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VS 竹部さゆり女流四段

ウォーズ指導対局の第3回は竹部さゆり女流四段

かつて碓井、清水さんらと同時期に奨励会に在籍していたことから「奨励会3人娘」の一人に数えられ、1997年には女流タイトル戦にも登場された実力者であられます。
現在はコンピュータ将棋協会の理事に就任しておられ、多方面でのご活躍をなさっています。

さて、本局は僕の後手番(指導対局だから全部先手番なのかと思ってた)。

後手用の作戦は全然考えてなかったため、とりあえず一番指し慣れているゴキゲン中飛車を選択。

故・天野貴元氏の著書のコラムに「奨励会時代、竹部女流に奇襲戦法をたくさん食らって痛い目に遭った」みたいな内容が書かれていたので一手一手ビクビクしながら駒を進めていたのですが、最もオーソドックスな▲3七銀急戦になりましたね(ホッ)。

これには、
①△5六歩と軽く捌く形
②△5三銀~△5四銀の銀対抗
③△4四歩~△4三銀と角頭を守る形

大きく3つの指し方がありますが、①~③どれを選んでも評価値にさほど大差ないので棋風や好みの問題やと思います。

僕は③△4四歩を選択しました。
以下▲4六銀には△4五歩▲同銀△4三銀が部分的な定跡。

これは次に△3二金~△4二角~△3三桂で銀バサミを狙おうちゅうわけですな。

そこで実戦は▲3八飛~▲3五歩と銀を助けにいきましたが△5六歩が狙いの捌きでした。

上図以下、①▲3三角成は△同桂が手順に銀取り、②▲5六同銀は角交換~△4四角が王手飛車、③▲5六同歩も角交換~△3三桂。

先手は飛車と銀の位置が悪く、どう応じても味が悪いんですね。
適当な受けがなさそうなので僕が指しやすくなったかなと思ったのですが……。

▲3三飛成!が伝家の宝刀「竹部スペシャル」を彷彿させる飛車切り。

なるほどなるほど。

先手は一段金なので飛車を渡しても耐久力のある形で、次に▲3四歩△同銀▲4一角or▲7七角打△4四歩▲3四歩などの嫌味な攻め筋があって、これは後手もまだ大変ですね。

△2七飛は▲3七桂と跳ねさせない限定打。
以下▲3九金に△3八歩が一見筋っぽいですが、▲1八角△2五飛成▲3八金(参考図)で、角が間接的に後手玉をにらんでちと怖いなと思いました。

△3八歩と打たず単に△2五飛成と引き揚げた方が良い。

△2七飛の打ち込みから15手ほど進んで下図。

△2九竜と桂香を拾いに行きたいですが、竜が3筋から反れると▲3四歩△同金▲4三銀の筋がうるさい。

現状先手は攻め駒不足なのであせらず△1四香とかわしました。

いわゆる「友だちをなくす」勝負に辛い手ですが、もともと僕にはリア友一人もいないから関係ねぇ!(投げやり)

これは実戦的な心得なのですが、一度受ける方針を取ったなら途中で浮気せずにトコトン受けきったほうがいいですね。△3一歩に▲同となら△4二金と引き、△5一飛~△4一金で敵駒を根絶できます。

この辺りははっきり良くなったなと感じました。
VS井道女流戦の反省で序盤のペース配分も考えながら指したので、持ち時間にもまだゆとりがあります。

40手ほど一気にジャンプしまして、いよいよ最終盤です。

あともう一押しという感じですが、2二馬が自陣までよく利いていて油断は禁物です。そこで△9五角と飛車の裏側に打ったのが我ながら会心の一着。

放っておけば次に△8八飛成の両王手で詰み、▲7七歩も△同桂成!(参考図)で受けになっていません。

①▲7七同馬は△8八飛成▲5九玉△7七角成、
②▲7七同玉も△8七飛成▲6六玉△7七角成▲5六玉△2二馬
でいずれも先手の馬が素抜ける。

よって本譜は▲5九玉~▲4九玉と右辺に逃走を図りますが、△2五竜~2九竜と隅で遊んでいた竜を活用できて勝ちを確信しました。

上図では△3五香でも△3七銀でも△6九桂成でも簡単な必至です。

しかし、持ち時間は残り35秒と若干の余裕があり、直前に詰めチャレを集中的に解いたばかりだったので「△3八銀で即詰みがあるんじゃないか」という悪魔のささやきが聞こえてきました。

(△3八銀▲4八玉に、①△3九竜▲3七玉△2七銀成▲4六玉…は上部が広いか。②△5九竜も▲同玉なら△3九竜で詰みだけど▲同金だとよくわからん。いや、待てよ。△3八銀を入れずに先に△5九竜と切って▲同金△3八金なら…あー、▲5八玉でギリ不詰みか。となると、やはり△3八銀コースが本線で…)

などと、読みを入れているうちに気づけば残り20秒に。
「あー、即詰みは読み切れへん!やっぱ必至にする!!」

そして、考えられる無数の勝ち筋の中から

△3八銀▲4八玉△3五香という最悪な組み合わせ

を選んでしまいました。

竹部先生は、ニヤリと笑われ(たかどうかはネットなのでわかりませんが)、ノータイムで▲5六歩

10秒そこらで玉を詰ますのは不可能な形になり、あえなく時間切れ負け。

↑↑総譜はこちら。よかったらチャンネル登録おねがいします。

こ…この負け方はさすがに凹む…。

これでVS女流は3連敗になりますが、内容自体はだんだん良くなっているので、めげずに頑張りたいと思います。

竹部さゆり先生、対局ありがとうございましたm(_ _)m


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