修所の研修演目で「祝い歌」と「脳死」を取り上げた折、その試演会を原先生が聴きにいらしたのだった。
とても穏やかにお話しされる方で、こんな方がずいぶん尖った作品を書くものだな、と感じたのを思い出す。研修生の演奏にとても感激されていた。
残念ながらそれ一度きりの思い出だが、こうしてまた作品に関わることができて、改めてその筆致の強さ、確信に満ちた音選びに再び感動を覚えている。

個人のFBで公演の宣伝をしたら、知人が「原先生にソルフェージュ習ってました」とコメントしてくれた。
そして「祝い歌」の初演も観たそうで、やはり穏やかな原先生のどこにこんな尖ったものがあるのか、と思ったそう。

今回はプログラムの最後に持ってきた。とても重い内容だが、聴きごたえある作品、ぜひ多くの人に聴いていただきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?