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デッキ構築タイムアタックの顛末【プレイヤーズコンベンション2022】

突然だが《原初の飢え、ガルタ》をご存知だろうか。

最強なる大地の歩行。それがガルタ。

『イクサランの相克』に登場した「エルダー・恐竜」サイクルの緑担当。
12マナ12/12トランプルという規格外のサイズを持った恐竜。
しかし、支払うコストは自分がコントロールする生物のパワーの合計分軽くなるため、状況によっては緑2マナでキャストできる。

見た目もまんまティラノサウルスで、「男の子ってこういうの好きなんでしょ?」と言わんばかりのビジュアルを持つ。
このカードが登場してからというもの、私はこの恐竜にずっと魅せられている。

「ガルタをパイオニアで走らせたい。」
そんな幻想に私はもう長いコト憑りつかれている。

無いなら組めばいい。
どうせ組むなら、リストをコピーするのではなく、イチから組み上げたい。
私の中のデッキビルダーとしての本能が、私を突き動かしていた…。

0.企画説明という名の言い訳

どうも、にっくです。
なんか気取った文章から始めてみましたが、要するに
「デッキを現地調達して組んでみた」
という完全に自己満足な企画をやってみました。
先日行われた『プレイヤーズコンベンション2022(愛知県常滑市)』。
3年振りのテーブルトップのお祭りに遊びに行くなら、なんか変なコトをしようと思ってしまった私の悪い癖でございます。

ショップの方々も「なんか微妙なカードばっかりコソコソ探してる不審者がいるなぁ」とか思ったでしょう。ごめんなさい。それ私でした。
今後ともよろしくお願いします。

単純に現地調達というだけの縛りでは面白みに欠けるので、縛りを追加。
・制限時間は3時間
・予算は1万円前後(努力目標)
・できればフリプして調整する
・基本土地も購入する

時間制限は自分の予定と照らし合わせた結果ですし、予算も自分のお財布事情が影響してます。完全に自分ルールです。
ただ、4つめの縛りが今回私を苦しめることになるとは、この時は想像もしてませんでした。

色々と縛りを入れることで、その中には「妥協」が生まれます。
妥協してこっちを採用する理由を語ることが、きっとこの企画を通して学べることだろう。そう考えての縛り追加でした。

「酷い紙束を組んだけどパイオニア範囲だからOK」とか「リスト通りの強力デッキをできるだけ安価で組む!」という狙いはありません。
「複数のショップが一堂に会するイベント内なら、想定外の一枚を見つけられるだろう」という目論見です。

ここまでがルール制定の経緯でした。
ここからはそれを踏まえての準備です。

1.準備編

今回の企画を練る中で、どんなコンセプトにしようか色々練っていました。
候補に挙がったのは以下6つ。

1.白単アグロ
2.青単デルバー
3.黒単《群れネズミ》信心
4.赤単バーン
5.緑単エルフ
6.緑単ガルタ

多色デッキを選ばなかったのは多色土地が必要になりまして、予算オーバーが懸念されます。予算が足りていないからといって、コモンのタップイン土地や安価なレア土地(シャドウランド、お前らのことだ)に頼ってしまうと、それだけでデッキパワーが低下してしまいます。
色を増やすことで選択肢は増えるのでオモシロカードを見つける可能性はありますが、それで紙束が出来上がるようでは企画の目的から外れますからね。今回は見送りです。

話を戻します。上記6つのアーキタイプの中から、自分が「面白そう」と思ったギミックが「ガルタデッキ」というわけです。

ギミックを紹介しますと、

3t目12/12トランプル着地!つよい!

1ターン目、ラノワールのエルフ
2ターン目、ガイアの眼、グウェナ
3ターン目、3~4マナのパワー5をキャスト→グウェナがアンタップしてサイズアップ。自分のクリーチャーのパワー合計が9を超えるので、ガルタ着地。
《狩猟の統率者、スーラク》ならばそのまま速攻を付与してそのまま12点パンチ!これを「ガールタ&パンチャー」略して「ガルパン」と呼びます。
私の中で。

『兄弟戦争』で追加された《ガイアの眼、グウェナ》を利用して、暴力的な盤面を構築するのが目的。緑単ストンピィの速度とサイズで相手を圧倒しようという頭グルールな非常に分かりやすいコンセプトのデッキ。

