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怪異実話(22) -身代わりになった犬のこと- ●
#00306 2014.7.30
文政の頃、常陸国筑波郡小栗の里の隣村に狩人が住んでいましたが、山狩りのために白犬を一匹飼いおいて常に労(いたわ)り、家の内に犬の寝床を構えて人のように養っていました。
この狩人の娘が十七歳になった時、病の床に伏し、水腫脹満の症状となって悩み苦しんだため、薬を与え、神にも深く祈ったのですが効験はありませんでした。隣村の名医も「必死の症状である」としてそれ以上薬を与えず、また同国の笠間侯の御殿医にも治療を頼んだのですが、「必死の症状で薬を与えても益はなく、却って苦しむことになる」として断られ、父母は既に頼む力も無く、術(すべ)も尽き果てて悲しむばかりでした。
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