バックヤードウルトラ参戦レポート
Backyard Ultra Last Samurai Standing 2024 東京に参加してきたので、この大会の準備やコースプロファイルなどについてまとめました。
なお筆者は21laps、約140kmで怪我によりDNFしていますが、この距離は昨今の記録(先日の世界大会の日本記録は92LAP)などと比べると、単純な距離比較ではフルマラソン42kmで10km未満で辞めてるのと同じくらいかなり序盤にリタイアしています。そのため、あくまで序盤でリタイアした者の景色や見方だという点をご了承ください。
大会概要
1時間毎に約6.7kmを周回して最後の一人になるまで続ける競技です。高尾での東京大会は、今回16名が出走しました。
詳細な大会概要については、公式サイトをご覧ください。
準備編
と、その前に。この記事を書いている現在、筆者がDNFした2024年東京大会はまだ2名が残っており50周を超えようとしています。21周でも精神的にも辛くなってきた筆者にとって50時間経ってもまだ走り続けている姿を見ると、そしてそれでも世界記録の半分にも満たないという事実を前にすると、この大会において物理的なものの準備なんて些細なもので誤差でしかないようにすら感じます。それでもここでは、筆者のように初めてバックヤードに挑戦してみたいと意気込んでいる方向けに、少なくとも21ラップ走った中で感じた便利なものを紹介します。
バックヤードは、準備から始まっていると言っても過言ではない、というのが今回参加しての感想です。この過酷なレースで自分の限界を超えるためにら戦略が大事です。
この大会に出るモチベーションは人それぞれだと思いますが、基本的には何十時間にも及んで走り続ける覚悟を持ってエントリーしているかと思います。その場合、その覚悟以外にも、何十時間にも及ぶランニングを支える全てのものを自分(あるいはサポートクルー含めた”自分たち”)で準備する必要があります。なぜなら、大会側から提供されるものは水とお湯、そして2.5m四方のデポジットエリアのみで、一般的なランニング大会にあるような途中でのエイドサービスはないし、コンビニなどに寄ることもできません。そのため選手は、その与えられた四角いスペースの中に、これから自分が走り続けるのに必要な全てを納める必要があります。かつ、多くの選手は50-55分くらいかけて走り終えてデポジットエリアに戻ってくるため、残りの5-10分で次のラップに向けた準備をできる段取りが必要です。
では何が必要か。今回出てみて、あった方が良いなと感じたものをリスト化します。なお筆者はDNFするまでサポートなしでしたが、チームメイトの選手&サポートが偶然すぐ向かいのデポエリアで入り口を向かい合って設営したため、途中からその選手のサポートが筆者の分まで調理などしてくれ、その体験も含まれています。本当に恵まれていました、あのサポートがなければ結果は全然違ってたと思います。
喜び感じる食事と調理グッズ
補給食が必要なのは明白ですが、レースで普段摂取するような「携行」を目的としたジェルなどよりも、より「食事」らしい、「食べる喜び」を感じられるもの、自分がレース後で疲れた時に食べたいと思うようなものが良いと思いました。
筆者は元々サポートなしのため調理する予定はなかった(調理する時間がない)ので、比較的コンパクトかつ食事っぽくバランスよく栄養補給もできるものとして、完全栄養を謳うベースフードを購入して持っていきました。他の食事系はカップラーメンです。
ですが、筆者は普段からこのベースフードを食べているわけではなく、単に腹を満たす作業という感じでそこに楽しみはなく、食欲を掻き立てるものではありませんでした(普通に美味しいのでオススメのパンではあるのですが、筆者はもともとパン全般を食べ無いからです)。ですが、途中で向かいの選手のサポートが調理して提供してくれた温かいお茶漬けや素麺、甘酒など自分の日常に近い親しみがあり、出来立ての美味しさがあり、温かく、本当に美味しく感じて活力となりました。温かい、消化しやすい、美味しい、そして作ってくれた人の温かさ。これは耐久系レースにおいてはとても大事な要素だと感じました。この点で、サポートの有無はかなり大きいです。筆者は初日の夜にカップラーメンを食べたくなったのですが、自分でお湯を入れる時間・デポエリアからお湯までの移動時間・(猫舌なので)食べる時間、その他のトイレなども含めると通常のペースでは間に合わないため、カップラーメンを食べると決めた周回では40分くらいで回すこととなりました。