ガルタデッキ、実は以前私が晴れる屋札幌店さんのラストサン予選で使用し、TOP8まで上り詰めた実績もあります。2年くらい前ですけど。
その時は黒をタッチしていましたが、《グウェナ》の採用により緑単でこれを組んでみようという試み。
え?その時のデッキパーツはどうしたかって?
…MTGのカードって資金難の味方だよね。

というわけで、最初の目標とするデッキを晴れる屋さんのデッキ構築機能で組んでみました。

それがこちら。

このリストの中から、手に入らなかったらそもそも企画として破綻する、《ガルタ》《鉄葉》《スーラク》は最初から所持しているものとしました。
その上で残りのカードや他のアイディアを現地調達しようという試みです。
※《グウェナ》は持ってなかったので調達リスト入りです。

予算を1万円前後と設定していますので、このリスト通りに揃えようとすると確実に予算オーバーします。どこに予算をかけて、どんなカードで妥協するのか。そこが面白いところかな~と考えてました。この時は。
また、現状ではテストプレイもしていない紙束であることに変わりはないので、現地で友人や野良フリプなんかで調整して改造していこうと考えていました。

この時点では。

2.いざ実践開始

11月26日10:20に中部国際空港に降り立ち、美味しい味噌カツ定食を頂いてパワー充填は完了。前日の睡眠不足による体調面での不安は、これから始まる祭りの高揚感で打ち消されました。

その後、本戦に出場していた仲間たちや現地で会う約束をしていたフォロワーさんたちとの邂逅に区切りをつけ、13:00。実践開始の時刻となりました。

まず最初に確保に走ったのはマナクリたち。

どこかで再録、待ってます。

《ラノワールのエルフ》×4
《エルフの神秘家》×4
《ガイアの眼、グウェナ》×4
こればかりは確実に必須パーツ。
特に《グウェナ》は事前に値段を調べていた(¥300円前後)ため、見かけたら確実にゲットせねば!と動き出しました。

ここでちょっと計算。
1万円で最初に用意した10枚を除く65枚を揃えようってわけですから、カード1枚の予算はせいぜい150円程度。
つまり「200は高い。150は普通。100以下は安い」という基準になります。150円よりも安く手に入れば、それだけ他のカードに予算を回せるわけです。

ラノエル&神秘家は現行のトップメタの一角である緑信心デッキでも採用されているため、1枚100円くらいかな、と予想してました。
しかし…

現実はそう甘くない。
よく使われるパーツですし、今となっては供給の少ないエルフの神秘家。そりゃそれなりの値段はするよね。
まずはここを手に入れなければと歯を食いしばって投資します。
1600円。

次にデッキの屋台骨、《ガイアの眼、グウェナ》探し。

プレビューツィートも最高でした。

しかし…

『兄弟戦争』発売から2週間。そこに収録されたレアカードがなかなか市場に出回ることも少ないのだろうか…。
というよりも、各ショップの店頭に並んでいるのは高額カードや貴重なFoilなど見目麗しいカードの数々。
ショップとしては貴重なカードを売る最高の機会なわけですし、それはこれまでのGPやMFでも同様。至極当たり前。いくら最新セットとは言え、安価なレアを店頭に飾るスペースはないわけです。

それでもあきらめずにプレイヤーたちの波を掻き分け、複数のお店を渡り歩いて何とか3枚ゲット。値段は前情報より安めの250円が3枚。
たったの150円だけど、必要な投資が抑えられたのは僥倖でした。
1600+750=2350円。

これで最低限の必須パーツは手に入れた。
ある意味ここからがこの企画の一番面白いところ。ストレージ漁り!!
《胸躍る可能性》を信じていざ、ストレージ探しの旅へ!!!!

と、ここで違和感。
今までショップ巡ってきて、安価なストレージってどこかにあったっけ?

