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天地組織之原理(144) -猿田彦大神の参向- ●

#00903 2024.6.15

「こゝに日子番能邇々芸命(ひこほのににぎのみこと)天降りまさむとする時に、天(あめ)の八衢(やちまた)に居(おり)て上(かみ)は高天原を光(てら)し、下(しも)は葦原中国(あしはらのなかつくに)を光す神こゝに有り。故(かれ)、天照大御神、高木神の命(みこと)以て天宇受売神(あめのうずめのかみ)に詔(の)りたまはく、汝(いまし)は手弱女(たわやめ)に有れども伊牟迦布(いむかふ)神と面(おも)勝つ神なり。故、専(もは)ら汝往きて問はむは、吾(あ)が御子の天降りまさむとする道を誰(たれ)ぞかくて居(お)るとのりたまひき。
 故、問はせ賜ふ時に答へ白(まお)さく、僕(あれ)は国神(くにつかみ)、猿田毘古神(さるたびこのかみ)なり。出で居(お)る所以(ゆえ)は、天神(あまつかみ)の御子天降り坐すと聞きつる故に、御前(みさき)に仕へ奉(まつ)らむとして参向(まいむか)へ侍らむとまおしたまひき。」
 
 こゝに挙げたる明文は『古事記』の伝にして、本伝には五伴緒神(いつともおのかみ)の前にある伝なれどもこれは全く錯簡(さっかん)にして、必ず後に入るべき文なるが故にその錯簡を正してこの所に加へたるなり。
 且つ本伝も講述中に再び明文を挙げて多少の語解を加へ講述すべきなれども、この伝の如きはよく聞こえたることなるのみならず、最早余(よ)が講述も神代第五期に至りたれば、これまでの講述にて多くは知られたることなれば、本巻の講述には明文にてよく聞こえたる所は再び明文を講述中に挙げず、その聞こえ難き明文のみ聊か語解を加へ置きてその意のある所を講述すべし。
 然らざれば明文を再挙するの繁なるが為、意義を解するに気脈を隔つるものなれば、以下多くの明文の再挙を略するが故に、前巻までの講述と聊かその趣を異にする所あるを以てこゝに一言これを謝し置くなり。

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