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「伝わらない英語」部門 2022日本の英語オブザイヤー 候補ワード

前稿に続いて、今回は「伝わらない英語」部門の候補ワードをご紹介します。誤訳や、あまり一般的には使われない英語表現によって、日本語原文の意味が損なわれてしまったワードやフレーズです。

・Do not enter the green areas (≠ 芝生立ち入り禁止)
green areaだと「緑色のエリア」の意味になり、レスリングの赤コーナー・青コーナーのようなニュアンス。英語だとKeep off the grass が一般的。植物を総称しての「グリーン」をそのまま言い換えるならgreeneryが近いが、植栽・木立といった意味合いで、芝生や花壇は指さない。

・right hand traffic (≠ 右側通行)
日本語に戻すと「右手の交通」。一般的な英語表記は、シンプルにKeep right。

all you can drink (≠ お代わり自由)
all you can drinkだと「ドリンクすべて無料」の意。「お代わり自由」はfree refills (二杯目から無料)。

・Humishige Naka body (≠ 中文繁体)
機械翻訳による誤訳例。機械翻訳の普及は多言語コミュニケーションを格段に容易にしたが、その精度にはまだバラつきが大きく、人間による校閲を組み合わせることがのぞましい。台湾などで使われている、中国語の旧字体「中文繁体」は、英語ではtraditional Chinese。ウェブサイトの言語選択オプションでは Chinese (traditional, Taiwan) と表記されることも多い。

・Catch a staff (≠ スタッフにお声がけください)
逃げ回っているスタッフを捕える、というニュアンス。Feel free to ask our staff が原文に近い。

・refuge shelter (≠ 緊急避難シェルター)
「難民キャンプ」のようなニュアンス。災害避難のためのシェルターは evacuation shelter 。

・entrance for the weak (≠ 障がいのある方のための優先出入り口)
英語では accessible entrance または handicapped entrance など。障がいのある方を弱者 the weak と訳出するのは、差別的表現にあたる。

・inundation (≠ 浸水)
気象庁HPなどで「浸水」の訳語として採用されている inundation は「人や物であふれている、覆いつくされている」といった意味合い。「浸水」に近いニュアンスは英語ではflood / flooding。 自然災害大国・日本ならではの災害関連(地震や河川氾濫など)の語彙・表現は、ぴったり表す英語がないこともしばしば。原文の意味するところを汲んで慎重に訳語を選ぶことが望まれる。

以上です。いかがでしたか?皆さんが目にしたことのあるワードやフレーズはありましたか?

 「2022日本の英語ワードオブザイヤー」結果発表は12月初旬予定。どうぞお楽しみに!



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