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怪異実話(17) -山崎宗鑑の妙手のこと- ●

#00301 2014.7.1

 山城国山崎の人、山崎宗鑑は足利将軍義尚公が御在世中の人で、能書(のうしょ、字を巧みに書くこと)で名が聞こえていました。
 ある日、その宗鑑の許へ異人が現れて、「我は天狗である。我らは六十年に一度、野州日光山に集会するのだが、我より下の者たちもそれぞれ芸能を持っている。我は上に立つ身分であるが一芸も知らない。某の日は日光山の集会の日に当たるので何か一芸を披露しようと思うのだが、君には能書の聞こえがある。某の日、我に君の能書の手を貸してもらえないか」といいました。

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