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りんごに不慣れ。 #天才ボーカリスト前編

声じゃない声で、歌が成立する天才がいる
今回はそういう話です。
前置きは多少ありますが、まあ前菜と思ってください。


あるところに、私がずっと歌い方を分析していた
ボーカリストがいました。

正確に言えば、分析を試みていました。

ところがその人の歌い方は、
いくら試みても何も分かりませんでした。



もう1人の天才ボーカリストと何度聴き比べても
霧が晴れず数ヶ月
ある日いつものようにその人の歌を聴いていた時
突然気が付きました。


この人の声は、楽器っぽいんだ


どうりで歌い方を分析しても何も分からないわけです。
声そのものが人間に搭載されたそれとは違うのですから
声の進み方、響き方、揺らぎ方が全て違う

進み方は、ただ直進するのではなく
複雑な線を描きながら

響き方は、前への響きは控えめかと思いますが
特に奥と下への響きが大きい
最深部へ根を伸ばすイメージでしょうか?

揺らぎ方は、波形が一定でないように思います。

さらにいえば、情景によって
強くも悲しくも聴こえる


このボーカリストの声は丸でも立方体でもない
名前のない超立体でかつ不思議な魅力がありました。

丸の声を持つボーカリストが劣っているわけでは
ありません。

人は感じ方に違いがあり、
わずかな欠けも歪みもない
完璧な球体が好きな人もいれば
名前のない超立体が好きな人もいます。

優劣がないのは当たり前



やっと霧が晴れ仮説に辿り着いた時には、
私の脳が若干擦り切れて火花が散っていました
それだけ何度も分析をかけたということです

それでも私は知りたかった
天才ボーカリストの正体は何か
私は何に惹かれたか

計算でも努力でもなく、素で楽器っぽい音で
歌が成立するのは才能です

普段はのほほんとしている人ですが、
まさか最強無敵の武器を持っていたとは不覚でした。
その武器のリミッターが壊れた、
バンド史上最強の曲(当社比)はこちらです。

B.U.G/BACKDAV

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