1.美味い宇宙人はこれだ!
にへどん(けさらんぱさらん研究所)によるインタビュー「ウルトラ・フーズ代表/フルハシ・シゲル氏」
にへどん:
今日は、珍しい缶詰を作っている(株)ウルトラ・フーズ代表のフルハシ・イヨシさんにお話を伺います。
フルハシさんよろしくお願いします。
フルハシ:
おお、よろしくな。宇宙人の肉については何でも聞いてくれよ。
にへどん:
宇宙人の肉って、彼らに実際に侵略されて、それを倒して、はじめて手に入るわけですから、実際にその時になってみないと、どんな肉が手に入るか解らないということですよね。
フルハシ:
そうなんだよ。それに調理にも時間がかかるんで、今年に食べられる宇宙人の肉ってのはさ、たいていは去年までに地球にやってきて退治された奴らの肉なんだよ。
でも、たいていは焼き殺されたり爆破されたりするじゃないか。だから手に入る肉もごく少量なんだよなぁ。
で、退治された宇宙人の死体は担当の研究員が採集するんだけど、その一部をちょっとさ、ま、あれだ、要はさ、あれしてきて加工しているのが、うちの缶詰ってわけだよ。だから本当に貴重な食材なんだぜ。
にへどん:
宇宙人の肉って、どれくらい市場に流れてきているんですか?
フルハシ:
ま、ほとんど流れてきていないね。通常はそういうルートを作れないんだよ。
オレの場合はさ、実は以前、地球を防衛する任務の組織にさ、あ、名前とかは秘密だよ、そこに所属していたことがあるんだよ。なんで、特別なルートを作れたんだよなぁ。
その組織じゃ、オレ、結構、偉いところまで昇りつめたんだぜ。
にへどん:
そうした特別な前歴があることが、ウルトラ・フーズさんの特殊な商品構成を成り立たせているんですね。
この分野では最大手ですよね。
フルハシ:
おお、そうなんだよ。
オレんとこ以外だとさ、イシグロさんていう元宇宙ステーション勤務だった人が作った会社とか、地球に住み着いたペガッサとかいう野郎もほんのちょっとやっているみたいだけど、やっぱり種類の多さも規模のデカさも、オレんとこの敵じゃないのよ。
にへどん:
なるほど、それは凄いですね。
ところで、今年食べられる宇宙人や宇宙怪獣の肉で、おすすめのものって何でしょうか。
フルハシ:
それそれ、実はさ、去年良いのが入ったんだ。
地球を侵略しようとしていたある宇宙人がさ、ある湖のほとりでこっそりと怪獣を育てていたんだよなぁ(※1)。それをさ、俺が前いた組織がさ、まだ幼体のときに生け捕りにしたってわけよ。しかも大量にだよ。
それを、なんていうか、ようは横流ししてもらったというわけだ。あ、内緒だぜ。
当然、レーザー光線や爆弾でやられていないからさ、すげー新鮮だから最高の食材になるんだなぁ。特に白子はほんと絶品だぜ!
にへどん:
えっ、宇宙怪獣の白子ですか。どんなふうにして食べるんですか?
フルハシ:
一番のお勧めの食べ方はさ、コイツの白子を、あ、エレキングっていう怪獣なんだけど、こいつを軽く湯がいてさ、ポン酢かけて紅葉おろし添えて青ネギをちょっと散らして食べるんだよ。もう、最高、最高だよ。
にへどん:
なるほど美味しそうですね。
そのエレキングとかいう宇宙怪獣は白子以外も食べらるんですか?
フルハシ:
いろいろな部位が美味いんだぜ。
あいつらには発電器官があるんだけどさ、こいつもまた美味いのよ。
やっぱり湯がいて食べるんでもいいんだけど、オレのオススメは醤油漬け。
生のまま生醤油の中に漬け込んだやつを暖かいおまんまの上に乗せて食べてみてよ。適度な刺激があってさ、もう、おひついくつあっても足りないくらいだよ。
にへどん:
それまた美味そうですね。
フルハシ:
おお、美味いってもんじゃないよ!
あとさ、エレキングの幼体を保育器の中でちょっとだけ育てるんだよ。ま、子猫ぐらいの大きさまでだな。
そうすると小さな角が生えてくるんだ。大人になると黒くて固い角になるんだけど、このくらいの大きさのときは、まだ白っぽくてぷよぷよしてるんだ。
こいつを薄くスライスしてさ、軽く炙ってすりおろした山葵をちょこっと乗っけて食べるんだよ。酒が進むよなぁ。
にへどん:
どうやら今年はエレキングの年みたいですね。
フルハシ:
そうだよな、やっぱり大量に捕獲したからさ。
あと、イカルス星人(※2)も食べごろかもしんないな。
にへどん:
あのネズミみたいなやつですか?