そう。
ここ数年猛威を振るっている例のアイツの影響なのか、
はたまた大した売り上げにならないからなのか、
ここ常滑の会場に安価カードのストレージを出していたのはフルコンプさんの100円ストレージのみ。

この時の絶望感は、会場に1000人単位いるプレイヤーの中でも私だけが味わったものに違いない。普通はそんなことで絶望しないんだけど。

はい、長考入りまーす。

ここまで使った金額は2350円。残り7650円。
購入したものと初期資産を合わせて21枚。残り54枚を手に入れる。
7650÷54≒136円。
基本土地を安く手に入れることができれば、1枚あたり150円くらいまでは許容範囲だろう。切り詰めれば200円を何枚か買っても問題はなさそうだ。予算的には何とかなりそうではある。

問題は「掘り出し物さがし」という企画の根幹を成す要素が危機的状況になったこと。これはもうお手上げです。困った。泣きたい。
一瞬、企画中止が頭をよぎります。
想定外のことが起こったんだから、それも仕方ないか。なんて。

その時、高校時代に悪友が私に放った悪口言葉を思い出します。
「お前ってさ、悪あがきの天才だよな。ホント。いつも悪あがいてる。」

あぁ、そうだったよな。私はそんな人間だった。
やれるだけ悪あがいてみようじゃないか。どんな記事になったっていい、ここで止めちゃ面白くねぇ。
と、会場のお外で「プカプカ」しながら頭を整理してました。

3.悪あがき

そしてまずはフルコンプさんの100円ストレージに。
無い無いと嘆いても始まらない。まずは覗いてみようじゃないか。
すると出てくる出てくる往年の名カードたち!

ハイドロイド、スタン当時は4000円とかしてなかったっけ。

過去にスタン環境を席巻したデッキの採用カードから、個人的に好きで使ってた生物まで「お前、こんなに小さくなっちまって…」みたいに懐かしさを噛みしめながら一枚一枚確認していく。高速で。
懐かしい思いに浸りつつも、探すのは3~4マナのファッティ。
《グウェナ》をしっかり使いたいのでパワー5が足切りライン。
しかし、なかなか見つからないため、とりあえずこの場では《漁る軟泥》を100円で2枚確保。墓地対策は大事。

こんなにお求め安くなったのね。

フルコンプさんの100円ストレージを漁る軟泥して2点ほどライフを回復したところで、嘆きのツィート。

これに返信を付けてくれたフォロワーさんの情報により、
・ジョニーのお店さんのバインダー
・狼の試作機
・ロナス、ナイレア、フェロックス、恋煩い、ケラトプス

これらのカードを探しに走ることに。
この時の情報提供はまさに天啓。方針が決まったら即行動!

まずはジョニーのお店さんのバインダーへ。
《作業場の戦長》を150円で発見。

アリーナではよくこの方に殴られてました。

5マナパワー5なので《グウェナ》→《ガルタ》との繋がりは少々苦しいけども、除去されても4/4が残るのはGood。ライフゲインも嬉しいし採用!
尋ねたところ在庫は2枚。ありがたく狩らせていただきました。

また、BIG MAGICさんのプロモカードのバインダーを覗いてみたところ、
《活力を穢すもの》のプロモパック産のものを発見。

スーサイドグリーン、面白いよ。

よく考えてみれば、《グウェナ》→《ガルタ》の中継としてかなりの好相性だし、5マナとコレさえいれば《ガルタ》にも繋ぎやすい。採用!
1枚しかなかったけれど、200円で確保。
この時点で大体1時間。一度整理してみよう。

見た目的にはちょいちょい揃ってきたな~という印象。
この時点で予算はまだ半分も使ってない。
「な~んだ、意外とイケるんじゃね?」とか
「縛りのハードル低くしすぎたなぁ」とか調子こいてました。

カード整理とプカプカ休憩をはさみ、合流予定の友人と顔合わせを済ませた後、フォロワーさんからのアイデアである《狼の試作機》《ロナス》《ナイレア》《恋煩い》《ケラトプス》を探しに。

4.お前…こんなに立派になって…

まずは先ほどのフルコンプさんのストレージで見たような気がする
《変容するケラトプス》を探しに。

対テフェリー、対オーコの切札でした。

100円ストレージの中にある値段付きのカードの中に潜んでいてくださいました。価格は200円と高めだけども、2枚だけならイケるんじゃないかとあまり計算しないでとりあえず確保。
ついでにナイスサイドカードの《顕在的防御》も100円×3枚確保。

《タミヨウの保管》よりもP/T上がる方が良いかなって。

つづけて《狩猟の神、ナイレア》《鋭い目、ナイレア》を探しに行くも、残念ながらどちらも見つけられず。《グウェナ》とも《ガルタ》とも《鉄葉のチャンピオン》とも相性のいい神様だけに、少々残念ではありましたが、無いものは仕方ない。
《恋煩いの野獣》については、『機体ビートダウン』でも採用されているカードなだけに今回の低予算では難しいだろうな~と思ってたので後回しに。

ならば《不屈の神ロナス》。君ならばお手頃値段で見つかるでしょう!
実際にリストにも入れてたから、探さない選択肢はないよね!!!

