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『本朝神仙記伝』の研究(73) -御殿林仙人- ●

#00455 2017.1.15

 御殿林(ごてんばやし)仙人は信濃国更科郡御殿林に住む仙人なり。元上野国(こうずけのくに)の生まれと聞こゆれども、何人(なんびと)たることを知らず。明治九年、同郡榊宿(さかきじゅく)の在なる六月(みなづき)村の農夫・信平(しんべい)なる者に遇へるに因りて世に知らるゝことゝなれり。
 今その大要を挙げむに、抑々(そもそも)榊宿は天文年間、村上義清が居城たりし葛尾(かつらお)の麓にして、世に善光寺街道と云ふ往還の側にあり、六月村はその在にある小村なり。信平はその村に住し、常に小馬を率ゐて山に行き、柴を刈り取るを以て活計(くらし)をなす。

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