怪異実話(27) -財欲深き人のこと- ●
#00311 2014.8.27
元禄十六年の十一月二十二日、関東の国々で大地震があり、山岳は崩れて大地は裂け、火災となって民家は潰れ、浜辺に近い所は大津波のために流され、数十万人が死亡し、その内房州、上総、下総、常陸の浦々で津波に引かれて死んだ者は二十二万五千七百余人でした。
上総国勝浦の浜辺にも大津波が押し上げて、人家三百軒余りが波に引かれ、多くの人が亡くなりましたが、この時、人々は散り散りに逃げ出し、父母も妻子も互いに見失い、山に逃げたか海に引かれたかも分からない騒ぎで、人々の泣き声は波の音より高く、実に哀れなことでした。
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