接死+破壊不能は格闘除去のお供。

…あれ?見当たらないなぁ。

フルコンプさんのストレージはもちろん、各ブースの安価バインダーにも全くと言っていいほど見当たらない。きっと売れないからどこのショップも持ってきてないんだろうなぁ…。

とか思ってふと目線を変えたとき見つける。「ショーケースの中」に。

「1000円」

は?

うそだろ。ロナスだぜ?『アモンケット』のロナスだぜ?
君、いつの間にそんなに立派(お値段が)になったの????
他のショップを見て回っても、安くて700円くらいしてました。

何故にこのロナスが高くなったのか、これを執筆している現在はマジで理解できてません。どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら教えろください。

OK、わかった。現在の残金から言えば2枚くらいは抑えられるが、すぐに買う決断は下せない。最後の数枚の時点で予算が余っていれば買うことにしよう。

5.メインだけでも形にしよう

その後、《狼の試作機》を探しに行くも手に入らず。
万策尽きたと3割くらい諦めモードでした。
ストレージを漁りながら変なカードを見つけて、「これはこういう理由で採用・不採用」みたいな感じで記事を書こうと思ってたので、方針転換は仕方ないなぁとか考えてました。
それでも、最低限メイン60枚は確保しなければ話にならないわけで。
こうなったらもう

ここで軽く縛っていた「店員に特定のカードがあるか尋ねる」というムーブを解禁することにしました。
記事の方向性?んなもん完成してから考えるぜ!ってノリでした。

というわけで、探してもなかなか見つからなかった(というより忘れてた)《恋煩いの野獣》を求めて、英語版を持ってきてそうなあずまやさんへGO。

Beauty and Beastって語感が好き

ここ数週間で一気に頭角を現してきた『グルール・機体』でもフル採用されているカードだけに、結構お値段するんじゃないの?とか思ってました。

あずまやさん、店員さんが海外の方が多いので得意の英語で買い物してみようと目論んだんです。Do you have Lovestruck Beast?ってな感じで。
そしたら調べてくれたんですけど、返答はNo.でした。残念。
あ、このやりとりはオススメですよ。Do you have ~?は色々使えます。

で、次に向GかったのがBIG MAGICさん。ブースの奥の棚にいっぱいストレージが置かれてたので、たぶん在庫いっぱい持ってきてるんだろう(むしろそのストレージを見せてくれ)と思って凸させていただきました。
言語の指定まで聞いてくれて感謝感激です。
そして気になるお値段は。

BIG MAGICさん「1枚150円で出せます!」

神はいた。

ってかそんなに安いの!?って衝撃でした。
まぁこのころは緑のデッキ強かったですし、結構使われてましたからね。
スタン落ち直前に手放したって方もそこそこいらっしゃるでしょう。
で、今グルール機体を握ろうとしている人は持っている人が多いでしょうし、なるほどお値段も納得ですわ。
4枚フル購入です。

ついでに《グウェナ》の4枚目と除去枠で考えてた《尾の強打》4枚も一緒に購入。結構そろってまいりました。

また、フルコンプさんのストレージに見落としが無いかを確認しに行き、
《スーラク》4枚目と《再利用の賢者》を調達。
(ここで《エルフの神秘家》が150円で売ってたのを見たのは目の錯覚だと思うんだ。きっとそうだ。)

また、ジョニーのお店さんのバインダーを見て、《活力を穢すもの》2枚と、今回の最安値カード《タミヨウの保管》(50円)を2枚追加。
この時点で残り30分となりました。

意外と予算を残せてたのは自分でも驚きでした。余った予算は当日の飲み代の足しにしようとか考えてたのでこれは僥倖です。
この2年間のケチケチ生活で自分のお金管理力が鍛えられてたのを実感しました。

