見出し画像

『幽界物語』の研究(44) -幽顕の理- ●

#00274 2014.1.20

参澤先生「お前は現界においても愚賓(ぐひん)などが眼に見えることがあるのか。」 #0236【『幽界物語』の研究(6) -愚賓・鬼とは?-】>>
幸安「夜中に往来する時、見ようと心を定めれば、愚賓がいる時は姿が見えます。」
参澤先生「往昔(いにしえ)、唐土には、幽冥を疑う人に霊魂や妖魔を現(うつつ)に見せる術があった。お前は知らないか。また、お前が仙境へ参る術を夜中に限るのはなぜか。鬼物を見ることがある時は愚賓だけなのか。」
幸安「現界で幽境の鬼物を人の目に見させるのは昔のことで、今の世はその術はあっても一向にできません。もしそのようなことがあれば、衆人には無い物を現す魔法者と云われるだけです。また、私が幽界へ参ることについては、白昼にその術を行っても全くできません。誠に今の世は幽と顕の道理に、きっと差別が立っているのでしょう。また、夜中に見えるのは愚賓だけでなく、魔愚賓の変化したものもことごとく見えます。」

ここから先は

2,120字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?