耀龍横歩取り
昨日、大橋貴洸六段が藤井七段の連勝を"10"でストップさせた。
序盤ブロガーとして注目したいのは、青野流の猛威によっていまや絶滅指定戦型といえる後手横歩取りを採用したことで、大橋六段は一体どんな作戦を用意していたのか気になるところだ。
図は青野流の基本形↓
後手には色々な対抗策があるが、△8二飛と引くのが目新しい手。
公式戦で最初に指したのは飯島栄治七段で、実戦は以下▲3六飛△2二銀▲3八金△5二玉▲8七歩△8四飛!とすすんで羽生九段を相手に勝利した。
2020-05-21 王座戦 羽生善治 九段 vs. 飯島栄治 七段
後手の飛車は8二→8四とまるまる手損をしているが、それでも青野流にされるよりマシということだろう。
さて、大橋六段の△8二飛に対して、藤井七段は初志貫徹で▲3六歩から青野流を目指した。
ここでソフトは△2二銀や△4二玉といった手を推すが、それは従来の定跡に合流してあまり面白みがない。
そこで△2六歩の垂らしが大橋六段、用意の新工夫だった。
▲2八歩、▲3八銀、▲3八金、▲3七桂どれを選んでも+150前後で先手が悪くなるわけではなさそうだが、こういう「どれを選んでもまずまず」という類の手が対局中では迷いが生じてけっこう性質が悪いものだ。
連日の大一番による疲労もあったと思うが、藤井七段としては同じ相手に横歩取りで3連敗という不本意な結果になってしまった。
結論を言うと、やはり「青野流は依然として強敵」。しかし飯島七段や大橋六段など後手横歩で高勝率を挙げている棋士がおり、横歩取り再興に一筋の希望が灯ったのは間違いない。
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