6.最大の”壁”

土地以外のカードは大体揃ってきました。2マナ域が全然確保できてないのが気になりますが、そこは《楽園のドルイド》や《培養ドルイド》なんかで調整しようという考えがありました。

さて、土地だ。
ここまでショップに何度も何度も目を通していて気付いていることがありました。間違いなくここが最大の壁になるだろうことは、この時既に理解してました。

そう。私が求めていた「パックから出てくるなんでもない基本土地」を扱っているお店は皆無。
当初は10~20円で購入できるだろうと想定していた基本土地。
この会場内に基本土地を扱っているショップなど、存在しないのだ。

合流した友人にも手伝ってもらい、何とか数枚は確保できたものの、必要枚数には到底届かない…。しかも100円ストレージだから1枚100円。
自分で決めたルールですから、そこは素直に従います。
ダブスタクソ親父にはなりたくないもので。
そこそこ人気のある枠の基本土地ですから、この値段で置くのは納得ではあります。

※ちなみに会場にはリミテッド用にランドステーションはあちこちに完備されてます。それを使うのは流石に気が引けました。

基本土地を探すついでに《ギャレンブリク城》1枚と《ハシェプのオアシス》を1枚を見つけたのでそれも購入。

この時点で15:50。終了まであと10分。
Twitterではフォロワーさんから「JUMP STARTに参加された方からトレードで入手しては?」とのアイデアを頂きましたが、時既に遅し。
もうスリーブを購入して入れなければ間に合いません。

というわけで、晴れる屋さんでスリーブを購入し、空いてる席を見つけてSleeve in。購入したすべてのカードを入れてタイマーストップです。

計測終了時点で3:03、
使ったお金はスリーブ・デッキケース込みで8450円でした。

7.完走できなかった感想

まずは仕上がったデッキ(になってないもの)をご覧ください。
サイドボードは購入したもの、「検討中」には予算と在庫があれば組み込みたいものを入れてあります。

基本土地を縛らなきゃよかったなとは思うけれども、とりあえずメインとなるギミックに必要なカードは揃えられました。本来であれば、この後フリープレイを繰り返して少しずつ形を整えていく予定でしたが、無駄行動が多すぎたためにそこまで行くことはできませんでした。

今回、100円未満のストレージ漁りができなかったため「掘り出し物の発掘」というオモシロ要素が消失したのは想定の甘かったところですね。
それでも、ショップのバインダーやショーケースを見ながら、アレは高い、コレは安い、これはデッキに合いそう、合わなそうと試行錯誤しながらショップ巡りができたのは、今までのGPやMFとは違った楽しみ方ができたと思っています。

この企画において自分の最大の反省点は、サイドボードを選べなかったところですね。これは時間が無かったのが原因ではなく、パイオニア環境への知識がそこまで深くなかったところです。
それなりにメタゲーム情報は仕入れていたものの、もう少しパイオニアをプレイしていれば、どのデッキにはどんなカードが有効なのか、そのためにどんなカードを選択すればよいのかをもっと素早く判断できたでしょう。
やはりMTGはプレイしなきゃ上手くなりません。

8.改造案

さて、ここからは改造案です。数少ないフリープレイで得られた感触から、現在のリストの弱点や本当に採用したかったカードなんかを語ってみようと思います。
なお、以下の改造案は「机上の空論」がほとんどですので、ツッコミどころが大量にあるかと思います。

出来上がったデッキを見ると、マナクリ→《グウェナ》→ファッティ→《ガルタ》の動きにガッチリ寄せてあります。3マナ以降のスタッツは《グウェナ》を除きパワー5以上なので、緑単ストンピィらしい動きは”一人回し”ではそこそこできるとは思います。
でも、これは12/12トランプル着地RTAではなくマジック:ザ・ギャザリングなのでこのままでは完全に紙束です。

このリストに森を突っ込んで友人(グリクシスドラゴンミッドレンジ)とフリープレイしてみましたが、2マナ域が存在しないのが本当に弱い
1t目のマナクリが処理されてしまうと、3t目までマグロ:ザ・ギャザリングですから、この弱点は明確にこのデッキの紙束ポイントを爆上げしています。

