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2024NFLドラフト:ATLの指名を振り返る

初投稿失礼致します。
ATLファン歴かれこれ10年のニックと申します。自分でもなんでこのチームをずっと応援してるのかわからないです。
今回2024年のドラフトにおいて色々な意味で普通でないドラフトをしたATLですが、一ファンなりにドラフトを振り返っていきたいと思います


ドラフト前の下馬評

前提として、ドラフト開始前アトランタのneedsと言われていたのは主に次の3つです。
1.パスラッシュ
2.AJ Terrellの対となるCB
3.Drake Londonに次ぐWR2
特に1番については去年リーグ最下位のpass-rush-win rate、リーグ32チーム中21位のサック数、それに加えて去年6.5サックでサック数のリーダーだったCalais Campbell及びBud Dupreeは一年契約で今年はいないという状況で、一番の穴という状態。そのため事前のmock draftでは全体8位でAlabamaのDallas Turnerをとるか、トレードで全体順位を下げてUCLAのLaiatu Latuをとると予想されていた。
2番については去年4巡目に獲得したClark Phillips Ⅲがなかなか頑張ってくれて入るものの、去年1年契約をしたJeff Okudahも微妙で今オフにTexansに行ってしまい、確立されたCB2がいない状況。予想としてはIowa StateのTJ Tampaを2,3巡目で取るか、もし1巡目下位予想されていたCB (AlabamaのKool-Aid MckinstryやIowaのCooper Dejean)などがたまたま2巡目まで残ったら指名に動くとされていた。
3番についてはFAでCHIからDarnell Mooneyを獲得したものの、今年がとてもWRが豊作なのもあり、もう一人Kirk Cousins の武器になり得るWRをとるべきと考えられていた。予想としては下位指名でVirginiaのMalik WashingtonやRiceのLuke McCaffrey、上位指名で残っていればGeorgiaのLadd McConkeyを指名するとされていた。
つまり予想では1巡目と3巡目:EDGE,2巡目及び3巡目のどちらか一つ:CB, 残った上位指名でWRとの想定がされていた

しかし実際は

1巡目 全体8位:Michael Penix Jr (QB Washington)

今ドラフトにおける全指名の中で1番のサプライズ。この全体8位という順位で、もうすでにFAでKirk Cousinsと4年総額1億8000万の契約を結んだというのに、24歳のあまり若くないQBを取るという暴挙。自分は最初この指名を聞いた瞬間、正直意味が分からなすぎて司会者が指名を取り違えたのかと思ったほどです。それまでにこの指名は謎で、最低でも2年間ベンチを温めることになる選手に、再建期でもないチームが全体8位というプレミアピックを使うというのは普通あり得ない。現にほぼ全てのアメフト評論家はこの指名を酷評しています。
なぜこのような指名に至ったのか、主に3つ理由があると考えています

  1. ディフェンス選手があまり魅力的でなかった。今ドラフトの1巡目の結果から見てわかるようにディフェンスではあまり飛び抜けた選手がいない。最初に取られたディフェンス選手は全体15位であり、全32個の1巡目指名中ディフェンスの選手の指名はたったの9つである。十分2巡目でも間に合うと考えていたと思うと納得できる。また首脳陣が1巡目指名を使うに値すると考えていたのがおそらく前述のLaiatu Latuだけだったと思われる。(現に獲得のためにATLは1巡目に頑張って戻ろうとしていたことが報じられている)そのため、ディフェンスの補強はここでは行わなかったのだろう。

  2. カズンズの年齢。もう36歳のCousinsはこのオフに大金かけて獲得したものの、あと3年程で十中八九引退または格落ちとなってしまうと考えられる。ただし現在QBの後継者は全くおらず、このままだとMatt Ryanを放出した後の二年間悪夢の二の舞となってしまう。そのためCousinsがまだ現役であるうちに後継者を見つけなくてはいけないが、現在のディビジョンの強さ、及びスケジュールの楽さを考慮するとおそらくこれから2年間程はこれほどのプレミアピックを持ってドラフトに望むことが出来ないかもしれない。または来年獲得するつもりだったが、現状、CousinsのFA交渉の際のTamperingの捜査の結果では来年の一位指名が剥奪されるかもしれない。そのため今回の指名でQBを取るという選択になったのだと思われる。

