最近見たもの

のだめカンタービレ
 
 ノイタミナのアニメ版。いいなぁと思うのは、やっぱり多種多様の音楽を聴けるところです。日頃クラシックを嗜むというほどにシャレオツな人でもないですが、そこそこには好きなのでよかったです。最近はファントムスレッドのサントラをめちゃ聴きます。あれクラシックですよね?

 のだめカンタービレは感動ものではないです。なのでこれから書くことはちょっとした長い前置きと考えてほしいのですが、私は普段あまり感動するとかの宣伝文句には全く惹かれないたちで、むしろ忌避感すら覚えるほうです。なんと言いますか、あらかじめそんなことを決められたくないと言いますか、何年か前に斎藤工が似たようなことを言っていましたね。それに加えて私は、感動するという宣伝文句を見ると、それ以外ないのかなと考えたりとかします。闘病ものとか滅多に見ないのも似たような理由で、はいはいどうせ感動させてくるんでしょ、という、侮りみたいなのが生まれるわけです。ようは既定路線しか走る気ないってことね、と考えたりするわけです。
 まあ、けっこう偏見ありありですが。
 そういう意味では、のだめカンタービレは既定路線を走っている作品だろうなということを想いながら見始めました。といっても、こっちに関しては悪い意味ではないです。つまり、少女漫画として、のだめと千秋の二人がくっつくというゴールはもう見る前からわかっているな、ということです。有名な作品ですし、ポジティブな作品なのでそういうオチじゃないだろうなと。百合ものとかだと最後意味不明に一緒にいると共依存に陥るとか言って別れたりするのですが。これは違いましたね。
 私は恋愛が主題の作品とか、闘病が主題の作品とかは見ないのです。ゴールがある程度決まっているから。さっき書きましたね。
 そういう意味で、のだめカンタービレは複合的な作品です。恋愛と、音楽のバランスがとれているなと感じます。どちらかに偏っていない。のだめの音楽に対する姿勢についての答えは納得のいくもので、素晴らしかったです。
 また恋愛については、千秋が次第にのだめに振り回されていくのがいいですね。千秋がかっこつけようとすると、どうも毎回上手く行かない。それがよかったです。千秋は俺様キャラですが、一貫して素直に感情を言葉に出したほうが上手くいくということを学ばされ続ける。シュトレーゼマンに実質一回寝取られているのも、面白いところですね。

アンティーク 西洋骨董洋菓子店

アニメと映画。
 のだめカンタービレを見た流れで先にアニメを見ました。アニメでもケーキは美味しそうなのですが、プロットのラインを掴むのが難しい! 漫画で自分のリズムで読むのが一番いい作品なのかもしれません。それでもキャラクターは四人とも個性的で魅力的。最後まで見るとこの作品はミステリーではなく、トラウマとどう付き合っていくか? というところが重要だったのかなと思います。店長のトラウマ、小野のトラウマ。心の傷や弱さのせいで誰かを傷つけるということ。
 映画版は、端的に言って無理があります。これは仕方のないことかも。キャストはみんなよかったですが、いかんせん掘り下げの足りない部分が多く、エンディングで橘が犯人に気づかない場面も、アニメ版のほうが上手く描かれているように感じました(千秋の言っていた”大丈夫”はこういうことなのかな~と。そうです。千秋のこの台詞も、映画版だとどうにも薄っぺらい)。それから、よしながふみがいくらか踏み越えつつも忘れていなかった現実のゲイに対する視線のようなものが、映画版にはなく、少し偏見を助長させるような描写が増えていたかなとも思いました。あ、これはのだめにも少しありましたね。のだめの場合、フランスに全然有色人種がいないという問題点もありましたが。
 

 

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