①2マナ域無さすぎ問題

マナクリをキープできなかったor処理された場合の2t目のアクションとしてどんなものが有効なのか考えてみます。
除去されにくい《楽園のドルイド》を採用したり、《群れの結集》や《ニッサの誓い》のような息切れ防止の準備をするターンにしても悪くないかもしれない。もしくは、《群れ率いの人狼》も悪くはなさそうですし、バントスピリット等の飛行対策として《クロールの銛撃ち》も活躍の場はありそうです。

《楽園のドルイド》を採用する場合、マナクリ16枚体制は流石にやりすぎなので、《ラノエル》《神秘家》の枚数を調整するのがよさそうです。

「パラドル」って略すの、結構いいよね。

息切れ防止のための何らかのカードの採用は間違いなく必要。元リストにも検討中リストにも入れているが、予算の都合が合うのなら《グレートヘンジ》は悪くなさそうにも思える。ただし、《グレートヘンジ》はこちらのファッティが生き残って初めて出せるような代物なので、《群れの結集》や《窓を叩く》、《シラナの道探し》あたりが丁度いいような気もします。《ニッサの誓い》《冒険の衝動》からマナクリを探して置き直すのも選択肢としてはアリでしょう。

「魔巧」達成が完全にインクの染みになっちゃいますけどね。

または、後々ドローソースとなり得る《群れ率いの人狼》のようなヘイトの高い生物も除去を吸い込んでくれそうで活躍できそうです。《レンジャー・クラス》も後々こちらのビート手段を補強してくれる役目を持っているので、悪くない選択だと思います。『兄弟戦争』から《根導線の融合体》を採用するのも面白そうです。

1枚700円くらいで見たのですが、今回はスルーしました。
2マナ域でもあり《グウェナ》との相性も良さそう。
高いけど。

また、地上はこちらのクリーチャー・サイズがデカすぎるので止められますが、飛行持ちの生物相手には格闘除去くらいしか対処手段がないので、到達持ち生物はそこそこ価値がありそうです。《クロールの銛撃ち》はうまく使えば面白いカードかもしれません。

「宿根」能力でガルタ着地の役に立つかも?

色々な方向性が考えられますが、2マナ域の追加は明確に改善ポイントです。《致命的な一押し》や《踏みつけ(砕骨の巨人)》が跋扈する環境でデッキ内に枚数の少ない《漁る軟泥》をマナを浮かせずに着地させるのは愚策だと私は考えていますので、2マナの選択肢を増やすのはマストでしょう。
ただし、採用しすぎるとグウェナの強みが生きなくなりデッキが歪むので、その辺りは要検討です。

②除去を取るのか守りを取るか

次は補助枠のお話しに移りましょう。
今回は「とりあえず使ってみたい」という意図で《尾の強打》を選んだわけですが、ここにも当然選択の余地がありまして。

合流していた友人からは、「基本土地を氷雪森にして《吹雪の乱闘》でもよくない?」と知恵を頂きました。

条件はあるものの、破壊不能付与は偉い。

これには「基本森は無くても氷雪森ならあるかもね?」という枕詞が付いていましたが、それ以上に《黙示録、シェオルドレッド》をはじめとする接死持ちに対する回答という意味合いもあります。
ラクドスがTier1に君臨する以上、《シェオルドレッド》の採用はあり得る話ですし、彼女がただ立っているだけで攻め手を失ってしまうのは勝てる試合を勝てなくしてしまう一つの要因です。
デッキを大きく歪めずに対策を立てられるなら採用する理由としては十分でしょう。

また、1マナ重くなってしまいますが、《強行突破》も視野には入れてました。

売ってなかったの、悲しみ。

一方的な格闘除去であり、インスタントであり、《ガルタ》や《活力を穢すもの》を絡めれば相手に大ダメージを飛ばすこともありそうです。
デッキの内容と嚙み合った除去としては優秀な部類に入ると考えています。

ググっとマナ域(と予算)を上げれば、《アーク弓のレインジャー、ビビアン》の採用は自然な流れだと思います。

すっかり緑の定番PWになりましたよね。

サイズアップ+トランプル、一方的な格闘除去、忠誠度が溜まっていればサイドボードから戦力を引っ張ってこれる。緑単信心でも使われていますが、このデッキでは全ての能力がかみ合っています。盤面更地だと何もしないんで、枚数は少な目で良さそうです。