フルハシ:
お、良く知ってるねぇ。
実はさ、数年前、イカルスの野郎がさ密かに地球に侵略しにきたんだよ。
ほら、丁度、どっかの県会議員が経費の不正使用で疑われて、わんわん泣き叫んで弁明している映像がテレビで流れていただろ。あれってさ、国民の意識をイカルス星人に向けさせないようにしたヤラセなんだぜ。
にへどん:
え、そうだったんですか?
フルハシ:
おお、そうなんだよ。だからいかにも芝居がかっていただろう。
でさ、あいつもイカルス星人のことを知らされていたからさ、つい、自分の耳に手を当てて、イカルス星人みたいな形にしちゃったんだよ。無意識のうちについやっちゃったんだろうな。
ま、しょうがないよ、芝居に関しちゃトーシローなんだからさ。
にへどん:
イカルス星人はどの部位が美味いんですか?
フルハシ:
やっぱりあの耳だな。
肉はちょっと臭みが強いしね。ま、そういうのが好きだって人もいてさ、そういう人は、イカルスの肉を山椒とか唐辛子と一緒に塩漬けにして数年間置いてから焼いて食べるんだよ。だから、もう少し先になると市場に出るかもしんないね。
でもさ、やっぱ、一般的にはイカルスって言ったら耳なんだよ。
耳を皮がついたまんま軽く炙って体毛を燃やしてから味噌煮にするんだ。コリコリしていて美味いぞ。
にへどん:
なるほど、これまでの中ではボクはイカルス星人の耳の味噌煮込みが一番楽しみですねぇ。
フルハシ:
おお、そうかい。じゃあ今度、うちで作った『イカルス耳の味噌煮』の缶詰もってきやるよ。うめーぞ。
で、あとさ、メトロン(※3)もそろそろ出荷しようと思っているんだよ。
オレはこれが一番好きでさぁ、ま、加工にすごく手間がかかるけどねぇ。
にへどん:
え、でもメトロン星人って、人間の精神を狂わす副作用があるんじゃなかったでしたっけ?
フルハシ:
それは、メトロン星人が持ってきた赤い薬を入れたタバコのことだろ。情報が混乱してるねぇ。
メトロンの肉はプリプリしてかみ締めると甘みがにじみ出てきて美味いんだぜ。 何年か前にやってきたときに殺されたメトロンがいただろ、ほら、川崎でさ。
あんときは、身体を真っ二つにされただけなんで肉が焼かれていなかったんだよ(※4)。
特に胸の部分のピカピカ光るところが生で手に入ったのは嬉しかったねぇ。
上手に皮をむいてさ、あ、ピカピカ光るヤツを傷つけちゃだめだぜ、エキスが漏れちゃうと台無しだからさ、それを天日で干すんだよ。
そのあとジックリ薫製にして、更に1年以上常温保存すると発酵してくるんだよ。それを薄くスライスして軽く炙って喰うんだ。
にへどん:
川崎で退治されたメトロン星人の発光体の薫製が、そろそろ市場に出てくるってことですね。
フルハシ:
そうそう。オレんとこで春ぐらいに缶詰で出すよ。
他の宇宙人もいろいろあるぜ、もしかしたら今年も活きの良い宇宙人がやってくるかもしれないし、どこかの山奥から怪獣が出てくるかもしれないしな。いやー、奴らの侵略が待ち遠しいよ。
にへどん:
ボクもこれからは、宇宙人の侵略情報に注目していきたいと思います。
フルハシさんの会社、ウルトラ・フーズのホームページ(※5)も頻繁にチェックさせていただきますので、よろしくです。
フルハシ:
おお、よろしくな。
にへどん:
本日はありがとうございました。
※1:ウルトラセブン第3話「湖のひみつ」において、ピット星人が木曽谷の吾妻湖にて生体兵器「エレキング」を育てていた事件。
※2:ウルトラセブン第10話「怪しい隣人」に登場した宇宙人。
※3:ウルトラセブン第8話「狙われた街」に登場した宇宙人。
※4:メトロン星人はアイスラッガーで切断されただけで爆破などの損傷を受けていない。
※5:気が向いたらそのうち制作します♪
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