このように温かい料理は活力源となるため、サポート有りなのであれば、カセットコンロかキャンプで使うようなバーナーがあると良いと思います。実際周囲のテントでは持ってきているところが多い印象でした。一応会場の施設でお湯の提供があったりキッチンも使えますが、若干デポエリアから離れており毎回毎回往復するのも面倒かと思います。
ジェルも持っていきましたが、それはあくまで携行食としてポケットに忍ばせサブ的に摂取していました。
コット
今回筆者はこのためにコットを購入したのですが、購入して良かったです。
椅子とベッドの二役になるため重宝します。立ち上がる際の負荷を減らすため、コットはハイ・ロー切り替え可能なものを購入してハイで使用するのが良いです。ハイにするためにはオプションでパーツを購入する必要がある商品もあります。横になる目的であれば床にマット置いても良いかと思いますが、立ったりしゃがんだりが大変そうなのと、高尾の会場は地面が砂利なので少し痛いかもしれません。
マット
筆者は戻ってきたら毎回、靴を脱いで足の裏をマッサージボールでほぐすようにしていたので、その時にマットが役に立ちました。高尾のデポエリアは地面が砂利でゴロゴロしているので少し厚めのものが良いかと思います。そのほか、靴を脱いだ状態でデポエリア内を移動するのにも役立ちました。コット+マットの組み合わせは必須だと筆者は感じました。
テーブル、ウォールポケット、ハンギングチェーン
これらは、補給食や食事関連グッズ、ケア用品、衣類などを陳列してすぐに取り出せるようにするためのものです。
筆者はハンギングチェーンのみ持っていき、ハンガーやフックにかけられるもの、例えばレインウェアやコップ、持ち手付きのケースなどは引っ掛けることができました。
ですがそれ以外のものは床に直置きか、持ち運び用の収納ケースの蓋の上に置いていました。それだと、取り出すときにいちいち屈む必要があったり、置いてある場所もバラバラだったり、視認性が悪くすぐに取り出すのが手間でした。
他の方々は折りたたみテーブルやウォールポケットを使って一箇所にまとめて視認性が良くかつ立ったままでも取り出せるようにしていたので、次回は真似しようと思いました。
着替え多めに
筆者はこれまでレース途中で着替えたことはなかったのですが、今回初めて途中で着替えて、着替えた後の気持ち良さを体感しました。とくにメリノウールを着た時の心地よさがとても良くて、着替えた直後の周回は自然と気持ち速めに走っていました。汗冷えを抑える事もできます。
人によっては衣装ケースを持参していましたが、これも次回は採用したいと思いました。
タープテント&ブルーシート
このように、何十時間も快適に走り続けるためには多くの荷物をすぐ取り出せられるように配置する必要があり、そのためには普通のテントよりもタープテントが良いと感じました。これも今回のために筆者が購入したものの一つで、買って大正解でした。何回も繰り返す終わりの見えない周回レースではだんだんと「もうやめたい」と感じてくるので、その負の感情に追い打ちをかけないように快適なストレスない空間づくりが大事だと思いました
タープテントは、四面とも横幕をつけたほうが、雨・風邪対策としても保温効果としても良いです。ジッパーでつけられる横幕であれば、入り口面だけ少しジッパーを開けておけば入り口になります。
なお、今回は2日間ずっと雨でしたし一時は結構強かったので、耐水性も気にした方が良いです。他のテントで雨漏しているのもありました。
大きめのキャンプテントを持ってきている選手もいましたが、個人的には、タープ型テントの方が広く立ったまま作業ができるし、体積としても与えられたデポエリアを最大限に活用できて良いと思いました。フレームにそのままハンガーやフックを掛けられるのも良いです。着替えた後の服などそのままフレームに掛けてました。天候や気温によって横幕だけ外して日光だけ遮ることも可能です。特にサポートクルーをつける方は、選手とサポート2名の3名が入っても支障のない空間づくりが大事だと思います。
