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チャットGPTは大学生の日常になった

東京都のオンラインマスタークラス「日本語のタネ」の糸川優です。複数の大学で、日本語教育、キャリア支援、日本人のアカデミックライティングなども担当しています。

春学期の1年生留学生の作文クラスでは、大学生がチャットGPTとどう付き合うべきかということをディベートを通して考えた上で、最終的に作文としました。

結果的には、チャットGPTを利用する、限定的に利用するという意見が大多数でした。利用派の意見は、ほとんどが無制限なチャットGPT利用を主張するものではなく、非常に常識的な内容でした。

作文クラスがスタートした4月には、まだ各大学からの指針もあまり出ておらず、中には、チャットGPTの存在を知らない学生もいて、やや混乱状態を呈していました。
そこで、ディベートから始まり、最終的には、引用も条件に加えて、意見文を書いてもらいました。

けれども、今。
彼らは、学期末のレポートを書くにあたり、チャットGPTに相談するのは当たり前になっています。
友達と一緒にチャットGPT4.0を契約しているという話も聞きました。
チャットGPTの問題点を知った上で利用するのは大いに結構。
大学の教育も新しい時代に入ったことを実感します。

就活中の学生は、チャットGPTに志望動機を尋ねていました。
けれども、ここで忘れて欲しくないのは、チャットGPTは、よく知られているように、結構、荒唐無稽な回答をすること、さらに、ESならば、平均的なものを書くと、絶対に次のステップに進めないということです。
就活のESはもちろん、あらゆるレポートには独自性が求められます。月並みなものには意味がありません。これまで誰かが言っていることをなぞるようなものは、書く価値がありません。
つまり、従来、なんとなく、読んだものをまとめるようなレポートで通っていたものが、チャットGPTにある程度の下請けを命じることができるようになった分、要求されるレベルは上がったと考えるべきでしょう。

チャットGPTの回答の真偽については、自分で検証しなければなりません。
これは、今まで以上に、資料を渉猟することが求められます。
もしも、チャットGPTに丸投げするようなことだと、教員は、何十枚も、同様のレポートを見て、「チャットGPT丸投げ答案」として傍によけることになります。
これまで以上に、レベルの高いものを求めることになります。
けれども、それは、本来、大学のあるべき姿ではないでしょうか。

来春あたり、大学では、チャットGPTの適切な利用方法を初年次教育に入れるべきでしょう。

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