令和6年7月豪雨について棚卸し(2)
前回の記事で今回の豪雨について棚卸ししましたが、改めて予測について色々書きたいと思いました。
>7/24梅雨前線が南下してこなかったように、今度は予測に反して前線が北上しいかなかったかもしくは、もっと広い意味の前線帯で大雨となった。
・正直に白状すると、7/23 00UTCはチェックしていた一方で、7/24のイニシャルは確認していませんでした。もっとも私自身は何処ぞの組織で予報業務を行なっている立場ではありません。
・7/23 00utcのGSM資料を見ると7/25は降水量こそ殆ど予測していませんが、500hPaで寒気と緩いトラフを、700hPaで持ち上げの結果としての湿り域と弱い上昇流域を、850hPaで高相当温位の流入と集中帯の存在を示しています。これらは強い対流の発生を示唆するものとも言えます。もっとも、7/23夕方時点で気象台が示した予想降水量は7/24が150mmで、7/25はたったの60mm。まず目先の7/24の警戒にあたるのが自然でした。
・7/24の大雨の状況は前回の記事で書いたとおりです。そんな中で発表された気象情報で示された予想降水量は7/25が120mm、警戒は明け方まで、但しその後も降り続くというものでした。
この日はGSMやMSMの資料は確認せず、本荘由利地域にかかるライン状のエコーが南下して来ないことを考えていました。
・7/25のレーダー画像を確認すると、秋田県南部を襲った雨雲が次第に北上していった矢先に別の雨雲が日本海から庄内・最上に入ってきた後、8時ごろから下越・佐渡〜秋田県南部に一段と発達した雨雲がかかってきたようです。
当日朝、枕元でレーダー画像を確認して?となったのを覚えています。
・7/24 00UTCのGSM資料を見ると、前日のイニシャルにはなかった、羽越エリア付近のピークを含む東西に伸びる帯状の降水域と共に、700hPaの湿り域をより明瞭に予想しています。確かに少し持ち上げればたちまち対流が湧いてしまうように、条件は悪くなっていて、気象台の60mm→120mmでも少ないのでは?と考える事も出来たかもしれません(あくまでも結果論です)。
同じようなところで降り続けば局地的に予想の2倍くらい、あるいはもっと?ただ、それでも特別警報や一級河川でレベル5になるほどの雨量を想像できたか、と言われると厳しいものがあるように思います。
・ここまで読まれて「なんでそんな消極的な予想なのか?」と疑問を抱いた方もいらっしゃるかも知れません。残念ながら私個人の環境や能力の限界であると同時に、ではオオカミ少年と呼ばれようとも、悪目の予想を続けるとどうなるでしょうか?。実はそれを見事に体現したのが7/26から週明けにかけての予想です。降り始め以上に、終わりを予想することは、更に難しかったと言わざるを得ないのです。
・「予想降水量200ミリ」「警報基準を大きく超えるような大雨が30日にかけて続く」。これは7/26から7/28にかけて、気象台の解説に実際に書かれていたものです。週明け7/29朝にはトーンダウンしましたが、蓋を開けてみれば、週末の間に新たに大雨警報などを発表した山形県の自治体はありませんでした。7/25と同じような大雨がまだ降るのか...恐怖の週末を過ごした方も多いかもしれません。これは恐らく気象台も同じでしょう。
・そもそも今回の豪雨、2週間気温予報や週間天気予報の予測資料をもとに、7/23から月末にかけての長期戦、ピークは台風4号由来の暖湿気が入る月末と見ていました。
・実際の予想はどうだったのか。話しを7/24 00utcに戻します。実は羽越エリアに降水域を予想していたのは7/25だけではありません。7/26にかけて予想降水量は増加していました。72時間後の7/27になってようやく落ち着くか?といったところでしょうか。7/26は朝鮮半島付近で500hPaのリッジが強まり、上空の寒気も抜けていく一方で、引き続き500hPaで正渦度移流域そして降水域を予想しています。北からは移動性の高気圧も張り出し、北日本では風の収束も予想されています。GSMの特性(対流性の降水が苦手)を考慮する必要はありますが、7/24午後の時点では月末まで、少なくとも7/27にかけて大雨が続くか?と考えるのが自然です。そして7/25の豪雨を迎えます。さて、あなたは7/26,27絶対に大雨にならないと言い切れるでしょうか。