怪異実話(14) -豆州雲見山のこと- ●
#00298 2014.6.13
豆州(伊豆)賀茂郡雲見村の産土神は大山祇神(おおやまづみのかみ)の御娘・岩長姫命(いわながひめのみこと)に坐(ま)しまして、雲見山に鎮まります寿命長久の守護神であります。
この雲見山は島のように海に差し出した石山で、麓より大木が茂る中を木の根を取りすがりながら山頂に登って左右と後ろを見ると、海中よりそびえ立つ一枚の大岩山です。
山頂は少し平地で御宮があり、下を覗けば数十丈の立岩で、海上の釣舟などが甚(はなは)だ小さく眼下に見えます。山の後ろは荒海で、富士の山が近くに見え、東海道の吉原・蒲原・石渕・薩埵峠・由井・沖津・清見が関・三保の松原まで見えて、言葉も出ないほどの絶景です。
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