あみもの

なくしたものへの後悔と贖罪
償いきれないとはわかっていても
今日もこうして言葉を編んでいる

もう届かなくなった声
聞き手を失った言葉たち
今さら語るべきことなんてない
そう思い込んでいた

行き先がなくなってしばらくは
こんなものも作れなかった
少しは前進できたのだろうか
ずいぶんと時間はかかったけれど

手先が不器用なぼくは
マフラーのひとつも編めないから
寒い朝や冷たい夜には
胸のあたりを温められるようにしたい

終焉へと向かう必然に
抗うようにして言葉を編む
ちょっとした風よけにでもなればいい
できたものはここにおいていくから

なくした大切なものを思いながら
過ちの時間を抱いたままで
今日もこうして言葉を編んでいる
誰かが拾ってくれるのを期待して

(2023.11.16.5:49)

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