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『異境備忘録』の研究(61) -水位先生の引導文- ●

#00376 2015.9.26

 水位先生には約三千人の門人がおり、徳島県小松島市の多田宗太郎氏もその一人でしたが、その入門のきっかけとなったのは、多田氏が肺壊疽という難病に罹り、医者から余命いくばくもないことを宣告され、巷の行者や祈祷師達に病気平癒の加持祈祷を依頼しても全く効果がなく、必死の想いで近くの中田皇大神宮に命乞いの祈念をしたところ、ある人を介して水位先生を紹介され、多田家を訪れた水位先生が一週間に亘って祈祷を行い、それによって多田氏の寿命が四十年延びたという事実でした。
 水位先生の祈祷によって救われた多田氏は非常に感銘を受け、宗旨も仏教から神道に替え、以後は公私に渡って水位先生に対しての援助を惜しまず、水位先生も多田家には良く足を運ばれ、親しく交流されたことが伝えられています。

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