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天地組織之原理(132) -大国主大神の大宮造り- ●

#00891 2024.4.4

『日本書紀』曰く、「二神(ふたはしらのかみ)、出雲の五十田狭(いたさ)の小汀(おはま)に降り到(つ)きて、大己貴神(おおなむちのかみ)に問ひて曰(のたま)はく、汝(いまし)、将(まさ)にこの国を以て天神(あまつかみ)に奉らむや否(いな)や。対(こた)へて曰はく、疑はし、汝二神はこれ吾(あ)が處(もと)に来たれるには非じ、故(かれ)、順許(うべな)ひまつらず。」
 
 こゝに『日本書紀』の伝を明文に挙げたる所以(ゆえん)は、『古事記』にはこの時の大国主大神の御答へに欠くる所あるが故に、これを補はんが為に挙げたるなり。平田先哲も成文にこの伝を採られたり。
 尤もこの明文の「この国を以て天神に奉らむや否や」と云ふまでは、前段に『古事記』の明文を挙げたると全く同じ意なれば重複することなれども、これを除けば文勢の気脈を失ふが故にこれを挙げたるなれば、前の『古事記』の明文と同じことなりと知るべし。

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