りんごに不慣れ。7
先日、お菓子をいただきました。
だれかからお菓子をいただくなんて久しぶり
でしたので、今でもまだ、そのお菓子が
手元にあることがにわかには……
(くださった方には本当に申し訳ないのですが)
ですが実は、今でも拭えない不思議な感覚には
もうひとつ理由があります。
その方がお菓子をくださったのは仕事中。
つまりはお客様です。
お忘れ物をされたとのこと。
その数時間前にお忘れ物を発見したことを
思い出したので「こちらですか?」と
お渡しすると、その方が大切そうにそれを
両手で受け取ったのが印象的だったのですが。
お菓子をくださったのは帰り際。
私は「こちらですか?」と
お渡ししただけなので、思わず
「いいんですか?!」
するとその方は何も仰らず、
深々と頭を下げてくださいました。
従業員として当たり前のことをしただけなので、
本来ならば対価が発生するような事案ではありません。
だからこそ「嬉しい」という感情より先に
戸惑いが生じたのだと思います。
けれどその方にとって、その瞬間だけでも
そうする価値のある従業員に見えていたなら、
私は、自分の行動を肯定してもよいのでしょうか。
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