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ニコスケッチ#12 夕焼けを描くって、どうよ?

★ 夕焼け空を現場で描く手順は?
★ 空は最後…がニコ流です。

  • 日が沈む直前は光の変化がとても早い

  • その変化に通常の手順では追いつかないのです

夕焼け空

刻々とドラマティックに変化する夕焼け空、オレンジから紫のグラデーション、逆光で雲のふちが輝きます。
夕焼けは描きたくなりますよね、でも難しそう。特に画像や写真からではなく現場でリアルタイムに描くのはハードル高いです。
ただ描かないと描けるようにならないのも絵の世界、機会を見つけてはチャレンジしているワタシです。

リアルタイムで描く

現場でリアルタイムで描く難しさは…
とにかく光の変化が早い…特に陽が沈む直前の15〜30分はガラリと変わります。
その変化は光の方向が変わるだけではありません。ついさっきまでシルエットで何も見えなかった建物や景観のディティールが急に見え始めたりまします。
陽がかげるとそれぞれの固有色が判別しにくくなります。
色がわからなくなるのは景観だけではありません。自分が使っているパレットの色もわからなくなります。
…これ無理ゲーじゃね? なんて感じますよね。

ヒントになるかな?

そんな難しさがあっても描きたくなるのが夕焼けです。もちろん最初からうまく描けるわけではありません。何枚も描いては失敗を積み重ね、そしてこう描けばイイかも知れないってことをまとめてみました。これで完璧…なんてことは思ってません。何かのヒントになれば嬉しいです。

手順

一般的な風景画の手順、空を描いて遠景から近景へと描き進める…手順とは違います。

1 予想
画面上に地平線の高さを決めたら、太陽が沈む位置を予想します。

2 世界の色
空の色…ベースになる色を画面全体に塗ります。くすんだ青紫からオレンジへのグラデーション…地平線辺りがオレンジ色…がスタンダードでしょうか、いわゆるファーストウォッシュ、オーバーに言えば、これから描こうとする世界の色です。そのときの現実の空色に合わせるのもイイでしょう。
太陽が沈む辺りは色はあまり入れません。色が入ったならティッシュを湿らしてそっと触れるように色を抜くとイイでしょう。輝きを表すのに紙の白さを残すのです。

3 空以外の景観
空以外の景観を描きます。タイミングによってはほとんどシルエットかも知れません。モノトーンで描き慣れた方は筆が進むでしょうね。ここで大切なのはスピードです。太陽がイイ位置に来る前にはおおよそ描き終えます。

4 夕焼け空
があれば雲を描きます。太陽近くの雲は逆光でシルエットになり、その雲のふちも輝いているでしょう。雲がなげれば、沈む太陽そのものを描きます。ファーストウォッシュが明るすぎたときは全体に色を足すこともあります。

5 光を描く…
こう描けば必ず光る、あらゆる場面に合った光らせ方、それも短時間で…なんて決めワザをワタシは習得していません。ただある程度、光らせる方法として、むかえ水 の筆使いを使っています。ただ先に塗った色が乾いていないと使えません。

6 仕上げ
全体のバランスをみて加筆します。

要は…夕焼け空を仕上げるのはあとの方、イイ光のときに短時間…一瞬で仕上げることを目指して、先に他の要素をできるだけ描き終えておきたいのです。全てを一瞬で描きとめる画力が無いワタシの描き方です。

むかえ水

むかえ水 は、一般的な呼び名ではありません。知り合いの先生からいただいた描き方とその呼び名です。技法の呼び方がどうであれ、同じことをやってる作家さんもたくさんいます。そして5 年ほど前に作ったむかえ水の動画です。

むかえ水 は光だけでなく、明るい背景に白いモノを描くときにも役立ちます。この塗り方でどうやって輝きを表現するのか気になりますか? なんならスケッチ会当日に簡単なレクチャーするのもアリかもです。

実際に描いてみた

大阪 天保山にて

おおよその手順は先に記した通りです。ただ手前の電柱や梢は最後に描き入れました。

記事を読んでいただいて嬉しいです。サポートしていただけたら、今後の活動に役立てたいと思います。