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怪異実話(21) -動物として再生した人のこと- ●

#00305 2014.7.24

 正保の頃、三河国の古路裳(ころも)という所に商人がいました。その母が身罷(みまか)って数年を経たある夜、夢にその母が現れ出てその商人に、「私は現世に在った時、某町の米屋・某から金を借りて、それを返し終わらずに死し、今はその家の馬と生まれ変わり、数年間償って来ました。しかしその家の主人が、私を買う人があれば売り払うと申しています。汝、母のことを思うなら、速やかに来て私を買って下さい。場所は某町の米屋・某です」とはっきり語り、夢は覚めました。

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