  3. GBの成功。ここ2年ATLのQBはMarcus Mariota, Desmond Ridder, Taylor Heinekieと全くスターターが定着することなく、どんだけ周りに武器があろうともQBのせいで負け続けてきた。おそらく首脳陣はもうこの失敗に懲り懲りだったのであろう。そのためBrett Farve, Aaron Rodgers, Jordan Loveと常にQBに困っていないGBのようにスターQBのバックアップとして次の後継者を育成するモデルを採用することに決めたと考えられる。QBが何よりも重宝されている今のNFLで常に成功しているGBを見習うのは理には適っていると思われる。

自分としては最初はこの指名は否定的だったものの、もしPenixがMatt Ryanのように長期的なスターターとして定着してくれるのであれば凄くいい指名になると思う。これほどまでにQBが大事なリーグで、たとえプレミアピックを使ったとしてもちゃんとしたスターターが手に入るのであればedgeやCBなんかよりも正直はるかに価値がある。ただここでPenixを取るならせっかく残っていたプレミヤWRであるRome Odunzeをとった方が今年及び来年の勝率は確実に上がったとは思う。
グレードとしてはC+位。どちらかというとファンとしてはRome Odunzeをとって欲しかった。もしPenixがZach Wilsonみたいな失敗となってしまうと、おそらく28-3と並び永遠に嘲笑の対象となるので、Penix及びATLのコーチ陣はほんまに頑張って下さい。

2巡目 全体35位:Ruke Orhorhoro (DE Clemson)

悪くはないが良くもないピック。パスラッシュを改善しようという意思が見えるのは◎。ただ今年のDT中で1、2を争うプロスペクトであるJohnny Newtonがまだ残っていたのと、Tier-1CBである前述した二人(Kool-Aid Mckinstry, Cooper Dejean)が残っていたのを踏まえるとわざわざトレードアップするほどなのかと疑問は残る。以下のように運動神経は確かなようでboom or bustタイプの指名だと思うが、アメフト自体を始めたのが高校かららしく、可能性には凄く期待を持てる。アトランタ一昨年の2巡目で指名したTroy Anderson然り、こういう実績はあまり無いが運動神経は抜群な選手好きですよね。まあClemsonのDLにはいい思い出がありますし、次のGrady Jarettになってくれれば文句はないです。Kool-Aid欲しかったなぁ。何よりSaintsがとったのがムカつく
グレードとしてはB+

3巡目 全体74位:Bralen Trice (EDGE Washington)

神。今回のドラフトで一番好きなピック。これ程低い順位で去年のNCAAパスラッシュリーダーのBralen Triceが取れたのは大きい。先程のOrhorhoroとは打って異なり、運動神経よりも技術が高い選手。多分Ceilingが低いと思われてここまで残ったのだと思われるが、ハイライトを見る感じ手の使い方が上手く、パスラッシュが上手い選手で今のパスラッシュ撃弱なATLにすぐインパクトを与えられると思う。これでWashingtonのOD両方のリーダーが揃ったのか。
グレードとしてはA

4巡目 全体109位:Brandon Dorlus (DT Oregon)

これも良いピック。スピードに優れている印象で先程のBralen Trice同様今シーズンからローテーションに入れる可能性もあると思う。運動神経も申し分ないが、DTとして体重の面では成長の余地がありそう。3連続でDLを獲るとはあまり予想していなかったが、これでパスラッシュが良くなれば何も文句はないです。一応UCFのWR,Javon BakerやIowa StateのCB,TJ Tampaも残っていたのでそっちでも良かったかなとも思う。ただこの順位でこれほどの選手が取れたのはsteal以外の何でもない。
グレードはA-。ただCBほんまにどうするん?