タープテントの場合、通常床面は地面なので、ブルーシートを敷いておくと物を置いたりしやすいかと思います。またブルーシートは雨漏りした時の補修や、濡れたくないもののカバーなどにも使えるので予備もあると良いと思いました。また、泥で汚れるからと、横幕をブルーシートで代用しているテントもあり、良いなと思いました。終わったら捨てるだけなので。ただ、何ヶ所かテープで留めただけだからかそのテントは結局雨漏してしまったようで、取り付けの際にはそのあたり注意が必要です。筆者が買ったテントの横幕はジップで止めるタイプでしたがそれでも少し雨漏していたので、ジップの上から防水スプレーとかかけると良いのかもしれません。
その他小物
サンダル
靴脱いだ後の移動用に。テント内での移動、デポエリアから会場建物への移動など。
ゼッケンベルト
着替えやレインウェア着ても簡単に装着できるように
マッサージガン
腹巻き
ジョギングペースでそこまで身体が温まらないので、走ってる途中にお腹冷やさないように。 事前調べしてるとき、他の方のバックヤード参戦記で山と道の賞品が紹介されていて購入しました。山を歩き続けるためのものだからか、蒸れなどなく快適でした。
保温性のある巻きスカート
防寒。ズボンの上から巻けるので休憩中にパッと巻けるのと、開いた状態で毛布代わりにも使えて便利
汚れ防止のビニールやシートなど
汗や泥で汚れたまま触れても良いように。例えば枕をビニールで包んだり、コットの上に敷いたり。今回大会中は前半ずっと雨で、テント内も泥だらけになりました。
モバイルバッテリー
スマホや時計、イヤホンなどの充電。モバイル電源を持ってきている方々もいました。自分は15,000mAhと20,000mAhの二つ持っていきましたが、スマホはずっとテント内に置いてたし時計もイヤホンも充電するほどは使わず、結局どちらのモバイルバッテリーも21lapsでは使わなかったです
骨伝導イヤホン
骨伝導イヤホンは公式に利用可能です。つい先のことを想像して滅入ってしまった時に、音楽を聴いて今この瞬間に集中するのは良いリフレッシュになりそうです。
ランタン
タープテント内を明るくするためです
水筒
会場から提供される水とお湯をテント内に溜めておくため
熊鈴あるいはカウベル
今回忘れたのですが、走ってる最中の眠気覚ましにあると良いと思いました
交換用シューズ
アイマスク&イヤーマフ
眠りやすくするため
持ってきたが一切使わなかったもの
椅子
コットとは別に、背もたれ付きのノッキングチェアも持っていきましたが、自分はコットで十分で、一回も座りませんでした。レインを着ていることが多く雨や泥で背もたれを汚したくないというのがあったからかもしれません。また、基本的に何か作業をしていて座ってゆっくりする時間がなかったので、腰深く座るタイプよりもコットに腰下ろすだけのほうが動きやすかったです。時間に余裕を持って帰ってこれる内はゆっくり座る必要なく、疲れてゆっくりしたいときはコットに横になる方が良いと思います
インフレーターマット
コットの上に敷いて横になる時に防寒にと思いましたが、必要とするほどではなく使いませんでした。あと汚したくありませんでした。
お菓子
シゲキックスなど普段食べる酸っぱい系のお菓子を糖分補給とリフレッシュかねて結構持っていきましたが、何故かお菓子を食べる気分にはならず一度も手を出しませんでした。お菓子よりも温かい食事を欲してました。
コーラ、エナジー系ドリンク
普段のレースではエイドごとにコーラを飲んでいるのですが、今回は不思議と飲みたい気持ちにならず、水の方が飲んでました。おそらく2つ理由あり、(1)毎回食事で補給しているから糖分をそこまで欲していない(2)寒いしペースもゆっくりなので、そこまで爽快感やブースト的な要素を求めていない、むしろ淡々と走り続けたい。一時的な血糖値急上昇がむしろ怖い。
ダウン上下
休憩中の冷えが心配だったので冬のキャンプに使うような防寒対策も一応持ってきましたが、少なくとも一晩過ごした感じでは、これらは使いませんでした。そんなに冷えるほど休憩時間を長くとれないためです。もちろん持ってて安心ではありますが、汗や泥で汚れた上から着ても良いものにしましょう。
移動編(行き)
高尾グリーンセンターでの東京大会の場合、会場であるグリーンセンターと特設駐車場が2キロほど離れています。選手は会場まで車で移動して荷物を下ろすことができるのですが、会場の駐車スペースが限られているのとその間の道が一本道で狭いため、以下のような手順で一台ずつ荷下ろしをします。
