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『仙境異聞』の研究(25) -陰徳を積む- ●

#00160 2012.3.13

平田先生:ある人が寅吉に次のようにいった。
「お前の師である杉山山人は、誠に神通自在で道徳も類なく聞える。だから宮を構えて祭ろうと思うのだが、どうか霊代(みたましろ)とする幣(ぬさ)を切ってくれないだろうか。」
寅吉「それは全く無用のことです。その訳は、私の師は何か思う旨があると見えて、深くその徳を包み、身を隠して山人となり、人に拝まれ祭られることは好まれません。私が下山する時も、一般の人には岩間山で称する名だけを云って、志ある人であっても双岳、古呂明という道号までは云っても、実名は云ってはならないと固く戒められます。

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