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霊魂と肉体(8) -魂魄- ●

#00630 2019.12.21

 さて既に申し述べました通り、肉体は父母の系統より受け、霊魂は神より賦与さるゝものでありますが、この霊魂の妙用に魂と申し魄と申す二様の差別があります。これよりその御話を致しませう。
 
 この魂魄(こんぱく)の二字も固(もと)より支那字の音なる事申すまでもありませねど、これを我国にては、魂をミタマともヲダマシヒとも訓み、魄をミカゲともメダマシヒとも読みます。
 その事はまず『和名類抄(わみょうるいしょう)』の鬼神の部に、霊の字を挙げてその左右にミタマ、ミカゲと訓を付け、その註に、「『日本紀』に云ふ、美太万(みたま)一つに美加介(みかげ)、また魂魄の二字を用ふ」とあるは、霊の字はミタマともミカゲとも読むが、魂魄の二字を用ふる時は魂をみたまと読み、魄をミカゲと読むと申す事を示したものであります。
 次に『類聚名義抄(るいじゅみょうぎしょう)』にては、魂の字にはヲダマシヒ、魄の字にはメダマシヒと訓が付けてありますので、この読み方は孰れも正しき読み方であります。

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