会場から2キロ離れた特設駐車場で受付をする。その際に会場でのデポジットエリアの割り当てがくじ引きでされる。
事前に割り当てられた時間が来たら指示に従い一台ずつ会場に向かう
会場についたら荷物を降ろす(スタッフも手伝ってくれる)。荷物を下ろし次第、車で特設駐車場まで戻る
特設駐車場に駐車後、歩いて会場まで戻り設営をする
選手の他にサポートクルーなど同乗者がいる場合、3で選手だけ降りて設営をしている間に同乗者が車を戻すのが効率良いと思います。
なおこの会場での荷下ろし(入庫)時間は大会当日前にアンケートで第三希望まで出し、提出順に割り当てられていきます。筆者は10:30が割り当てられた入庫時間だったのですが、設営に結構時間がかかり、出走時間の13:00ギリギリでした。そのため、荷物が多い場合には10:00までに入庫できるよう早めにアンケートを提出することをオススメします。お昼ご飯食べる時間も欲しいですしね。
なお筆者は以下のようになるべくコンテナなどに荷物をまとめるようにしました。このほうが出し入れがスムーズですが、行きも帰りもテント近くまで車を駐められるため、コンテナは必ずしも必要ではないです。筆者は帰りは自力で駐車場まで歩いて戻るものだと思っていたため、以下のようにコンテナにまとめた上でキャリーカーゴまで準備し、タープテントもタイヤ付きの専用ケースをわざわざ購入しましたが、不要でした。
コースプロファイル
続いて高尾のコースプロファイルです。
1周の間に林道の登りと下りを繰り返す
高尾のコースは丸っと1周ではなく、以下のように同じ区間を3回繰り返して1周となります。
スタートからAまで下る
AからBまで登る
BからAまで下る
AからBまで登る
BからAまで下る
AからBまで登る
Bからスタート地点に戻る
1周あたりの獲得標高は130m、登りの勾配約4%
AからBまでは約43m登り、これを3回繰り返すため1周あたりの獲得標高は約130mで全体の勾配は約2%(登り部分だけで大雑把に4%)です。
そのため24laps 100マイルで累積獲得標高は約3120mになります。林道とは言え、結構登りますね。
東京大会特化の練習は、1,120mで43mアップの坂道を見つける
東京大会に特化した練習をしたい場合は、1,120mで43mアップ(勾配3.8%)の林道や坂道を見つけて3往復すると約6.7kmで130m登り、高尾の1周に相当します。これを50分回しで繰り返すのが良さそうです。
なお坂道の探し方は別記事もご参照下さい。
ペース配分
序盤実験しながらベースは50分回し
今回高尾で走ってみて、多くの選手は大体50分で回し続けていました。終盤になってくるとだんだん55分、58分、とギリギリになっていく感じです。50分回しですと10分間レストを取れるのでキリがよいからでしょうか。
序盤の余裕があるうちに、敢えて早めの40分で回してみたり、逆に55分でギリギリを攻めてみたりしながら、そのペースだとどのくらいの負荷なのか、そしてレストの時間で何をできるのか、など実験しておくと良いです。
レスト時間の過ごし方
レスト時間の過ごし方は、サポートクルーの有無でだいぶ変わります。
高尾の場合はコースプロファイルでお見せしたようにスタート地点を5回通るので、サポートクルーがいる場合は途中で次のレストで何が欲しいかを頼んでおくことができます。ラーメンが食べたい、コーヒー飲みたいなど。そうすれば周回を終えて自身のデポエリアに戻ったタイミングですぐに補給ができます。一方でサポートなしの場合は自身で全て手配するので、例えばお湯を使った調理ですと、グリーンセンター施設のエイドのお湯を貰ってきてそこから調理などしてると時間がかかります(時短として水筒はあれども)。なので調理加工済みの食事かジェルなどがメインになるかと思います。
その他、サポートクルーがいれば補給しながらマッサージしてもらうなど様々な工程を同時にできますが、一人の場合同時に出来ることが限られるので予め何をするかをイメージトレーニングしておくとよさそうです。補給しながらトリガーボールで足底をほぐすなど。
もう一つサポートなしで少し困難なのが仮眠です。一人だと自分で起きれるか不安で筆者は横になっても寝付けませんでした。
