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【マーケティングトレースVo,4】ラクスル

今回は、ネット印刷のラクスルのマーケティングトレースを行います。

ラクスル株式会社とは・・・

先日上場を果たしたIT×ネット印刷の企業です。
印刷機の非稼動時間を活用し高品質で低価格な印刷を実現したシェアリングエコノミー型の印刷通販サービス「ラクスル」と、提携運送会社の空き時間を活用したシェアリングエコノミー型のネット運送・配送サービス「ハコベル」を運営しています。

「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」をビジョンに掲げ、IT化がなかなか進んでいない印刷業界に進出して、急成長を遂げている企業です。

2018年5月31日に東京証券取引所マザーズ市場に上場しています。

<サービスの特徴>
今まで製造機能と販売機能を一社ごとにまかなっていた産業構造を、製造機能と販売機能を行う会社を分けて、印刷ができるようにすることで、産業自体の効率化・低コスト化に成功。ラクスル自体では印刷機をもたず、印刷会社と利用者を繋ぐサービスを展開。チラシ等の印刷からオンラインデザインサービス、集客支援サービスなど幅広く事業を展開しています。

社員数200名ほどながらも急成長を遂げ、上場まで果たした企業。
革新的なサービスと大体的に行なっていた広告戦略に注目したいと思います。

サービスカテゴリー:ネット印刷
ビジョン:「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」
機能価値:印刷会社と利用者をつなぎ、印刷業界の効率化と低価格化に成功
従業員数:約200名

◾️今までの印刷業界(産業構造)
3Cで今までの印刷業界を見てみる
<市場>
2018年現在、印刷業界の市場規模は約5兆円ほど。

規模としては10年前と比べると約10兆円ほどさがっているようです。
ネット広告の普及など時代の流れに沿って減少していますね。

その割に、印刷会社は2.7万社とかなり多くあり、飽和状態が見てとれます。その中でも頭角を出しているのがネット印刷の領域で、ラクスル、プリントパック、グラフィックなどが、売上を伸ばしています。
(国内の印刷EC市場は920億円程度の規模)

<競合について>
プリントパック・・・
シェアリングエコノミー的なラクスルとは違い、自社で印刷機を抱えています。電話サポートなどの初歩的なサービスを削減してコストを最大限に抑え、既存の印刷会社の(繁忙時や小ロットでコストに合わない時の下請け)需要に応える戦略を展開しています。※価格もラクスルより安い。
売上額もラクスルの76億(2017年決算)と比較すると、270億以上を売り上げています。
かなりの競合です。

<自社について>
2009年設立のラクスルですが、
・低単価の印刷サービス
・インターネットを介して印刷業者と利用者をつなぐシェアリングエコノミーのビジネスモデル。稼働できていない印刷機器を稼働させて、かつ事業者と一緒にノウハウをつくることで、低コストのオペレーションシステムを実現。また自社で製造機を持たず、固定費の削減。
・大々的なプロモーション活動に先行投資(ネット広告、CM)→なるべく広告代理店を使わずに自社で広告を発信。
・システムの内製化(テック集団の形成)
・物流網の確保(ヤマトとの提携)、サービス品質の向上
などなどをおこなってきました。

印刷業界は先行して大手企業2社で市場の約半分の売上をあげていた状態。
プリントパックなど先行してネット印刷をしていた会社もあり
そこへ追いつくためにも成長のための投資活動を先行して行い、事業サイクルを早く回していた印象です。

■まとめると
飽和状態の印刷業界に「遊休資産をネットワークとして束ねて、安価で提供する“シェアリングエコノミー”のようなネット印刷サービス」という概念でサービスを開始。

先行投資でサービスを軌道にのせる

上場してさらなる規模の拡大、新規ビジネスの創出

いち早くCM流している様子を目にした時は、かなり先行投資をしているな〜という印象でしたし、その分問い合わせの件数も爆発的に増えたと聞きます。


次にのマーケティングファネルのうち、「認知」という部分に着目して分析して見ました。

ネットで簡単(楽する)、低単価で印刷できる(1万円〜)などキャッチーな言葉で印象に残るCMを打ち出しています。

また代表の松本さんもよくメディア露出をされており、積極的なサービスの紹介を行なっています。

メディア露出を強化することで、業界内や利用者から興味関心を引くことに成功。認知度をあげて、問い合わせ件数の爆発的な増加につながりました。



◾️これからラクスルさらなる成長をしていくために・・・

現状、上場を果たし順風満帆のように見えますが、まだEC印刷業界の中だけをみて、ナンバーワンにもなっていません。
さらなる成長のために必要なことを、考察してみました。
シェアリングモデルだと、売上を上げるための提携先の印刷会社が今後頭打ちになる。
規模経済が聞きにくいモデルのため

①自社で印刷機器の購入

②競合他社の取り込み

大量印刷ができる(需要に答えられる)会社や設備をラクスル自体が保有をして、生産能力をあげていくことが必要なのではないか?と思います。
実際そういった動きがあるようですし、生産能力を高めて需要にこたえられる状態を作り出すとより経済規模が広がると思います。


以上、マーケティングトレースでした。

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