素人目線の絵描き上達分析3
8日目。早起きの習慣をつけるため、無理矢理にでも決めた時間に起きるようにした。夏は涼しい朝の内になどと昔はいったが、昨今は朝だろうが夜だろうが暑すぎて空調がフル稼働だし、早く起きる意味ももはやないようなものだ。
さて、今日は絵描きの練習について少し綴ることにした。その1で述べた「相互関係」に分類されるだろうところで、人体についてだ。
人体、をまずもって見ない日は無い。イラストや漫画は元より、外に出て人に会えばそれだけで人体を目にする。しかし、これを描こうとするとどうにも違和感のある人型しか描けない。手や足、顔はさらにレベルが高くて難しいが、胴体や腕、脚すらろくに描けない。
模写や下書きでも同様で、特に下書きはこれが絵の完成度に繋がってくものなので雑に済ませようとかができない。
さりとて、人型というのは創造する上で避けられない。例え人(ホモ・サピエンス)が出ない漫画でも人型、要するに、関節を持った腕とか目がある顔とか複数に枝分かれした指などを身体的特徴として持つ登場人物を全く見ない作品は無いと言っても過言では無いだろう。人型というのはそれだけ重要で作品において割合の大小はあれど、まず包含される概念と言っていい。
では、この人型と上手く描くにはどうすればよいのか。勿論パースとか構図は大事なのだが、もっと初歩的な部分で躓く。そう、所謂それっぽく見えない現象なのである。人体というのは、先述したように見ない日が無いほどの
それでいて普段別に注視したりしないものなのに、違和感を感じるのが早い。わずかな凹凸とか線の位置で描かれた人型に対する印象はまるで変わる。
まず、第一の解決策として考えたのが「比率」だ。「相互関係」に属する内容といったのはこのためだ。ここではいくつかの例を出すにとどめるが、人体にはある程度の比率のテンプレートがある。
例として:
・頭上から股下の中間に乳頭があること
・上体を3分割したとき、頭上、鎖骨、ウエスト、股下と線引きできること
・下ろした腕の関節は、胴体の一番細い部分と同じ高さになること
などがある
これを習得するだけで、少なくとも全体がバランスを崩すとは無い。と言いたいがこれがまた結構な難題なのである。というのは、この人体の比率、指南書の随所に載ってはいるのだが、真正面から見た人体かつ縦方向に対する比率がほとんどで、人体を横から見た視点での厚みなどの比率であったり、正面の視点でも横方向に対する比率が載っていないのだ。
言うまでも無く人体は立体であり、縦方向だけでなく、横方向、奥行きを持つし、視点や構図を工夫すれば、それらを正確に描写することが求められる。にもかかわらず、正面かつ縦方向の比率しか与えられないのでは、どれだけ比率を覚えようと正面絵しか描けない。
調べれば少しは出てくる。だからこれは、描けないということではなくて、初心者である私の意見として、立体的な人体を描くのに必要だと思われる人体の厚みとか横幅のテンプレートを迅速に把握できないことが問題なのではないかという一種の提起だ。なので、横幅については現状分析の途上であるし、具体例を示すことはできない。
一転して、正面視点の人体に限れば、比率が分かっているのである程度は描ける。初心者は元より、熟練者でも正面の絵が割とあるのは把握しやすさという要素もあるのではなかろうか。特に"顔"は胴体がいかなるポーズをしていようと意地でも正面で描かれていることが多い気がする。さすがに違和感がないように、ある程度の補正こそあるが、目がだいたい同じ横幅で、耳から顎のラインも見えないことが多い、気がする。逆に目の幅が左右で違う、顎の横のラインが見えるくらい角度が付いた顔となると真正面的な絵と比べて数が減ると感じる。それだけ"顔"は角度を付けると難度が上がるものなのだろう。とはいえ、これを難しいからと避けていては面白くない。先ほどいったように、比率が分かればある程度描けることは分かっている。であれば、横方向、奥行き方向への探究も進めるのみである。
一点問題があるとするなら、比率である以上紙に描く際正確に長さを把握できないといけない。厳密に測る必要は勿論ないが、適当にやっても上手くいかない。過去に述べたが絵はパズルのようなものだと思う。どれかのピースが歪んでいれば、全体が揃わなくなるのはこの例えで察せられると思う。
あともう一つアドバイスをするのであれば、描く際はできる限り大きく描いた方がいい。細かいパ-ツが密集した顔が小さいと線の位置や太さに融通が利かなかったり、長さの調節がそうとう細かくなってしまうからだ。そうなると正確な絵を描くのにチマチマとした修正が必要になり、本題とは関係の無いところで無駄な労力が費やされてしまう。
さて、比率をある程度把握し、それを正確に描けるようになったとしよう。そうすると次の問題が頭をもたげてくる。そう"角度"である。視線に平行なものほど短く見えるというあれだ。あれにより角度がついた人体のパーツは、テンプレートの比率に従ってくれない。これの対策として、過去参考資料として挙げた「なるほどデッサン」から、円柱を描画する手法の一部を参考にした描き方を考えたが、まだまともに運用できていないので述べるのは先になるだろう。もしかしたらもっと効率的な方法が見つかるかもしれない。同じ考え方をもっと数理的に言えば、三角関数で回転した辺の長さを把握するのと同義だ。どちらにせよ手を動かしながらの思考には手間がかかりすぎる。角度のついた物体を自由に描くのは先になりそうだ。
現状私が人型を描くという部分で進められているのは、「比率」が重要であること、角度が付いたことによる「変化した比率」の対策案だ。そして、これらが達成された後には、体それぞれの表面的な凹凸の把握に入ろうと思っている。角度を克服して比率が正確になってもあくまで長さを把握できるようになっただけだ。体がそれぞれどういう形状で、それぞれの視点からどう輪郭線が縁取られるのかを把握しないと人体を描けるとは言えないだろう。
まあ、作品の登場人物は大体服を着ているのでそこまで厳密な必要はないかもだが、探求を目的の一部としているから取り組むのであって、この辺りの目標は人それぞれだと思う。さらに言うなら、顔のパーツに対して研鑽を積んだ方がいいようにも思う。イラストレーターのラフ画などを見てもわかるが、体が一定雑な線で描かれていても、顔はかなりしっかり描かれていることが多い。それだけ顔は情報を表し、また絵の完成度に大きく影響するパーツと言えるだろう。どちらにせよ、この「比率」と「回転」を修練し、個別のパーツに対する適応力の土台とする方針は使えると思う。またある程度成果を見たら続きを書きたい。
さて、今日は絵の分析の続きを書いた。効果的で具体的な技術、というよりは感覚的な見方ばかりになるのは初心者故で、もしこれを参考にしようと記事を開いてくれた方がいたら非常に申し訳ない。だが、こういう見方そのものを知らないのが初心者でもある。だからこそ煩悶しながら、見方をこうして明文化する過程を繰り返している。描く技術自体は世にいくらでもあふれているので探すことは簡単だ。だが、それを読み解けない、知ったはずなのに脳が動かないという根本的理解の土壌を構築している最中なのだ。もし、これが他者の役に立つのなら、と思いこうして記述している。なので、そもこの記事を理解できずとも絵を描けるなら、例え無自覚でも絵と絵を描く技術を読み解く術を持っているということなのでこの記事ははじめからいらないだろう。絵が感覚的とかセンスとか言われるのはこの部分が大きいからだ。
絵に対する所感が長くなりそうだが、時間なのでここで区切る。締めの言葉も目新しさがなくなってきたところで9日目へ。
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