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服作りって大変

新年明けてからはじめてのnote。
時間が過ぎる速さだけには抗えない。

気付けばずっと家に引きこもって作業してしまってるから、息抜きに外に出たり友達に遊んでもらったりしながら年始を過ごしました。

新年早々、1年間の自分へのご褒美に冬物セールを物色しに家を出たものの、ほかのブランドが春物を出しているのを見て一人で焦ってすぐに帰宅したり。

そんな日々を過ごしながらも、やっと春物の1つを公開できました。

いや〜〜〜、これはねとってもnoteを書きたかった!(笑)

このスプリングコートはかなり苦戦して本当に汗と涙を流しながら作ったアイテム。

ivory
beige

綺麗に撮っていただいた物撮り写真はスンとしてるけど、この裏側で私はバキバキの目で製作してましたよ….

作り手側の自己満足記事になってしまうから、興味のある方は是非。(かなり長くなるよ!笑





まず、スプリングコートはブランドを立ち上げる前に絶対に作りたいと決めた1着だったから、デザインとパターンはかなりスムーズに。

デザイン面では、余計な要素は全部削ぎ落として、シルエットと生地のテクスチャで勝負したかった。
丈感もズルズルではなくて、コートと地面の間に見えるボトムと靴のバランスを緻密に計算した長さに。
個人的にはこの丈感すごくこなれて見えると思っている、、

そして絶対に譲れないこだわりたいポイントは、
①使ってる生地量がとても多いから、これを着たら一気に雰囲気が出るような風合いのある生地にしたい。
②とにかく着用してストレスを感じないタフな生地を使いたい。けど安っぽくなりたくない。
③ロングコート大好きだけど電車で座った時に跡がつくの嫌だよね。だから結局着用頻度が下がるんだよね。を解決したい。
④ずっと頭にあるイメージは、
春一番、薄手のトップスとデニムで出かける時にバサッとコートを手に持っていくところまでがスタイリング。日中はくるっと丸めて手に持ってても邪魔にならず、いかに気軽に着用できるか。
⑤とにかく気を使わずにガシガシ使って欲しい!この時期何着たらいい?季節の変わり目の悩みにこれ一枚あれば解決

もう、絶対に一つも譲れない。だって私がそういう服欲しいんだもん!という強い気持ちでサンプル製作。

生地の候補は他にも沢山あったけど、
表面にワッシャー加工が入っているコットン65%、ナイロン35%の生地に決定。
ナイロンの混紡だから丈夫だし、コットンタッチなのでかなり雰囲気が出る。
そこにワッシャー加工を入れることで、縦に落ちるラインがより強調されるのと、座った時につくシワや跡も気になりずらくなる。
なによりもヴィンテージのような経年変化ででる風合いを再現できる。

カラー展開は、真っ白だと気を使うから少しグレー味がかかったアイボリーと、誰でも選びやすいベージュの2色に。

そんなこんなでサンプルは順調に進み撮影もかなり終えたので、発注までしばらく寝かせていました。

いざ発注して、先上げサンプル(量産用の生地で確認するサンプル)を見てみると、

?????

生地の風合いも色味も違う….
私が時間をかけてこだわって選んだ生地と加工ではなくなっていて、、大きくロットブレが起こっていた。
(ロットブレとは簡単に…購入時期やタイミングで生地のロットが変わりそのタイミングで個体差が現れること)

もちろんこの仕事はずっとやってるから生地のロットブレは十分理解してる。
けどね、生地選びにかけた時間をこの開封1秒でパッ!と全部無かったことにされた気分でそれはもう悔し涙、、大涙、、

そんで私には許容できるブレじゃなかった。
上記の話で言うとこだわっていたポイント②が安っぽくなってしまっていた。
うまく生地表面のテクスチャを再現できておらず、のぺっとしてしまった。また、色味に関してもこだわりのアイボリーがただのグレーに。😭

家族に見てもらっても、そんなにわからないよ?と言ってくれたけど、私はどうしても納得できなかった。

縫製工場にどうしても納得できない、このままでは量産ができない、納期を遅らせてでもやり直してほしい旨を伝えた。(もうこの際、納得いくものが作れれば発売が来年になってしまってもよかった)

どうしても自分が納得できない服は出せなくて。
昔から自分が頑固すぎて、もっと頭柔らかくなった方が生きやすいよ〜って常に自分に言ってる。

変な話、サンプル段階ってお客さんに見せないわけだから、この色で販売しても比較のしようがないんだよね。
だけど、それをやってしまえるなら私はものづくりやブランドを出すのはやめた方がいいと思う。

こだわりを貫き通さず、目を瞑れるのであれば、この業界のことは大手メーカーやブランドに任せればいいと思ってまう。

これはSUITAGEがそう言う方針のブランドなんですよ〜!とかではなく、
私自身、ものづくり以外でも大切にしていることなのです。

妥協をしないって正直めちゃくちゃ疲れるし、多方面に迷惑をかけてしまう時もある。だけど特にものを販売していてお客さんがいる環境だったら、妥協した時点でそのものの価値が薄れるのは当然だと思う。

というわけで、、さあここからどうしよう。
ロットが変わっている=サンプル時期の生地はもう存在しないわけだから、元の生地には戻ることはできない。
こんなに自信作だったものを諦めるしかないのか….

そんな時にふと、"製品洗い"をしてみたらどうだろう、ということを思いついた。
色味と生地の風合いを同時に調整できるのはこれしかない!と思った。

早速縫製工場に連絡して生地の切れ端でトライ。
急いで対応してもらえて、サンプル確認。
お!これはいけると思った。
試しに製品になったものでも1着やってみると、、、めちゃくちゃいいじゃん!!!!
むしろサンプル段階の元々のものより、かなりクオリティ高く仕上がった。 
こだわりポイントも①〜⑤まだ全て網羅し、色味も落ち着いた。さらに私が好きな生地の表情になった。

絶対にこれで売りたい!と思い、急ぎ量産を走らせる。
ただ、製品洗いというものはかなり手間がかかる。
縫製して形にした状態の製品を、1着ずつ洗濯をして吊干しをする。
乾いたら軽くアイロンをかけて梱包。

洗う=縮むわけだから、(特にこの生地コットンの混率が大きいし縮みやすいよ)どのくらい縮むかの"縮率"を考慮したパターンを作らなければいけない。
パターンから引き直し、、、、、🥶

とにかく時間がない中たくさんの方に協力していただいてなんとか…なんとか3月中旬までに発送できるスケジュールで量産進行しています。

そんなこんなで一気に量産を走らせているので、着画もMサイズとXLサイズが用意出来ておらず…少々お待ちください。
これは3月頭に手元に届いたらすぐ撮ります。
そして今日から毎日少しずつイメージ写真を投稿していきます🙏

基本的にMサイズとLサイズは着丈と袖の長さしか変えてません。
このアウターは是非オーバーに着ていただきたいです。

XLはどうしても男性にも着てほしくて、最後慌ててパターンを追加しました!
ローファーと合わせていただくと一気に締まって味が出ます、🫧
ご興味を持っていただければ嬉しいです。

長くなりすぎて、ここまで読んで下さっている方はもはや残っているのか….
またこういう制作の過程をもう少しライトにお見せできる機会を作りますね。

私の自己満足記事となり恐縮ですがお付き合いいただきありがとうございました。🙏
また書きます🖖

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