しかし、防御的なカードの枚数を増やすのも選択肢としてはありなのかとも考えています。いざ《ガルタ》で殴ろうというタイミングで単体除去を当てられては勝機を逃しますし、デッキのエンジンでもある《グウェナ》を護るという役目もあります。

そう考えると《顕在的防御》か《タミヨウの保管》がベストマッチだと思います。P/Tを上げられるのを理由として《顕在的防御》が適合しているとも思いますが、前述した《シェオルドレッド》はじめ接死持ち生物や、青白コントロールの《至高の評決》を考えると《タミヨウの保管》が光るタイミングの方が多そうです。
《告別》は打たれたら確実に負けなので、それまでにケリを付けるつもりで強襲しましょう。

除去と防御、どちらが良いとは頭の中では結論が出ませんので、この辺は練習で調整していきたいところです。

③ファッティの選定

まずは当初のリストに居なかった《活力を穢すもの》から。
5-6/6は《グウェナ》の次のターンに展開する脅威として十分ですし、何ならそのまま《ガルタ》にもつながります。
更に盤面更地で出てきたとしても、ターンが帰ってくれば《ガルタ》キャストに繋げることができます。お値段も程よく試すにはもってこいでした。
かなりのオーバーキル気味の構築にはなりますが…。

次に、今回は在庫と予算の都合で採用しませんでしたが、本来であれば採用したいファッティはもっともっとたくさんいます。

まずは記事でも出てきた《不屈の神ロナス》。
なんでこんなに立派(なお値段)になったのか想像もつかないんですが、
「マナコスト、パワー5、除去耐性、マナフラ受け」と欲しい条件が全て満たされているのがロナス神様です。こちらの格闘除去を確定除去に変えてくれるのも◎です。

大好きだから再登場。

また、マナ域的にも無理ない程度な上、クリーチャーが多数のこのデッキでは間違いなく活躍してくれそうなのが、『団結のドミナリア』より《シルバーバックの古老》です。

「置物絶対許さん」ってのは実に緑らしい。

《巨大猿、コグラ》はどうでしょうか。最後の能力が完全に死に能力となってしまいますが、《グウェナ》以降のマナ域としては無理すぎるわけでもありません。アドバンテージ獲得の手段としては悪くないかもしれませんが、サイドボードに1枚とかでも問題ないでしょう。

ゴジラ・コラボカードじゃないのに怪獣映画感あるよな。

《狩猟の神、ナイレア》と《鋭い目、ナイレア》はそれぞれが欲しい能力を分散して持っています。どちらも4マナで破壊不能、パワー5以上です。
ただ、クリーチャーとして戦場にいるために必要な信心はどちらも5で、《ガルタ》サポートにはならないことが多そうなのが欠点です。
しかし、スタック上ではどの状況でもクリーチャーとしてカウントされるので、《グウェナ》のアンタップ+強化する効果には引っかかります。

『テーロス』のナイレア様

初代『テーロス』のナイレアは、自軍生物にトランプル付与。4マナで+2/+2修正。どちらかと言えば欲しいのはトランプルですね。《恋煩いの野獣》や《スーラク》がダメージを通しやすくなるのは決着を早めるのに役立ちそうです。

『テーロス還魂記』のナイレア様

2枚目の『ナイレア』様はクリーチャーのコスト軽減と3マナで後続探し。
掘る枚数が3マナでたったの1枚なのが厳しいところですね。ただ、《グウェナ》のやることがなくなったらこっちに回せるので、マナフラ受けを考えるならこちらが優先でしょう。

2種類のナイレアを採用するのなら、”初代”がメイン向き、”二代目”がサイドボード向きかな、という印象です。

④息切れ防止の置物

2マナ域の話でも取り上げましたが、現代アグロデッキの定番枠である息切れ防止のドローソース。パイオニア範囲だけでも結構な種類があるんですよね。主にサイドボードで利用価値のあるものを候補に入れています。

まずは最近使用率の上がってきている《形成師の聖域》

イクサランの隠れた名カードとして私の中で話題。

たった1マナで設置できて、相手の単体除去を全てこちらの有利トレードに変えられる化け物エンチャント。ミッドレンジやコントロール相手にリソース差で勝負をかけるには持ってこいの1枚ですよね。特にラクドスだと触る手段が限られているので、結構なアドバンテージを生み出してくれそうです。

