見出し画像

天地組織之原理(133) -幽顕分政の神勅- ●

#00892 2024.4.10

『日本書紀』曰く、「こゝに経津主神(ふつぬしのかみ)、則ち還り昇りて報告(かえりごとまお)したまふ時に高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)、乃(すなわ)ち二神(ふたはしらのかみ)を還し遣(つか)はして、大己貴神(おおなむちのかみ)に勅(の)りたまはく、今、汝(いまし)が言(まお)すことを聞くに深くその理(いわれ)有り。故(かれ)、更に条々(おぢおぢ)にして勅りたまふ。それ汝が治(し)らせる顕露事(あらわごと)は吾孫(すめみまのみこと)に治らしめ、汝は則ち神事(かみごと)を治らすべし。又汝が住むべき天日隅宮(あめのひすむのみや)は今当に造らし供ふべし。(中略)又汝の祭祀(まつり)を主(しらさ)むは天穂日命(あめのほひのみこと)これなり。」
 
 こゝに挙げたるは『日本書紀』の伝文なるを、この時大国主大神の国避りの伝に於ては特に至要の伝なるを、『古事記』にはこれを省かれたるが故に、その至要の欠漏を補はんが為『日本書紀』の伝を明文に加へたるなり。
 則ち前段に講じたる如く大国主大神の須佐之男大神より詔ありし随(まにま)に、その如く大宮造りのことを天津大神に乞ひ給ひしによりて、経津主神・建御雷神もその理(ことわり)に依(よさ)し給ひ、再び天に昇り坐して天津御祖(あまつみおや)、天照大御神・高皇産霊大神に奏上し給ひしに、大神等もその奏する所を聞き給ひ、大国主大神の乞ひ給ふ所は深き理あるによりて、又二神を降し給ひて大己貴神則ち大国主大神に「今、汝が言すことを聞くに深くその理有り」と詔り給ふなり。

ここから先は

1,182字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?