火葬
晴天の秋の日はいつも
あの日の記憶を呼び起こす
何年経っても同じこと
常に前には進めない
こんなきれいな空の色
輝くようなうろこ雲
街は今でも動いていて
あの病院も移転した
今はどこで見てるのだろう
時間とともに変わり続ける街を
その中で取り残されたような
小さくて無為なこの存在を
きっときみにとっては最後の瞬間まで
世界は残酷で美しかったんだろう
それでも一緒に見ていきたかった
そんなはかないねがいはもう
たくさんの言葉をのせて
煙が空へ登っていく
ぼくはそれを見ているだけ
抗うこともできないで
きみのいる夢を見なくなり
あの日の煙も霧散して
残されたものはいくつあるのか
記憶の中で数えてみたり
消えない記憶を抱きしめて
はかないねがいを持ったまま
ぼくはまた右往左往する
この先も何年経っても
(2023.11.10.10:17)
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