《進化の飛躍》も名カードです。

スタン時代はサイドに常に忍ばせてました。

起動にマナはかかりますが、単体除去を当てられそうなったクリーチャーを確実に別のクリーチャーに変えられるのが利点。《形成師の聖域》との差は全体除去への耐性がある点でしょう。《放浪皇》が出てきそうな時も、マナさえ残していれば躱せるのは偉そうです。

《造命師の動物記》もカラデシュ産の良ファクトですね。

ティムールエネルギーではお世話になりました。

3マナ設置で、ドローのために1マナ追加はもたつく原因にはなりそうですが、毎ターンの占術1は利便性が高いです。ロングゲームになりそうなマッチアップで使いたいところですね。

また、《精霊の絆》も存在感のある置物です。

フレーバーテキストがまたいいんすよ…。

《グウェナ》のためにパワー5以上の生物が大量に詰め込まれてますので、多くの生物がキャントリップ付きになると考えると、なかなかのドローソースとなりそうです。3マナの渋滞が加速しますが、メインデッキに1枚差しておいても損なさそうですね。《活力を穢すもの》との相性も抜群ですし。

最後にPW枠として《ビビアン・リード》を。

スタン当時はかなりの高額でした。

+1能力でクリーチャーを探しに行ける上に、-3で置物か飛行クリーチャーの除去ができる、デッキの弱点を埋めてくれそうです。5マナがパイオニアでどれだけ許容されるのかが気になるところですが、1枚2役できるPWはデッキを引き締める役割をもっています。

9.終わりに

ここまで長々と語ってきました。この記事作りも含めて、今回の企画は私なりに大変楽しいものだったと感じています。
この企画自体、初心者向けのものでもなければ、経験者に届けたい内容でもないので、「誰の役に立つかわからない企画」であると言われても仕方ないものではあります。

「特定の場所で制限時間以内にデッキは組めるのか?」という「検証企画」のつもりはありませんでしたが、今回のようにデッキを作成することは不可能ではない、ということはわかりました。

元々、ショップをMTGAの「カード生成機能」、軍資金を「ワイルドカード」と見立てて、限られた資源の中でデッキを組んで遊ぼうと思いついた企画でしたので、それっぽい楽しみ方ができたのでそこそこ満足しています。

「複数人でこの遊び方をするのは割と面白そう」と、企画を相談したコミュニティの仲間からも言われていました。
ストレージがたくさんあるお店なら、4人くらいで「お店のストレージ限定構築」という遊び方も成立するかもしれません。その場合は予算をもっと低く設定して苦しみながら戦うのは面白いかもしれません。

企画を振り返りながら思い出したことなのですが、私が『マジック・オリジン』期のスタンダードに復帰した時に作ったデッキは、こんな感じにお店のストレージやバインダーと睨めっこしながら作ったんですよね。
簡単に勝てるようなデッキにはならなかったのですが、経験者の方に付き合っていただいて、なんとかオリジナルのデッキを組み上げた。初心者の頃のあのワクワク感を思い出しました。
思えばあの頃から自分はデッキビルダーだったんだなぁとか懐かしい思いに浸ることができました。

そんなオッサン的感傷だけではなく、デッキビルドに必要な要素というものも学べたような気がします。

今回のように《グウェナ》と《ガルタ》を使いたい!というコンセプトがはっきりしているからこそ、カード探しが非常にやりやすかったですし、デッキの強い動きを意識したプレイングとそれを実現するためのカード1枚1枚の採用枚数やその理由を検討するネタになるということを体験的に学び取れました。

また、MTGを始めて間もない頃のプレイヤーに対して「アレを入れろ、コレを買え」と具体的に指示するよりも、好きなカードやギミック・コンボのコアとなる部分を経験者が分析して、それに合致したカードを探すように教えてあげることがデッキビルド沼に沈めるにはよさそうだなぁと感じました。

初心者の頃のようなデッキビルドの楽しさを味わえるこの「デッキ構築タイムアタック」。今回は失敗に終わりましたが、興味のある方は是非人数を集めてワイワイと遊んでみてはいかがでしょうか。

おわり。

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