5巡目 全体143位:JD Bertrand (LB Norte Dame)

えー二つ目の謎ピック。選手はそんなに悪くない。ラッシャーというよりもタックラーの印象の選手。Norte Dame でチームキャプテンをやっていて、人間性的にも優れている気がする。ただKaden Ellis, Troy Anderson, Nate Landmanと三人スターター級がいるLBルームにもう一人必要だったのかは疑問。まだMalik Washingtonとかは残っていたのでそっちでも良かったのではないか?こればっかりは本当にわからない。
グレードはB。選手はいいが必要かという点ではMichael Penix Jrと似てる気がする。本当にCBどうするん?

6巡目 全体186位:Jase McClellan (RB Alabama)

まだArthur Smithの呪縛は残っていたのか。Coradelle Pattersonを失ったからそりゃ三人目のRBが必要とはならんやろ普通。選手としては一昨年獲得したTyler Allegierに似ている気がする。40yardのタイムがわからないのでなんとも言えないがスピードはそこまでないものの、どちらかというとタックルされても倒れないタイプのRB。まあRBは怪我が多いポジションなのでデプスが厚いことに越したことはないので許せなくもない。
グレードはC。6巡目なんて正直あまりいい選手はいないかもしれないが、WRやCBをここまで全くとってないのは何故?と思う。選手というよりなぜここでRBの意味を込めてのC。

6巡目 全体187位:Casey Washington (WR Illinois)

ここでやっとWR。スピードはあるがルートが上手い選手ではあまりない。レシーバーとしてよりもパントの時のガナーとして活躍できそうな上、セパレーションをもっと上手く取れるようになると化ける可能性がある。WRのデプスとしても良い指名だと思う。ただJerry Riceの息子のBrenden Riceを獲って欲しかったという人が過半数だとは思う。自分としてはBrenden Rice はキャッチ能力が少し低い気がして好きになれなかったのであまり変わらない気がするが
グレードはB-。ただこの辺になってくると正直誰が成功するかなんてあまりわからない。スペシャルチームで確実に貢献してくれそうな選手を取ったのはある意味正解かもしれない。


6巡目 全体197位:Zion Louge (DT Georgia)

今ドラフト三人目のDT。4巡目のBrandon Dorlusとは逆に、運動神経はあまりないが6-5 314 poundsと兎に角体がでかい選手。おそらくランブロックのパッケージに使われるロールプレイヤーになるのではないかと思う。こんだけDTを取ったなら何人か今いるDTの選手がカットされるんだろう。予想ではAdetokunbo OgundejiとEddie Goldmanの二人。前者はともかく後者はなんで2回も引退宣言してまだ残ってるねん。
グレードはCあまり期待はしていないがもしこのサイズで化けたら面白いかも。

総括

ドラフト全体を通して、ATLはあまり即戦力を求めるより、将来性を重視した指名をしているように感じた。特に1巡目と2巡目はその象徴とも言える指名である。(本来は1巡目と2巡目は即戦力を獲って後の指名は将来性を見るので逆転してる気がしなくもないですが…)ただ一人もCBを獲らなかったのとWRをあまり積極的に獲りに行かなかったのには疑問が残る。Xavien HowardでもここからFAで確保するつもりなのだろうか。もう一つの疑問点としてはもしMichael Penix Jrないしは別のQBをはじめから獲得するつもりだったのならなぜTaylor Heinekieをさっさとカットしなかったのだろうか。本当は4,5,6,7位で取られた選手の誰かが本命だったのではないだろうか。
今年のドラフト全体としてのグレードはC。3巡目のTrice、4巡目のDorlusと良いピックもあったが、元々あった穴を埋めれたかとなると決してそのようなドラフトではなかった。ほぼ20年ぶりにアトランタに生まれた左腕のQBは果たして旋風を起こしたMichael Vickの再来となるのだろうか。


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