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天地組織之原理(134) -事代主神の御決心- ●

#00893 2024.4.16

「故(かれ)、こゝに天鳥船神(あめのとりふねのかみ)を遣(つか)はして、八重事代主神(やえことしろぬしのかみ)を微(め)し来て問ひ賜ふ時に、その父の大神に、恐(かしこ)し、この国は天神(あまつかみ)の御子に立て奉りたまへと言ひて、即ちその船を踏み傾けて、天之逆手(あまのさかて)を青柴垣(あおふしがき)に打ち成して隠りましき。」
 
 こゝに挙げたる『古事記』本伝の前に「二柱の神、出雲国の伊那佐(いなさ)の小浜に降り到(つ)きて、(中略)大国主神に問ひたまはく、(中略)汝(いまし)がうしはける葦原中国は我が子の知らさむ国と言依(ことよ)さし賜へり。故、汝の心奈何(いか)にぞとのりたまひき。こゝに答へ白さく、僕(あ)は得白さじ、我が子、八重言代主神これ白すべし、然るに鳥の遊び取魚(すなとり)して御大(みほ)の前(さき)に往きて未だ還り来らず」と云ふ文あれども、この間『古事記』には欠文ありて、前は『日本書紀』の伝を以て補ひたるが、文語の気脈通じ難き事となるを以て、これを略して「故、こゝに」と云ふより明文には挙げたるなり。

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