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【英語看板のお手本】第7回「エスカレーターでの注意:身を乗り出さない」

2023年11月12日

By 鶴田知佳子

【よく見かける場所】

・電車、地下鉄、汽車等の駅のエスカレーター
・空港・ショッピングセンター・遊園地等の施設内のエスカレーター

【英語表現】
身を乗り出さない
Do not lean over handrail
手すりに乗らないでください
Do not lean or climb on the handrails

危険ですので身を乗り出さないでください
Do not lean over the handrails.

Do not lean on handrail

No sitting or leaning on handrail

【解説】
東京地下鉄 虎の門ヒルズ駅の改札から長いエスカレーターが続いていますが、そのエスカレーターの壁には表紙写真のようにエスカレーターの使用全般についての注意がピクトグラムとともに書かれており、左の列の上から三つ目が今回のブログシリーズでとりあげたい「身を乗り出さない」です。

「駆け込まない 歩かない」「ベビーカー・車いす・台車を載せない」に続いて「身を乗り出さないDo not lean over handrail」と表示されています。ちなみに次に示しているのがアメリカ、ホノルルのショッピングセンターの中のエスカレーターに示されていた注意書きです。


ピクトグラムとともに一番上の左に、No sitting or leaning on handrail とあります。先ほど見た虎の門ヒルズ駅でのものと比べると、ピクトグラムも違いますし、handrailに寄りかからない、座らないようにとなっているのが違っています。身を乗り出さないをそのまま表現するなら、Do not lean against or reach over the sides of the escalator となりますが、手すりについての表示は寄りかからない、座らないになっていますが、いちばん上に注意として示されているのは、大事な注意点であるからでしょう。

次に日本のショッピングモール、渋谷のスクランブルスクエアの例をみましょう。


CAUTIONと上に大きく掲示しているのはアメリカ、ホノルルの場合と共通していますし、ピクトグラムもよく似ていますが、日本語での表示は「手すりに乗らないで下さい」となっています。掲示場所は、虎ノ門ヒルズ駅と同じくエスカレーターの側面ではありますが、少し上に飛び出すかたちで目につきやすくなっています。

しかも、この下に書かれている注意の中に「危険ですので身を乗り出さないでください」とDo not lean over the handrails. と危険をあらわすピクトグラムとともに表示されています。しかしこれは、虎の門ヒルズ駅でのピクトグラムとは違っています。
ちなみにいちばん上に出てくる注意は、虎の門ヒルズ駅でも「駆け込まない 歩かない」「Do not run or walk」であったのと同じく、渋谷のショッピングモールでも「かけ込み禁止・歩行禁止」(Do not run/Do not walk.)となっています。ところがこれは、ホノルルの場合にはありませんし、エスカレーターでの注意として一番に上がっているのが、No sitting or leaning on handrail です。

当会としては、看板は使われている場所で意味が十分に伝わるというのがいちばんであると思っております。日本であれば、レールに座ったりする人はまずいない、それよりも、「身を乗り出さないで」に相当する、Do not lean over the handrails. と危険をあらわすピクトグラムとともに表示するのがよいのでは、と考えます。

今回は、エスカレーターでの注意、そのなかでも「身を乗り出さない」の表現を中心にとりあげました。注意をするにもどこに焦点をあてて表現するのか、違いが見られて興味深く感じられました。

【英語看板のお手本】シリーズ、まだまだ、続きます。お楽しみに!
(表紙写真:東京地下鉄日比谷線虎の門ヒルズ駅NNE(C.Tsuruta)

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