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初めて知る弟の生き様 同じ医師として兄が問う過労死
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昨年5月、26歳の大阪の医師高島晨伍さんが自宅で亡くなった。四つ上の兄(同じく医師)が語った。
☆1 今年6月、労基署は、晨伍さんが「極度な長時間労働」によって精神障害《しょうがい》を発症し、自死に至ったと判断。労災を認定した。
ただ、甲南医療センターの院長は8月の記者会見で、「過重な労働を付加していたという認識はない」と述べた。☆2 時間外労働の200時間には自主的に勉強する「自己研鑽」も含まれ、すべてが労働時間ではなかったと主張した。
☆3 病院の会見を聞き、まず自分が変わらなければならないと思い知らされた。
医師として患者と向き合うこと、知識や技術を身につけることに精いっぱいだった。夜遅くまで病院に残っても、「やたら時間外申請をするのはよくない。医師は頑張るのが当たり前だ」と思い込んでいた。
☆4 1999年に小児科医だった夫を過労自殺で亡くした中原のり子さんとともに、「医師の過労死家族会」を立ち上げた。今月20日、初めての会合を東京都内で開く。
若い医師の過労死を防ぐため、多くの医師の労働に対する認識を変えていきたい。国に対しては、厚生労働省が示した自己研鑽と労働の判断基準を見直すよう求めていく方針だ。
弟が亡くなって1年半が経った。時々、ふと考える。
あいつ、今頃なんて言うてるやろな。こんなに目立つことになって、「何してくれてんねん」と怒ってるかな。
でも、おまえにはまだ役割があるやろ。☆5 もう医師としては貢献できなくても、これからの若い医師を過労死から救うことはできる。
それは、嫌なことじゃないやろ?
(朝日新聞2023年12月17日枝松佑樹より)
〈ことば〉労基署…労働基準監督署。労働関係の法令を企業などが守ってい
るか監督する機関。
極度…これ以上はないという程度
労災…労働災害。労働によって起こる事故や病気。
加重…重い
付加…付け加えること。
認識…ものごとを知り、分別、判断する心の働き。
過労…働き過ぎて疲れること。
判断……真偽、善悪、美醜などを考え定めること。
基準…もとになる標準
貢献…力を尽くすこと。役に立つようがんばること。
1 ほとんどの文に主語(誰が・何が)がありません。☆1~5の主語を言いなさ
い。
2「自己研鑽」をわかりやすく表現している言葉があります。なんですか。
3 最後に男性の心の声が、関西弁で書かれています。標準語に直してみよ
う。
*もう一度読んでみよう。
昨年5月、26歳の大阪の医師高島晨伍(しんご)さんが自宅で亡くなった。四つ上の兄(同じく医師)が語った。
今年6月、労基署は、晨伍さんが「極度な長時間労働」によって精神障害を発症し、自死に至ったと判断。労災を認定した。
ただ、甲南医療センターの院長は8月の記者会見で、「過重な労働を付加していたという認識はない」と述べた。 時間外労働の200時間には自主的に勉強する「自己研鑽(けんさん)」も含まれ、すべてが労働時間ではなかったと主張した。
病院の会見を聞き、まず自分が変わらなければならないと思い知らされた。
医師として患者と向き合うこと、知識や技術を身につけることに精いっぱいだった。夜遅くまで病院に残っても、「やたら時間外申請をするのはよくない。医師は頑張るのが当たり前だ」と思い込んでいた。
1999年に小児科医だった夫を過労自殺で亡くした中原のり子さんとともに、「医師の過労死家族会」を立ち上げた。今月20日、初めての会合を東京都内で開く。
若い医師の過労死を防ぐため、多くの医師の労働に対する認識を変えていきたい。国に対しては、厚生労働省が示した自己研鑽と労働の判断基準を見直すよう求めていく方針だ。
弟が亡くなって1年半が経った。時々、ふと考える。
あいつ、今頃なんて言うてるやろな。こんなに目立つことになって、「何してくれてんねん」と怒ってるかな。
でも、おまえにはまだ役割があるやろ。もう医師としては貢献できなくても、これからの若い医師を過労死から救うことはできる。
それは、嫌なことじゃないやろ?
〈こたえ〉
1 ☆1労基署(労働基準監督署)は ☆2甲南医療センターの院長は
☆3わたし(兄)は ☆4わたし(兄)は
☆5おまえは または 晨伍は
2 自主的に勉強すること。(知識や技術を身につけること。)
3 あいつ、今頃なんて言っているだろうか。こんなに目立つことになって、「何をしてくれてるんだ。」と怒ってるかな。
でも、おまえにはまだ役割があるだろう。もう医師としては貢献できな
くても、これからの若い医師を過労死から救うことはできる。
それは、嫌なことじゃないだろう?
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