見出し画像

『幽界物語』の研究(46) -山霊と成った人々- ●

#00276 2014.2.1

参澤先生「鞍馬山の僧正坊と呼ばれる方を知っているか。」
幸安「師の利仙君に付いて空行する途中で鞍馬山の僧正坊と申す山霊(やまのかみ)に逢ったことがあります。」
参澤先生「その時の僧正坊の姿はどうか。彼は八山霊の一人か。」
幸安「僧正坊の頭は白髪の惣髪で頭巾を被り、腰より上は黒、下は白い服を着ており、手には白い羽団扇(はうちわ)を持ち、白衣の僧一人を召し連れていました。世間で凡人が絵に描くような鼻高く翼を生やした姿ではありません。この僧正坊は八山霊ではなく、君長惣主宰正一位という位階です。孝謙天皇の天平八年丙(ひのえ)子(ね)の生まれで、寿命は千七十歳と承っています。」

ここから先は

1,898字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?