あとは、周回ペースがどんどん落ちて58分などギリギリになった場合。サポートがいればスタート地点に水や補給食など持って待機してもらいその場で補給できますが、一人だともう補給する時間は難しいので、ギリギリになってきたら、水や補給食を携行して走るのが安心です。
モチベーションの維持
筆者はたった21lapsでDNFなので、それ以上長い時間走り続けた方々がどんなメンタリティだったのかは知る由もありません。
ただ、たった21lapsでも「これをあと何時間続けるんだろう」「多分他の皆さんは50〜60は超えてくるだろう、寝ないでそんなに続けるなんて無理だ」「数日後には仕事もあるしこれ以上続けたときのダメージが計り知れない」など想像してしまい気が滅入ってしまうことがありました。それでも走り続けるためには、なんとしても自身の目標(ラストスタンディングサムライになる、〇〇km以上走る、〇〇時間以上走る、など)を達成するという強い意志、あるいは目の前の1周のことだけに集中して雑念を排除するマインドフルネス状態になるのどちらかじゃないかと思いました。それらに加えて応援のパワーも大きいです。
同じような周回系の大会やONTAKEのようにずっと景色と変わらない大会で修行をつむと良さそうです。
終了後の流れ
お風呂とベッド
DNFにせよラストサムライになれたにせよ、選手はグリーンセンターでお風呂とベッドが使えます。お風呂はシャワーと浴槽の湯船が使えます。なお風呂とベッドは選手のみでサポートクルーは使えません。
車を会場に持ってきて撤収、帰宅
DNFの場合まだ他の選手が走っているため、車の移動タイミングは運営の指示に従います。だいたい、〇時50分に特設会場を出て会場につき、1時間撤収作業しながら待機して次のラップの終了タイミングに合わせて車を出します。
サポートクルーは必要か
サポートクルーは居た方が有利だと思います。レスト時間を効率よく回せたり、安心して寝れたり、調理してもらった温かい料理は活力になりますし、応援の力も凄いです。
筆者は前半サポートなし、後半は向かいのテントの選手のサポートクルーにお世話をしてもらい、温かいお茶漬けを作ってもらったりマッサージしてもらったりして、本当に助かりました。あのサポートが無かったらもっと早く辞めてしまったかもしれないとも思いました。
ですが、サポートの有無でどれだけ記録の違いが出るのかは微妙な気がします(データが欲しい!)。というのも、結局一番大事なのは本人の意思だからです。実際、サポートなし(ストロングスタイルと呼ぶらしい)で国別対抗戦に選出されるような記録を出す選手もいます。
人によっては、サポートを頼むのが苦手な方もいると思います。サポートする方もめちゃめちゃ大変なのは容易に想像できますし、そのめちゃくちゃ大変なサポートをお願いできるくらい自分は強い意志があるのかと自問すると自信がなかったり。その場合には、一度サポートなしで参加してみると良いと思います。それで次回こそは絶対リベンジしたい、そのためにサポートの力を借りたいと強く感じたらお願いしやすくなると思います。
なおサポートクルーを頼む場合、できれば2名居た方が、サポート同士で励まし合ったり交代で寝たりできるので良いと思います。
まだ見ぬ世界へ
長々と書きましたが、バックヤードについて、東京大会について、理解は深まったでしょうか。出てみたいと思ったでしょうか。
筆者は今回、21lapsでDNFしてしまいました。しかも怪我なので、「自分との戦い」は出来なかったと感じています。距離も時間も過去のレースのほうが長かったので、「自分はいったい何キロ走れるのか。何時間走り続けられるのか。2日間寝ないとどうなるのか」など自分の経験を超えることができませんでした。バックヤードウルトラの魅力は、この自分の限界の境地を見ること、そのための戦略を立てること、そしてその境地の途方もない先にいる偉人たちの世界を少し覗けることだと思います。そして、その自分の限界を超えるためには同じだけ走る他者の存在が必要なのも面白いですね。参加者全員が自分の限界を超えるために走り続けてこその記録となります。つまり貴方が限界を目指すことで、他の選手も自身の限界突破を目指すことができるのです。
さぁまだ見ぬ世界へ、行ってらっしゃい。
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