いつか消えるとしても

あの想いは少しずつ薄れ
思い出の街は形を変えて
大切だと思っていたものは
記憶の中にしかなくなった

やむを得ないのだろう
きっと生きるとはそういうこと
でも今の自分にとっては
受け入れがたい現実

全てのものは風化していく
燃えるような激情も
冷たすぎるかなしみも
良くも悪くもいつか消えていく

終わることのない出会いと別れ
繰り返される生産と破壊
その中で拾いそこねた後悔を
今も諦めきれずにいるけれど

それでも変わらないもの
刻み込んだ記憶はきっと
この足跡とともに残り続ける
そう信じたい

忘れていかないようにしよう
たくさんの記憶たちを
時に痛みを伴いながら
消えてゆくさだめに抗うように
刻み込む言葉たち

いつか死にゆくとしても
残しておきたいものがそこにある
誰かが見つけてくれるように
どこかで光を得られるように
誰かの心に寄り添えるように

(2024.1.12.12:24)